Project/Area Number |
23K17370
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Pioneering)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 36:Inorganic materials chemistry, energy-related chemistry, and related fields
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
獨古 薫 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (70438117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
信田 尚毅 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (20839972)
小久保 尚 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 講師 (80397091)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥26,000,000 (Direct Cost: ¥20,000,000、Indirect Cost: ¥6,000,000)
Fiscal Year 2026: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2025: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 電解液 / エントロピー / 電池 / 電解合成 / 電解質 / 電気化学 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、複数の有機分子と電解質塩の多成分混合によるハイエントロピー効果により、液体状態を安定化したハイエントロピー電解質融体(HEE)を開発する。電解液を2成分系から多成分系へ拡張することでHEEのライブラリーを爆発的に拡大させ、従来電解液には用いられてこなかった難溶性物質をハイエントロピー効果により温和な条件で高濃度に溶解させた新規HEEを開発する。溶媒分子と電解質の相互作用によるシナジー効果で、HEEの特異な物性や機能を引き出し、次世代蓄電池、有機フッ素化合物やCO2を原料とした有用物質の有機電解合成への応用に関する研究を推進することで、持続可能社会の実現に貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、複数の有機分子と電解質塩の多成分混合によるハイエントロピー効果により、液体状態を安定化した“ハイエントロピー電解液”を開発している。ハイエントロピー効果により電解質塩を従来よりも高濃度に溶解させた新規ハイエントロピー電解液を開発し、次世代蓄電池、有機フッ素化合物やCO2を原料とした有用物質の有機電解合成への応用に関する研究を進めている。2023年度は、高濃度にスルホン系溶媒に溶解させることが困難であったジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiDFOB)を、複数のスルホン溶媒を混合した溶媒に極めて高濃度に溶解させることができることを確認し、ハイエントロピー効果を確認した。さらに、LiDFOBともう1種類のリチウム塩を混合し、これをスルホン系混合溶媒に溶解させることで、混合物の融点やガラス転移点をさらに低下できる可能性を見出し、広い温度範囲で液体状態を保つハイエントロピー電解液の開発に目途がついた。また、このようにして調製した電解液のリチウムイオン輸送特性や物理化学特性を解析し、高濃度LiDFOB溶液では、リチウムイオンが陰イオンよりも速く拡散し、リチウムイオンホッピング伝導機構が発現することが分かった。さらに、この電解液の電気化学特性の解析を進めており、電解質濃度が電位窓やリチウム金属の析出過程に及ぼす影響などの調査を行い、この電解液が比較的広い電位窓を有し、リチウム系二次電池へ応用できる可能性を示唆する結果を得た。 また、有機電解合成用のハイエントロピー電解液の開発も進め、ハイエントロピー電解液とマイクロリアクターを用いたフロー有機電解合成の研究にも着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従い,リチウムイオン伝導性のハイエントロピー電解液の設計・開発を進めており、調製したハイエントロピー電解液の熱物性やイオン輸送特性、電気化学特性の解析を行っている。さらに、有機電解合成用のハイエントロピー電解液の開発とこれを用いた有機合成にも着手しており、研究はおおむね順調に進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はスルホン系溶媒に加え、その他の有機溶媒や水を溶媒に用いて、超高濃度にリチウム塩を溶解させたハイエントロピー電解液を開発し、電解液中のリチウム塩の溶媒和構造、熱安定性、イオン伝導性、イオン輸率、電気化学特性の系統的な実験データを蓄積する。また、電極/ハイエントロピー電解液界面における電気化学反応に関する研究にも着手し、ハイエントロピー電解液の組成が反応過程や反応速度に及ぼす影響を明らかにする。 また、ハイエントロピー電解液を用いた有機電解合成に関しては、難関物質変換の合成を目指して、電解液組成が電解反応過程や目的物質の収率に及ぼす影響などについて系統的な実験データを蓄積する。 以上により、ハイエントロピー電解液の設計指針の確立と学術的基盤の構築、開発した電解液の蓄電池および有機電解合成への応用を進める計画である。
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