Project/Area Number |
23K17710
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 17:Earth and planetary science and related fields
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
菊地 翔太 国立天文台, RISE月惑星探査プロジェクト, 助教 (90830068)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 測地学 / 重力場 / 形状モデリング / 軌道決定 / 衝突イジェクタ / 天体形状 / イジェクタ |
Outline of Research at the Start |
21世紀に入り、太陽系進化解明のカギを握る小天体での滞在観測や物質採取が国内外で実現している。今後の小天体探査では、より内部の天体構造を理解することが課題であり、その有力な手段が自転・形状・重力場から内部構造に迫る測地学である。しかし、複雑な自転、いびつな形状、微小な重力など、従来の月惑星測地学とは対象天体の性質が大きく異なる。本研究の目的は、小天体に適した測地学手法を開発し、小天体構造の解明に繋げることである。特に、従来手法では性能が限定的な重力場推定に重点を置き、はやぶさ2のリュウグウ観測データを用いた実証的な研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
小天体の表層・内部構造の制約を目的とした測地学研究について、2023年度は主に以下3つの成果を上げた。 (1)電波や測距計を用いる従来の重力推定ではなく、画像にうつる対象天体の特徴点情報のみから天体の重力定数を推定するアルゴリズムを確立した。この手法を適用することで、はやぶさ2に搭載された分離カメラの画像を用いて、分離カメラ自身の軌道を推定することで、リュウグウの重力定数を10%精度で推定できた。 (2)はやぶさ2がリュウグウで実施した人工クレーター形成実験について、分離カメラにより観測された衝突イジェクタの軌道推定を進めた。(1)で推定した分離カメラの位置情報を用い、さらには軌道モデルの非線形性や速度スケーリング則を利用することで、2次元の画像情報から、放出粒子の3次元的な軌道を決定した。今後は、スケーリングパラメータの詳細な評価を行い、それに基づいて天体表層構造に関する示唆を得ることを目指す。 (3)(1)の成果により、画像情報のみでも有効な測地学的情報を抽出しうることが分かった。より高精度な測地パラメーター推定のためには、小天体の不規則形状を正確に復元し、天体に対する物体の位置を精度よく決定する必要がある。そこで、火星衛星探査計画MMXを題材にして、stereophotoclinometry (SPC) 法によるフォボスの形状モデリングについて解析を行った。特に、限られた観測機会・データサイズで高精度の形状モデルを生成するための光学観測方法を検証した。これにより、太陽-火星-フォボス-探査機間のジオメトリを考慮しつつ、最適な撮像タイミングや指向条件を決定するための指針を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、主に画像解析を中心として小天体測地学の研究を進めた。特に分離カメラの軌道情報を利用した重力推定については、当初の計画通りに研究を遂行できた。また、画像情報を用いた重力推定に際して、天体形状モデルの高精度化が重要であることが分かったので、付加的な課題として光学観測の最適化について研究した。一部予定を変更しつつも、新たな研究成果も創出できたので、研究の進捗状況は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、2023年度に開始した衝突イジェクタの軌道推定の研究を継続して行う。特に、はやぶさ2のリュウグウ観測データを用いて、衝突に関する物理パラメーターを制約することで、リュウグウ表層構造に関する示唆を得る。本トピックは、物体の軌道と天体の重力場を同時推定する意味での旧来の測地学と、衝突現象の物理学とを融合した研究課題である。第二に、2023年度に確立した形状モデリングのための観測計画を基に、フォボスの模擬画像を用いて、SPC法によりフォボスの形状モデル生成の実験を行う。この実験を通じて、光学観測の条件が地形の復元現度に与える影響について評価する。また、この研究課題を通じて得た指針は、2027年にフォボスを探査する予定のMMXミッションにおける測地学的な成果向上に活用する。第三に、探査機から分離した人工物の軌道運動を探査機が追跡することで、小天体の重力場を決定する手法について研究を行う。従前の研究では、人工物を真下に直線的に投下するケースでの重力推定を実施しているが、天体を周回するようなケースでは測地学的手法が十分に確立していない。本研究では、この新たな小天体重力場の推定方法を確立するとともに、実ミッションへの適用性を探る。
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