最先端の階層的気候モデリングに基づく全球凍結イベントの推移条件解明への挑戦
Project/Area Number |
23K17709
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 17:Earth and planetary science and related fields
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
藤井 昌和 国立極地研究所, 先端研究推進系, 助教 (80780486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小玉 貴則 東京工業大学, 地球生命研究所, 特任准教授 (80806662)
門屋 辰太郎 東京工業大学, 地球生命研究所, 特任助教 (60801347)
小長谷 貴志 東京大学, 大気海洋研究所, 学術専門職員 (50868289)
干場 康博 東京大学, 大気海洋研究所, 特任助教 (00774093)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | スノーボールアース(全球凍結) / 地球気候システム / 地形 / 大気海洋結合モデル / 雲解像モデル / 大気海洋結合モデル(AOGCM) |
Outline of Research at the Start |
全球が凍結するスノーボールイベントは、気候変動や生態の進化などに大きな影響を与えたと考えられている。現代の気候システムでは、大気・海洋・氷床・大陸/海底の各システム間の相互作用の検討が進んでいるが、全球凍結時におけるこのような検討はなされていない。本課題では、全球凍結時の大陸配置など地形境界条件に着目し、それがスノーボールイベントを大きく支配するという仮説のもと、その検証を目指した研究計画を設定した。全球凍結時の地形境界条件の設定、突入条件、脱出条件、継続期間に関する4つの小課題を設定し、最新の階層的気候モデルをスノーボール気候に適用することで、総合的かつ多角的に、極限古環境研究に挑む。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、全球が凍結するスノーボールイベントに着目し、全球凍結時の地形境界条件の設定、突入条件、脱出条件、継続期間に関する4つの小課題のもと、最新の階層的気候モデルをスノーボール気候に適用することで、総合的かつ多角的に、極限古環境の解明を目指す。2023年度は、古大陸分布を精査し、モデルに入力する中央海嶺と海溝の意義を考慮した上で、約6億年前のMarinoanスノーボール時の古地形を復元した。また、大気海洋結合モデルを用いて、現在海陸分布のもとで恒星放射フラックスを現在から91%までの複数通りの数千年長期積分を行い、全球凍結突入の条件を求めた。全球凍結突入後1000年以上にわたって気候計算を続けるための海洋モデルの設定を変更し、全球凍結突入後の海洋深層循環の経過を求めることが可能になった。全球雲解像モデルに関しては、初期段階として、 全球が氷に覆われた低二酸化炭素濃度状態を想定し、高解像度気候シミュレーションを実施した。大気海洋結合モデルと全球雲解像モデルにおけるスノーボール実験ができるように、現在モデルをアップデートしている。また、気候モデルとの結合を目標として氷床下での風化モデルを構築している。海洋生態系の変化については、低次栄養段階生態系モデルの開発の途上である。今後、大気海洋結合モデルでの水循環表現の改善、氷床底面融解による風化量の推定、スノーボール状態での雲形成/分布と全球気候への影響を定量評価、全球凍結中および脱出後における大陸風化率とそれに伴う大気中二酸化炭素の減少率の推定、低水温や低光量環境下での海洋生態系モデル実験を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スノーボール時の古地形など実験条件の設定、それぞれのモデルの改善は計画通り進んだ。大気海洋結合モデル(MIROC)では長期積分が実施できるようになり、雲解像モデル(NICAM)でも初期段階の計算が進んだ。大陸風化のモデル化、海洋生態系モデルの対応方策についても検討が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
古地形については、氷の底面融解や海洋生態系挙動に関するモデル結果に合わせて、地形の起伏と大陸棚の分布を再検討する。大気海洋結合モデルでの全球凍結気候では、海面に強い逆転層が形成され、現実にないような大気の水蒸気沈着が生じる問題が判明している。逆転層の強さにかかわる地表境界層拡散係数は不確実パラメータであり、今後調整して全球凍結気候の水循環表現を改善する。この問題は氷床底面融解による風化量推定・スノーボール継続時間議論につながる。さらに、全球が氷で覆われたスノーボール状態での雲形成/分布と全球気候への影響を定量評価する。 加えて、高二酸化炭素濃度大気におけるスノーボール状態からの脱出の条件を明らかにする目的で、長期気候シミュレーションを実施する。風化については、気候モデルによって推定される降雨・温度分布を用いて、全球凍結中および脱出後における大陸風化率およびそれに伴う大気中二酸化炭素の減少率の推定を行う。また、MIROCで計算された海洋物理場を用いて、海洋生態系モデルを駆動し、低水温や低光量環境下でのシミュレーションを実施する。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)