Project/Area Number |
23K17571
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 8:Sociology and related fields
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福田 恵 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (50454468)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 集落 / 山間地域 / 分離と結合 / 消失と生成 / 社会学 / 国際比較 / 歴史分析 / ネットワーク |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、存立の危機にある山村集落の生成、消失、再生成のプロセスとその根底にあった社会関係の特性を明らかにする点にある。具体的には、これまでの調査結果から得られた、山村間に張り巡らされた人的ネットワークという研究枠組みを手がかりとして、地方別(中国山地、他の地方)と集落形態別(最奥集落、県境集落、移転集落、消失集落、開拓集落など)に調査を試みる。これらの研究を通して、山村社会の地域性や存立理由を解明し、その学問的かつ応用的な可能性を追究することを目指している。
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Outline of Annual Research Achievements |
初年度の調査では、中心調査地域であるブロックA、ブロックB、ブロックCおよび比較地域の調査を実施するとともに、学会開催と論文執筆を通して、研究成果を内外に発信した。 ブロックA(兵庫県香美町等)の2集落を対象とした調査から、①移転集落の資料、個人活動記録を収集し、関係者に集落の歴史と移転前後の生活状況についてインタビューを行った。②集落の家々の生活状況と空き家に関する現状確認を行った。ブロックB(島根県安来市、鳥取県大山町等)では、①村の存亡にかかわる議論を展開した人物が、安来市から大山町の開拓集落に移住した情報を掴み、両地点における関係者へのインタビューを実施した。②集落の再生成に関する論点を整理するために、安来市内の自然資源利用、地域組織運営および地域メディア発信に関する調査も実施した。ブロックC(島根県益田市)では、①最奥集落における草刈りへの参加と参与観察を通して、集落内外の関係者から情報収集を行った。②県境集落の現地踏査を行い、集落境界の確認と地域関係、生活実態に関する基礎情報をえた。 比較地域のラオスの調査(ブロックf)では、ウドムサイ県ナーモー郡において、移転集落、国境集落などの生活実態、移動経験、エスニックグループの複合状況について聞き取り調査を実施した。 調査地の一つである安来市(Bブロック)にて、日本村落研究学会を開催し、次のような地域の実態と本研究関連の成果を発信した。①山間地域の農業、自然資源、歴史資源に関する情報を収集し、関連施設を視察、解説するエクスカーションを実施した。②地域運営組織、持続的な家族と農村、地域メディアをテーマとした地域シンポジウムを開催し、その様子がケーブルテレビにて放映された。 また、Cブロックの成果の一部については、書籍の一部として発刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
それぞれの調査地について、初年度の進捗状況(予定通り進んだ点と進まなかった点、予定以上に進んだ点、予定を変更した点など)を勘案し、全体として、おおむね順調に進んでいると判断した。 最重要調査地の基礎調査(ブロックA・B・C・f)は、ほぼ予定通り実施した。このうちブロックBでは、次のような成果もえた。①広瀬町南部地区の調査では、最奥集落を抱える地域で、国際交流活動や神社の遷宮、先進的な地域運営を行っている情報を収集した。②また調査途上で情報をえた消失集落に関して、ケーブルテレビ会社が番組制作していたことが判明し、学術研究と地域メディア双方からいかに当該集落の歴史と現代的意味を再構築するのかという点について意見交換を行った。 またブロックCでは、集会所と神社が集落のよりどころとなっていることを掴み、今後、論点化することとした。 さらに比較地域のブロックfでは、予定していた二集落の調査のみならず、県境集落や山間集落、移転集落についてのブリーフィングを行い、複数の集落で関連情報をえるための調査環境が整備できた。 遠距離、広範囲に及ぶ調査・打ち合わせの実施および学会開催に際して、オンライン機材や関連備品の整備を進めた。初年度は、調査情報の収集と情報発信に力点を置いたため、資料整理は十分に進めることができなかった。この点は、次年度以降の課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の調査では、中心調査地域の追加調査と各ブロックの未着手集落の調査および資料整理と研究史の整理を進める。ブロックAでは、最重要調査地の二集落について、収集した資料のとりまとめと整理したデータの確認作業を行う予定である。またそのほかの調査集落についても基礎情報をえる予定である。ブロックBでは、村の存亡にかかわる論点を提起した人物(故人)の家族、知人から情報をえる予定である。また消失集落について、ケーブルテレビと連携を図り、番組作成時の取材協力者と資料に関する情報共有を進める。ブロックCでは、県境集落で結成された神楽団体の参与観察および資料収集、インタビュー調査を実施予定である。また、ブロック内の中心調査地では、集落の根幹にかかわる集会所と神社に関する調査に着手するつもりである。 比較地域となるブロックf(ラオス)では、2集落の調査のほか、新たに移転集落、最奥集落などの情報をえる予定である。またブロックd(四国)では、ブロックAとかかわる林業ネットワークの情報確認を行う。 一連の研究成果を中間報告書にとりまとめるとともに、現地発表の機会を設ける予定である。また研究史の整理と研究主題の意義を明確化するために、山村の歴史と国際比較に関する先行研究、社会学および学際分野にまたがる諸文献を収集する予定である。
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