Project/Area Number |
23K17679
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 14:Plasma science and related fields
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
伊藤 篤史 核融合科学研究所, 研究部, 准教授 (10581051)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
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Keywords | プラズマ-物質相互作用 / プラズマ-壁相互作用 / 時間依存密度汎関数理論 / 分子シミュレーション / プラズマ / Ehrenfest分子動力学 / 分子動力学 / プラズマ-壁質相互作用 |
Outline of Research at the Start |
プラズマと固体物質の相互作用(PMI)は半導体プロセスから核融合エネルギーにおよぶプラズマ研究にとって重要な課題であり,原子レベルのシミュレーションは大変有用である.しかし従来までに使われてきた二体衝突近似,分子動力学,そして密度汎関数理論ですら,モデルの制約上プラズマからの飛来物は中性原子で代替される.本来プラズマから飛来する粒子は荷電粒子であり,この違いは当該分野の長年のジレンマである.荷電粒子の引き起こす表面での電子の量子的なダイナミクスを調べるために,時間依存密度汎関数理論を用いた研究を立ち上げる.コード開発から着手することで,PMI特有の問題をも扱える計算手法を確立する.
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Outline of Annual Research Achievements |
プラズマと物質の相互作用研究における原子レベルシミュレーションでは、プラズマから飛来するイオン粒子を中性原子で代替したモデルが使われているという歴史的な課題がある。これは、現象を古典力学で記述する二体衝突近似(BCA)や分子動力学(MD)だけでなく、量子力学的な電子状態であっても基底状態を扱うことになる密度汎関数理論(DFT)においても同様である。本研究はこのような歴史的課題への取り組みとして、時間依存密度汎関数理論(TDDFT)を用いることで真にイオンの入射過程を扱う。 2023年度には独自のDFTおよびTDDFTコードであるQUMASUNの開発を立ち上げた。スーパーコンピュータ向けの大規模並列化も含めて、実用的なコードを完成させるに至った。オプション案としてオープンソースコードであるSALMONの改良や、OpenMXとの比較検討を行った。それにより、TDDFTの中でも、今回の対象のように原子核が大きく移動する現象を扱う場合には、原子核関連の項の数値精度の向上が大変重要であることが分かった。そして、その精度の改善策として原子核関連の情報だけは解像度を上げて計算するアルゴリズムを新たに考案し、我々のQUMASUNコードに組み込んだ。コード開発が順調に進んだことからもオプション案は必要なくなり、今後はQUMASUNコードに一本化して開発を進める。 2024年度以降はQUMASUNコードを実際に利用して、炭素材料表面やタングステン材料表面にイオン粒子を実際入射し、その中性化過程を量子力学的に理解する研究にも取り組む。同研究はすでにグラフェンに対する水素入射の問題で最初の結果を算出しており、2023年度中の国際会議・国内学会にて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、新しいTDDFTコードを一から開発したが、原子核を大きく動かせるTDDFTコードが世界的に少ない状況の中で、オプション案としてSALMONコードの改良も試みた。主案であるQUMASUNコードと、オプション案によるSALMON改良版とのどちらでもグラフェンへの水素イオン入射の計算を実行できるまでに至った。加えて、精度の向上のアルゴリズムを考案してQUMASUNコードにて実現できたことや、スパコン向けの大規模並列化まで進められたことなど、予想以上に順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度以降はQUMASUNコードを実際に利用して、炭素材料表面やタングステン材料表面にイオン粒子を実際入射し、その中性化過程を量子力学的に理解する研究にも取り組む。同研究はすでにグラフェンに対する水素入射の問題で最初の結果を算出しており、2023年度中の国際会議・国内学会にて発表を行った。また、2024年度においても国際会議に2件の発表が採択されている。アルゴリズム及びコード開発にも引き続き取り組み、精度改善の新しい手法の考案や、2023年度中に導入した計算機を利用したQUMASUNコードのGPGPU計算機対応も試みる。 また、本計算の計算結果は量子力学的に重なり合ったものとして算出される。このような計算は本分野においては初めての試みであると同時に、実験と対応付けるための物理的解釈においても多体量子系特有の扱いが必要となる。その点においても理論的研究を進め、コードだけでなく結果の解析法から解釈までを含めた提唱を分野内外に発信し、プラズマ-物質相互作用研究に新しい潮流を生み出すことを目指す。
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