Project/Area Number |
23K17661
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 13:Condensed matter physics and related fields
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
伊藤 良一 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90700170)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | グラフェン / 立体構造 / 幾何学 / 離散幾何学 / カーボンネットワーク / 周期構造 / 極小曲面 / フォノン / 周期極小曲面 / ナノカーボン材料 |
Outline of Research at the Start |
炭素ファミリーはその幾何学形状によって同じ炭素原子を持つにもかかわらず異なる物性を示すことが知られている。例えば、カーボンナノチューブとグラフェンがそれにあたる。本研究は、特異な幾何学構造を持つカーボンネットワーク材料の作製を行い、幾何学構造に強く影響を受けた特性を明らかにする。また、様々な幾何学構造を持つカーボンネットワーク材料の特性を比較することで、2次元と3次元の狭間にある新たなナノ炭素科学の展開を行い、幾何学構造と物性の関係を結び付ける挑戦的な研究を行いたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
炭素ファミリーはその幾何学形状によって同じ炭素原子を持つにもかかわらず異なる物性を示す。特徴的な幾何学構造の中に、周期極小曲面上の特異な周期的ポテンシャルに束縛された電子を持つグラフェンや一周すると位相が反転する(ヒュッケル則を満たさないが芳香性を有する)メビウスの帯状の構造を持つグラフェンリボンなどがある。これらは、幾何学構造由来の特異な物性が発現することが理論的に予測されている。初年度はまず、周期極小曲面上の特異な周期的ポテンシャルに束縛された電子を持つグラフェンについて研究を行った。周期極小曲面を持つグラフェンは、ジャイロイド構造などの周期極小曲面を有している金属鋳型に対して化学気相蒸着(CVD)法を用いて金属鋳型の表面構造を模倣させる手法で作製した。目的とする周期極小曲面を持つグラフェンは金属鋳型を酸処理し溶解させることで単離した。単離したグラフェンは超臨界乾燥装置を用いて丁寧に乾燥させた後、銅線を用いて端子を取り付け、周期極小曲面構造内部にゲルを導入して電荷注入制御を可能としたグラフェンゲルトランジスタデバイスを作製した。幾何学構造に依存したフォノン特性および2次元グラフェンシートとのフォノン特性を比較するために、端子を付けた周期極小曲面構造を持つグラフェンに正負のゲート電圧を印加しながら同時にラマン測定を行うセットアップを構築した。電磁シールド機能を持つ測定系の中でゲート電圧つまりフェルミレベルを変調させることで幾何学構造とゲート電圧に依存したフォノン特性を計測することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は周期極小曲面を有している金属鋳型から作製したグラフェンを用いたトランジスタデバイスを正常動作させながら同時にラマン測定を可能とするセットアップを構築することができた。これにより、グラフェンの幾何学構造や化学ドープ元素などを変更しながら、それぞれに対応したフォノン特性を調べることに注力できる状態まで到達できたため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
幾何学構造を変更した周期極小曲面構造を持つグラフェン及び窒素元素などを化学ドープした周期極小曲面構造を持つグラフェンなどを作製し、グラフェンゲルトランジスタデバイスを作製する。特に、周期極小曲面の周期の大小に違いがあるグラフェン、および、同周期だが窒素ドープの有無の違いがあるグラフェンについてフォノンの観点でそれらの影響を詳細に調べる予定である。また、二つ目の課題であるメビウスの帯状のグラフェンリボンの作製にも着手する予定である。
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