Project/Area Number |
23K17670
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 13:Condensed matter physics and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米澤 進吾 京都大学, 工学研究科, 教授 (30523584)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
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Keywords | 磁気光学カー効果 / 高感度測定 / ゼロループサニャック干渉計 / 磁気光学効果 / カー効果 / 時間反転対称性の破れ |
Outline of Research at the Start |
時間反転対称性(Time-reversal-symmetry; TRS)の破れた状態とは「時間を"逆回し"にしたときに元の状況と同一視できない」状態であり、非自明にTRSが破れた状態の発見は物性物理に大きなインパクトを与えてきた。我々はナノラジアン級の分解能を持つ超高感度磁気光学カー効果の測定手法を導入してきた。本研究では、この手法の感度を大幅に上げ、ピコラジアン級の感度を実現する測定装置を開発し、非自明なTRS破れの研究に大きな変革をもたらすことを目的とする。従来の方法をパルス光を使った観測に切り替え、微弱光に対して高い感度を持っている検出器を用いて、これまでの問題を凌駕する計画である。
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Outline of Annual Research Achievements |
時間反転対称性(Time-reversal-symmetry; TRS)の破れた状態とは「時間を"逆回し"にしたときに元の状況と同一視できない」状態であり、非自明にTRSが破れた状態の発見は物性物理に大きなインパクトを与えてきた。我々はナノラジアン級の分解能を持つ超高感度磁気光学カー効果の測定手法を導入してきた。本研究では、この手法の感度を大幅に上げ、ピコラジアン級の感度を実現する測定装置を開発し、非自明なTRS破れの研究に大きな変革をもたらすことを目的とする。従来の方法をパルス光を使った観測に切り替え、微弱光に対して高い感度を持っている検出器を用いて、これまでの問題を凌駕する計画である。 2023年度は代表者の異動に伴って研究室を移動させる作業をまずは行った。無事に研究装置の移転が完了したのち、従来の干渉計を用いてCsV3Sb5におけるCDW状態におけるTRS破れの研究を進めた。その結果、TRS破れのシグナルの有無は試料の質に大きく左右されることを明らかにした。他にも、カー効果の走査型測定装置の構築も行い、室温において高感度カー効果の走査型測定を行うことに成功した。 さらに、パルス光を使った高感度測定を行うため、従来研究室で持っていた干渉計をもう一台構築し、さらにパルス光を発生させるための光学部品や、シグナルを検出・解析するためのオシロスコープなどを導入した。今後パルス光を使った研究を進め、ピコラジアン級の検出を実証する。そして、構築した測定セットアップを用いて、非従来型超伝導体や新奇電荷秩序物質のTRS破れの測定や、電流等の外場の下で生じる微小なTRS破れの検出を行い、ピコラジアン級分解能装置の有用性を実証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は研究室の移転作業に多くの労力を割く必要があり、また研究室配属の学生も少ないという難しい状況の中、目指すパルス測定に向けた準備を着実に進めることができた。特に、Loop-less Sagnac干渉計をもう一台構築することができ、今後他の研究のスケジュールと干渉せずに実験ができる体制を確立できた。2024年度は4年生の学生1名をこのプロジェクト専属とし、パルス光を用いた実験を加速的に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
上で述べたように、研究室移転などの難しい状況の中でも本プロジェクトを進めるうえでの準備を着実に進めることができた。本年度は、新しく構築した干渉計を用い、ファイバーミラーなどの光デバイスをサンプルの代わりとしながら、パルス光を用いた測定の原理実証を進める。また、その結果に応じて、測定手法のさらなる改善を行う。特に、パルス測定をそのまま時間ドメインで観測するやり方と、パルスを周期駆動して得られるシグナルを低速のロックインアンプで検出する手法の比較検討を行う。 さらに、構築した測定セットアップを用いて、非従来型超伝導体や新奇電荷秩序物質のTRS破れの測定や、電流等の外場の下で生じる微小なTRS破れの検出を行い、ピコラジアン級分解能装置の有用性を実証する。また、装置開発や測定結果についての論文を執筆する。
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