Project/Area Number |
23K17392
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Pioneering)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 43:Biology at molecular to cellular levels, and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鯨井 智也 東京大学, 定量生命科学研究所, 助教 (70823566)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥26,000,000 (Direct Cost: ¥20,000,000、Indirect Cost: ¥6,000,000)
Fiscal Year 2025: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2023: ¥13,390,000 (Direct Cost: ¥10,300,000、Indirect Cost: ¥3,090,000)
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Keywords | RNAポリメラーゼII / クロマチン / ヌクレオソーム / クライオ電子顕微鏡 / 転写 / 遺伝子発現制御 |
Outline of Research at the Start |
真核生物の遺伝子発現では、RNAポリメラーゼIIがクロマチンを形成したゲノムDNA中の遺伝子情報をRNAに転写する。クロマチン転写は、RNAポリメラーゼIIおよびヌクレオソームに、時期と場所に応じた適切な因子が結合し、多様な複合体が形成されることで制御される。本研究ではクロマチンにおけるRNAポリメラーゼIIの転写機構を、細胞内のクロマチンや転写複合体を立体構造として可視化することで、遺伝子発現制御の理解を深めることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
生物は、ゲノムDNAを設計図として保持している。真核生物の遺伝子発現では、RNAポリメラーゼII(RNAPII)が、クロマチン構造として折り畳まれたゲノムDNA中の遺伝子情報を、メッセンジャーRNAに転写する。本研究では、細胞内のクロマチンにおけるRNAPIIの転写機構を、多様な転写複合体を立体構造として可視化して解明することを目的とする。 細胞内では、RNAポリメラーゼIIは多様な因子と結合し、機能的な複合体を形成してクロマチンを転写する。クロマチンは、ヒストンタンパク質にDNAが巻き付いたヌクレオソームと呼ばれる構造体が連なった数珠状の構造である。転写の際には、転写活性を向上する転写伸長因子などが結合する。また、ヌクレオソームには、ヒストンシャペロンやリモデリング因子などが結合し、ヌクレオソーム構造が変換されることで効率的にヌクレオソームDNAが転写される。このような多様な因子による制御こそがクロマチン転写の実態である。この実態を明らかにするため、本年度は、ヒトの細胞内でクロマチンを転写中のRNAポリメラーゼII複合体を、構造が保たれたまま緩やかに抽出し、クライオ電子顕微鏡を用いて立体構造解析を行うための実験系の確立を行った。本研究は、細胞内のクロマチン構造において転写中のRNAポリメラーゼIIをはじめて可視化するものであり、クロマチンにおける遺伝子制御の理解へ貢献するものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
多様な転写複合体を立体構造として可視化するため、本年度は、クロマチン転写中のRNAポリメラーゼIIを細胞内から抽出し、その立体構造をクライオ電子顕微鏡を用いて決定する実験系の確立を行った。まず、RNAポリメラーゼIIのサブユニットにタンパク精製に用いるタグを融合したHeLa細胞を大量培養した。細胞の大量培養のために、本研究費を用いてインキュベーターを2台導入し、培養を効率を高めた。培養後、細胞から抗体ビーズを用いて、RNAポリメラーゼII複合体を調製した。その後、複合体を安定化しつつ均一な粒子を取得するため、架橋剤とスクロースを用いた密度勾配円分離(GraFix)により、精製した。調製した試料をVitrobotを用いて急速凍結し、クライオ電子顕微鏡により観察した。そして、この試料について顕微鏡写真を大量収集し、単粒子解析を行った。データ解析において、本研究費より高性能なGPUサーバーを2台導入することで、解析の速度を高めた。その結果、RNAポリメラーゼII複合体や、クロマチンとの複合体を形成したRNAポリメラーゼII複合体の立体構造を決定し、原子モデルを構築することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらに多様なRNAポリメラーゼIIの複合体を明らかにする。RNAポリメラーゼIIのC末端領域には、7アミノ酸の配列が52回リピートされるテール領域が存在する。このテールは、転写の各段階で様々な翻訳後修飾が導入されることが知られており、その修飾の種類に応じて多様な転写制御因子が結合する。このテールにおいて、2番目および5番目のセリンがリン酸化されると、これらのリン酸化を得意的に認識する転写伸長因子が結合し、RNAポリメラーゼII伸長複合体が形成される。そこで、これらの複合体の実態解明のため、RNAポリメラーゼIIの翻訳後修飾特異的に細胞内から抽出する実験系を確立する。そして、クロマチンを転写中のRNAポリメラーゼII複合体をヒト細胞から抽出し、クライオ電子顕微鏡解析を行う。
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