Project/Area Number |
23K17369
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Pioneering)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 36:Inorganic materials chemistry, energy-related chemistry, and related fields
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 英俊 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (40345393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 靖彦 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (50314084)
徳増 崇 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (10312662)
羽田 真毅 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (70636365)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥25,740,000 (Direct Cost: ¥19,800,000、Indirect Cost: ¥5,940,000)
Fiscal Year 2025: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2023: ¥13,390,000 (Direct Cost: ¥10,300,000、Indirect Cost: ¥3,090,000)
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Keywords | カーボンナノチューブ / ポリパラキシリレン / 酸素プラズマ処理 / X線散乱 / 分子動力学 / チャネル / 高速輸送機能 |
Outline of Research at the Start |
代表者らは、膜面に垂直配向した二層カーボンナノチューブ(CNT)を輸送チャネルとする分離膜の研究を進め、これまでにCNTチャネルを介した水輸送が特異な温度依存性を示すことを報告してきた。本研究では、化学的安定性に優れたCNTを輸送チャネルとし、さらに化学的安定性に優れたフッ素系高分子と複合化することで、有機溶媒中でも使用できる耐久性と海水の逆浸透にも利用できる耐圧性を兼ね備えたロバストなナノチャネル輸送膜の開発を目的とする。最終的にナノチャネル内の溶媒分子の存在状態と流動現象の総合的な理解に立脚した、水系と非水系の両方における高速輸送機能の創出に挑戦する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、化学的安定性に優れたカーボンナノチューブ(CNT)を輸送チャネルとし、さらに化学的安定性に優れた高分子と複合化することで、有機溶媒中でも使用できる耐久性と海水の逆浸透にも利用できる耐圧性を兼ね備えたロバストなナノチャネル輸送膜の開発を目的とする。 本年度は、輸送チャネルである二層CNTアレイの精密合成とマトリクスとしてポリパラキシリレン(パリレン)を用いた複合膜の作製条件の最適化を進めた。具体的には、熱化学気相成長法によりシリコン基板上に平均内径3.5 nm、高さ40~100 μmの垂直配向CNTアレイを合成し、パリレン製膜装置を用いて気相重合によってCNT間の空隙をポリパラキシリレンで充填した後、酸素プラズマ処理を行った。特に複合膜の表面平滑性と膜厚の精密制御を目指して、酸素プラズマ処理条件(出力、酸素流量、処理時間)の最適化を進めた。これによって膜厚の精密制御が可能になり、作製された複合膜についての走査電子顕微鏡観察から表面均一性の向上が、放射光X線散乱測定から複合化後も高いCNT垂直配向性の維持されていること(配向関数0.89)がそれぞれ明らかになった。また、透水試験により複合膜の透水量が26℃近傍で急激に変化する特異な温度依存性を示すことも確認した。さらに作製された複合膜について電子線回折測定用の切片試料の作製にも着手した。 これらの実験と並行して、CNT内部の水の流動現象解明のため、分子動力学を用いたCNT内水分子拡散特性の計算系を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二層CNTアレイの精密合成とマトリクスとしてポリパラキシリレンを用いた複合膜の作製条件の最適化については概ね順調に進捗している。本年度は、製膜過程のうち、特に酸素プラズマ処理条件の最適化に注力し、複合膜の表面平滑性の向上と膜厚の精密制御を達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度最適化した製膜条件を基にCNT密度と膜厚の異なる複合膜を作製し、種々の圧力勾配・温度条件下における水および有機溶媒透過挙動について調査を進める。併せて輸送チャネルとなるCNT内部の水分子の構造解析も進めていく。 さらに、本年度構築した計算系を利用し、実際に作製された複合膜の構造情報と全圧ろ過実験条件を使って計算を進め、透水試験から得られるCNT1本あたりの透水量の結果との関係を調査することで、透水挙動の解明を進めていく予定である。
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