Project/Area Number |
23K17380
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Pioneering)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 39:Agricultural and environmental biology and related fields
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
徳田 岳 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (90322750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ブギーニョン トマ 沖縄科学技術大学院大学, 進化ゲノミクスユニット, 准教授 (40817558)
水元 惟暁 沖縄科学技術大学院大学, 進化ゲノミクスユニット, 学際的ポストドクトラルフェロー (60885672)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥25,220,000 (Direct Cost: ¥19,400,000、Indirect Cost: ¥5,820,000)
Fiscal Year 2026: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2025: ¥10,400,000 (Direct Cost: ¥8,000,000、Indirect Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
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Keywords | 昆虫科学 / 共生 / シロアリ |
Outline of Research at the Start |
シロアリは木材分解を腸内原生生物に依存する下等シロアリと、腸内細菌に依存する高等シロアリに大別される。本研究では、下等シロアリの腸内から原生生物を実験的に除去し、さらに食材性高等シロアリの腸内細菌を移植することで、人為的な高等シロアリの作出に挑戦する。本実験によって変化する腸内微生物組成、メタゲノム・トランスクリプトーム、代謝産物組成を包括的に解析し、同時に宿主の社会行動の変化を追跡することにより、消化共生系の成り立ちと腸内微生物の変化が宿主に与えた影響を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、まず研究開始にあたって、シロアリ腸内原生生物除去方法と行動実験の観察方法について検討した。実験に用いるスギオシロアリは琉球大学の演習林から採集し、コロニーごと実験室で保管した。実験には偽職アリ(働きアリ)を用いた。原生生物の除去には、当初計画されていたデンプン入りアガロースの摂食と高温処理の2通りの方法を試みた。シロアリに3週間アガロース入りのデンプンを摂食させたところ、大型の原生生物はほぼすべてが消失することが分かった。形態的には残った小型原生生物がオキシモナスの一種であろうと考えられた。また、木材摂食中のシロアリを高温(38℃)条件下で2日間飼育した場合にも大型原生生物が消失し、オキシモナスと思われる原生生物のみが残存した。残存した原生生物の18SrRNA配列について次世代シーケンサーで確認したところ、SILVAデータベース内には該当する配列がなかったため、現時点で同定には至っていない。 原生生物除去の影響をシロアリの行動の観点から解析するため、行動実験のセットアップも試行した。当初予定していたオープンスペースでの歩行実験に関しては、現時点で大きな差異は出ていない。これとは別にバルサ材と共にシロアリを小型容器に封入して行動観察を行ったところ、原生生物除去の有無によって木材摂食量の違いが予備実験的に認められた。ただし、デンプン入りアガロースを摂食させた個体の場合は、木材の摂食量が極端に少なかったため、摂食基質の学習効果の影響を受けている可能性が考えられた。また、高温処理を受けたシロアリの場合は、無処理のシロアリに比べてやや少ないものの材を摂食したが、2週間ほどで全個体が死滅した。このことは原生生物除去が一因であった可能性があるものの、デンプン入りアガロースを摂食した個体では死滅しなかったことから、高温により宿主がダメージを受けている可能性も考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験自体は順調に進んでいるが、いくつか当初予期していなかった結果により実験データの解釈が遅れていることから、全体としてはやや遅れているとした。具体的にはまず、シロアリ原生生物と近縁な配列データが公共のrRNA配列データベースになく、除去処理後の残存原生生物の同定ができなかったことから、結果の解釈に時間を要していることが挙げられる。また、デンプン摂食では起こらなかったシロアリの死滅が高温処理で起きてしまい、この要因が宿主側の影響なのか、微生物側の要因によるものなのかも、追加の実験で確かめる必要ができたことが挙げられる。これらの対策については、以下の「今後の研究の推進方策」で述べる。
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Strategy for Future Research Activity |
原生生物由来のrRNA配列の同定については、ドイツ・Max Planck研究所のAndreas Brune教授の所有するARBデータベースを利用させていただく方向で交渉している。また、シロアリが死滅した要因が宿主または微生物側にあるかについては、高温処理後のシロアリに対してデンプンを摂食させることで微生物除去による木材消化能の欠失がこの現象に関与しているのかどうかを確かめる。これらの実験に加え、腸内微生物相や消化酵素活性を調査し、高等シロアリの腸内細菌のレシピエントとして適当な飼育条件を確立する。また、行動実験についても、実験に適当な観察期間等の条件を確立する。必要な条件が確立した後に、微生物移植や微生物転写物解析、メタゲノム解析、後腸内代謝産物に関する網羅的な比較解析等を実施していくことを想定している。
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