Project/Area Number |
23K17366
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Pioneering)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 35:Polymers, organic materials, and related fields
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
菊池 裕嗣 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (50186201)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥26,000,000 (Direct Cost: ¥20,000,000、Indirect Cost: ¥6,000,000)
Fiscal Year 2025: ¥7,800,000 (Direct Cost: ¥6,000,000、Indirect Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥9,100,000 (Direct Cost: ¥7,000,000、Indirect Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2023: ¥9,100,000 (Direct Cost: ¥7,000,000、Indirect Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 液晶 / 対称性 / 強誘電性 / スメクチック / 自己支持膜 / スメクチック相 |
Outline of Research at the Start |
研究目的を達成するため以下のことを実施する;1)SmAF相におけるバルクの組織構造の解明、2)バルクの自発分極反転挙動、3)バルクの焦電効果、4)SmAF相の自己支持型超薄膜の基本構造(メニスカス、孔、島、ステップ、節)の観察、5)SmAF相の自己支持型超薄膜の力学(表面張力、線張力、ラプラス則、弾性率、粘性率、膜振動等)、6)SmAF相の自己支持型超薄膜の熱力学(相転移、ゆらぎ等)、7)SmAF相の自己支持型超薄膜の動力学(孤立・交差ステップのダイナミクス、散逸係数等)、8)SmAF相の自己支持型超薄膜の外場応答(電場による変形、光学特性等)、9)SmAF相の自己支持型単分子膜の創製
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Outline of Annual Research Achievements |
物質の空間反転対称性の破れは、圧電性、焦電性、強誘電性などの巨視的な物性に反映され、エネルギー変換を可能とする機能性材料として応用されてきた。近年、研究代表者らは最も単純な二次元液体であるスメクチックA相において層の表裏について反転対称性の破れた全く新しい系を発見した。この相は強誘電体中で最高の対称性と言う点で特異であり、層法線方向に巨大な自発分極を示すため機能面でも大きなポテンシャルを有する。本研究では、二次元液体の空間反転対称性が破れると何が起こるか?強誘電性自己支持型単分子膜は可能か?という学術的な課題に挑戦するとともに、反転対称性が破れた二次元液体の学理の構築と体系化を目指す。 2023年度はスメクチック相の二次元薄膜化のための液晶延伸装置を自作した。一般的なスメクチック液晶である8OCBはSmA相の温度で複屈折のない均一な薄膜を形成した。強誘電性スメクチックAを示す液晶物質で形成した薄膜はSmAFの発現温度で複屈折を示し、SmA相のような完全な垂直配向ではないことが示された。電場・磁場の有無にかかわらず消光位が異なるドメインが観察された。また、薄膜のドメイン境界線は電場無印加時は膜の延伸方向に垂直に生成したが、直流電場を印加すると方向が90度回転した。このため、ドメイン境界線は配向ベクトルに垂直で、電場無印加時には膜の延伸方向に配向ベクトルが存在することが明らかになった。自己支持膜が破れた後に直流電場を印加し続けると、液晶が正極に引き寄せられて膜が再生する現象を確認した。より強い電場を印加し続けると、円柱状または円錐状構造が独立したり融合したりしながら正極に移動する様子が確認できた。正極に引き寄せられた液晶は電極間の絶縁性樹脂部に生成するメニスカスを通じて負極に流動する循環も観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は強誘電性スメクチックA相を示す液晶の再合成を行うとともに、そのキャラクタリゼーションを行い、十分な量の材料を調製できた。また自己支持膜を作製するための装置を自作し、十分に機能することが確認された。さらに自己支持膜に電場を印加することにより新規な現象を発見した。以上より研究はおおむね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、強誘電性スメクチックA相におけるバルクの組織構造の解明、強誘電性スメクチック相におけるバルクの焦電効果、強誘電性スメクチック相の自己支持型超薄膜の基本構造(メニスカス、孔、島、ステップ、節)の観察を行う予定である。特に強誘電性スメクチック相の光学組織ではスメクチック相に特有のフォーカルコニック組織が出現しない理由を自発分極の静電的な安定性を基に検証する。さらに、強誘電性スメクチックA相の大きな自発分極を利用した焦電効果については評価法を含め検討を進める。また、室温付近でSmAF相を示す材料の探索も、新規化合物合成を含め進めて行く。これにより、実験が加速度的に進むと期待される。
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