Project/Area Number |
23K17521
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 3:History, archaeology, museology, and related fields
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
澤田 純明 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (10374943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 由里子 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (60277473)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | 骨組織学的年齢推定法 / 非破壊的骨組織検査 / 高分解能CT / 縄文時代人骨 |
Outline of Research at the Start |
「高齢に達した縄文時代人は、いったい何歳まで生き長らえたのか?」本研究の目的は、高分解能CTを利用して、縄文時代人骨を破壊せずに骨組織学的方法で解析し、できる限り精確な年齢推定を追求することである。具体的には、肉眼形態学的方法で高齢に比定された縄文時代人骨を対象に、非破壊的かつ高解像度のCTを用いて四肢長骨のミクロ構造を分析し、考古人骨資料の研究に適した骨組織学的年齢推定法の開拓と導入を推進する。
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Outline of Annual Research Achievements |
縄文時代人の生物人類学的研究において、出土人骨の死亡年齢を知ることは、個体や集団の特徴を探り、生活誌や社会構造を解明するための、最も基礎的かつ重要な調査の一つである。高齢の人骨の年齢推定に有効な方法として骨組織学的年齢推定法が知られているが、その常法は骨を薄切する破壊分析であるため、文化財である考古人骨資料の分析に適さず、非破壊的分析法の導入が待たれていた。近年実用化が進んだ高分解能CTスキャンシステムでは、長さ数十cmサイズの骨標本を、1画素5-15μmという高い解像度で撮影することが可能となった。非破壊的に人骨の組織学的年齢推定を実施できる研究環境が整いつつある好機を活かし、本研究は、高分解能CTを用いた縄文時代人骨組織学研究の方法的革新とその実践を追求する。 研究期間の初年度となる2023年度は、東北大学自然史標本館に設置されている共同利用機器の高分解能CTスキャンシステム(ScanXmate-D180RSS270)を使用して、ヒト四肢長骨の骨幹中央部のCT撮影に関する実用的・具体的方法を検討した。人骨のCT撮影に関し、撮影中に人骨が全く動くことなく、かつ人骨にわずかな損傷もつかないように撮影テーブルに固定する方法を確立したほか、固定した四肢骨の撮影可能範囲や解像度について、さまざまな条件別のデータを蓄積し、年齢推定を目的としたCT撮影を実施するための検討材料を収集した。また、縄文時代人骨を保管する複数の研究機関を訪問して、高齢と思われる人骨を探索し、その借用と研究使用の許諾について協議を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高分解能CTスキャンシステムを用いた資料撮影の具体的方法を検討し、本研究で実施する分析の方法を確立することができた。本研究で資料に用いる縄文時代人骨の選定も順調に進行している。すなわち、申請書で述べた研究方法のうち、「(1)肉眼形態学的検討による高齢の縄文時代人骨の選定」と「(2)高分解能CTを用いた高齢縄文時代人骨のX線CT撮影」をおおむね問題なく進めている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)肉眼形態学的検討による高齢の縄文時代人骨の選定:2023年度に引き続き、肉眼形態学的に高齢と判断された成人の四肢長骨を選定する。具体的には、寛骨耳状面の形状をIgarashi et al. (2005)の方法で評価し、高齢と思われた人骨を資料に用いる。 (2)高分解能CTを用いた高齢縄文時代人骨のX線CT撮影:2023年度に検討した方法を用いて、資料の四肢長骨の骨幹中央部(年齢推定に用いる部位)を対象とし、高分解能CTスキャンシステム(ScanXmate-D180RSS270)を使用してX線CT撮影を進める。 (3)CT像の組織学的解析に基づく年齢推定:組織学的年齢推定法として定評のあるKerley(1965)とThompson(1979)の方法、および近年考案された高精度の年齢推定法であるGocha(2014)の方法を援用して、CT像からオステオン密度やハバース管面積の計測などの組織学的解析を試み、高齢の縄文時代人骨の精確な年齢推定を追求する。
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