分子レベルにおける死後経過時間/死亡時刻判定法の確立への挑戦
Project/Area Number |
23K17445
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Pioneering)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 58:Society medicine, nursing, and related fields
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
近藤 稔和 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70251923)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥25,740,000 (Direct Cost: ¥19,800,000、Indirect Cost: ¥5,940,000)
Fiscal Year 2026: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
Fiscal Year 2023: ¥9,490,000 (Direct Cost: ¥7,300,000、Indirect Cost: ¥2,190,000)
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Keywords | 分子法医病理学 / 分子法医診断学 / 死後経過時間推定 / 時計遺伝子 / マイクロRNA / 法医病理学 / 死亡推定時刻推定 |
Outline of Research at the Start |
死後経過時間/死亡時刻の判定は,重要な鑑定事項であるにも関わらず,その判定法は,未だに死体現象に基づく,古典的な手法に頼っているのが現状で,客観性・正確性に乏しく,新たな死後の経過時間/死亡時刻の判定法の確立が切望されている.哺乳類のあらゆる細胞に24時間周期のサーカディアンリズム持つ時計遺伝子やその標的遺伝子並びにmicroRNA(miRNA)が存在する.そこで本研究では,各遺伝子のサーカディアンリズムを応用して死後経過時間/死亡時刻の判定方法を確立することを目的とするものである.分子レベルでの死後経過時間/死亡時刻の判定が可能となれば,法医診断学の歴史的進歩につながることは間違いない.
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Outline of Annual Research Achievements |
法医学鑑定とは帰納法的推論であり,最先端の基礎研究の知見が応用されなければならない.死後経過時間(死亡時刻)の判定は,重要な鑑定事項であるにも関わらず,その判定法は,未だ直腸内温度,死体硬直および死斑に代表される死体現象に基づく,古典的な手法に頼っているのが現状で,客観性・正確性に乏しく,新たな死後の経過時間(死亡推定時刻)の判定法の確立が切望されている.哺乳類には,様々な生理現象において体内時計と呼ばれる24時間周期のリズムがあり,このリズムは時計遺伝子の転写レベルで規定されており,種々の時計遺伝子からなる分子時計が生体内には存在する(生物学的時計).特定の時計遺伝子の転写を活性化する正の制御因子(BMAL1とCLOCK)とこれら正の制御因子によって発現された後に,正の制御因子の転写活性を阻害することによって,自身の発現を抑制する負の制御因子(Per,CRY)が存在し,ネガティブフィードバックループを形成することによって生体内では周期性のリズムが生み出されている.マウスを用いて時計遺伝子発現の解析に関する基礎的研究を行い,中枢神経のみならず肝臓,腎臓および心臓においても時計遺伝子の日内変動があることを明らかにした. さらに,法医実務では死後変化による核酸の分解が問題となるが,時計遺伝子に属さないmicroRNA(miRNA)と呼ばれる21-25塩基長の1本鎖RNA分子は比較的安定とされており,法医実務には適したバイオマーカーである可能性が考えられる.そこで,マウスの諸臓器についてmiRNAの示す個々のサカーディアンリズムを検索するためにマウス(n=3)を各時刻で頸椎脱臼により安楽死させ,肝,腎(各10mg),心臓(20 mg)を採取し,miRNAを抽出し,試験的にmiRNA 27bのqRT-PCRを行い,日内変動が存在することを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時計遺伝子(Per,CRY,Bmal)については,これまでのマウスの肝臓,腎臓,心臓で日内変動があることを示すことができた.すなわち,今後は法医剖検試料への応用研究へと発展できる.また,miRNAについてはさらに種類を増やして,日内変動を示すmiRNAを複数個見出すことで,今後の応用研究への展開へとつながることから,初年度としては十分な結果を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
法医学鑑定とは帰納法的推論であり,最先端の基礎研究の知見が応用されなければならない.死後経過時間(死亡時刻)の判定は,重要な鑑定事項であるにも関わらず,その判定法は,未だ直腸内温度,死体硬直および死斑に代表される死体現象に基づく,古典的な手法に頼っているのが現状で,客観性・正確性に乏しく,新たな死後の経過時間(死亡推定時刻)の判定法の確立が切望されている. これまで時計遺伝子(Per,CRY,Bmal1)については,マウスの肝臓,腎臓,心臓で日内変動があることを示すことができた.次に死亡時刻が明らかな法医剖検例において,肝臓,腎臓,心臓を採取して,時計遺伝子(Per,CRY,Bmal1)の発現検索を,リアルタイムRT-PCRによって実施して,死亡時刻の違いにおける各時計遺伝子の発現の違いを見出す.さらに,各時計遺伝子単独でなく,各時計遺伝子を組み合わせることによって死亡時刻の推定が可能か否かを検討す.さらに,法医実務では常に死後変化の影響を考慮しなければならない.microRNA(miRNA)と呼ばれる21-25塩基長の1本鎖RNA分子は比較的安定であり,死後変化の影響を受けにくいことが予想されることから,法医実務には適したバイオマーカーである可能性が考えられる.実際,いくつかのmiRNAの発現が日内変動することを示したことから,さらに複数のmiRNAについて検索して,死亡時刻推定への応用の可能性を探索する.
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)