Project/Area Number |
23K17684
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 15:Particle-, nuclear-, astro-physics, and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊永 英寿 東北大学, 電子光理学研究センター, 准教授 (00435645)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
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Keywords | 放射壊変 / エックス線 / 化学効果 / 微量分析 / X線 |
Outline of Research at the Start |
元素の存在量や存在状態を調べることは,物質の機能や構造を理解するための根幹であり,今日までに様々な分析手法が考案されている。例えば定量法として発光分光分析法や質量分析法などがあり,化学状態を知る方法(化学形態分析)として紫外・可視・赤外分光分析や放射光施設を用いたX線吸収微細構造分析などがある。マクロ量の試料があれば多くの分析法が適用可能だが,極微量になると化学形態分析は格段に難しくなる。一般にトレーサー量の試料に対しては,吸収や回折など通常の分光学的方法を用いて構造情報を得ることはできない。本研究の目的は放射性同位元素(RI)を用いた高感度定量分析法に化学形態分析を付加することである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は放射性物質からのエックス線を測定するための環境の整備を行った。検出器はシリコンドリフト検出器および低エネルギー対応のGe半導体検出器を組み合わせて,低エネルギーのエックス線からガンマ線まで測定できるようにした。測定チェンバーについては液体および固体の放射性同位元素を対象に測定ができるように設計を行った。低バックグラウンドで測定ができるように,原子番号が小さいものを使い,外部からの放射線を防ぐために鉛遮蔽も併用している。現在は密封小線源を用いて測定系および測定セルのテストを行っている所である。 化学状態を規定した測定線源で様々なデータを取得するために,放射性同位元素トレーサーの製造法の開発も進めている。東北大学電子光理学研究センターの大強度電子線形加速器を用いてクロムを始め複数の試料を照射し,様々な放射性同位元素を製造した。照射後の試料は一定期間冷却することで短寿命の放射性同位元素を減衰させ,化学分離を併用してできるだけ単核種の線源になるようにして利用している。化学状態を変化させた線源を作製するための,化学分離の手順についても元素ごとに検討しているところである。 本年度は更に多くの元素を利用するためにサイクロトロンを用いた放射性同位元素製造を行う予定であったが,使用予定であった東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターのAVFサイクロトロンの重故障のため,実施できなかった。これについては次年度以降に実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エックス線を測定する検出器系については順調に構築している。シリコンドリフト検出器と低エネルギー対応Ge半導体検出器のそれぞれ単体での測定データの取得はできている。同時計測の回路系については,まだ検討中の部分はあるが解析プログラムを作りながら基礎データを取得している段階である。 化学状態を規定した測定線源の開発についても問題は無い。使用予定であった東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターのAVFサイクロトロンは重故障のためRI製造実験を実施することはできなかった。しかし,電子光理学研究センターの大強度電子線形加速器を使った実験は実施できており,4-5元素程度の放射性同位元素を用いた研究開発は行えている。化学状態を変えた線源作製についてもクロムやスカンジウムをはじめとした数元素については手順ができている。本年度に比較的長寿命の核種を作っていることもあり,しばらく研究開発を行うことができる状態である。 以上より,測定系および線源開発について継続的に開発できており,概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は測定系の構築完了を目指して,基礎データを取得していく予定である。本研究で主に測定対象としているのは低エネルギーのエックス線であるため,自己吸収の影響が無視できない。本年度は溶液および固体での自己吸収の影響を見積もるため,厚みを変えた線源を用意して,測定エネルギーごとの自己吸収の影響を見積もる予定である。それにより,溶液セル等の測定治具を順次設計していき,全体のセットアップを構築していく。 化学状態を規定した測定線源の開発についても引き続き行っていく。化学状態を変化させやすい遷移金属元素を中心に線源調製法の開発を行い,順次エックス線測定を行っていく。核種ごとに増幅器の設定や同時計数の対象が異なるため,それについても検討を行っていく。前年度実施できなかった東北大学AVFサイクロトロンのRI製造については,今年度後半より実施できる予定であるためより多くのRIを対象に実験が進められる予定である。加速器が使えない期間についてはTc-99mなど市販のRIを用いた技術開発も進める予定である。
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