Project/Area Number |
23K17726
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 19:Fluid engineering, thermal engineering, and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高奈 秀匡 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (40375118)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
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Keywords | 導電性高分子 / プラズマ重合 / 気泡内プラズマ / 混相流 / プラズマ内包気泡 / PEDOT |
Outline of Research at the Start |
本研究は, (1) 超音波乳化によるEDOTナノエマルジョン溶液の創製,(2) プラズマ内包気泡によるプラズマ重合反応を用いた溶液中での高速EDOT重合法を開発し,導電性高分子であるPEDOTの革新的創製法を確立するものである。本研究では,超音波乳化により生成したナノエマルジョン溶液中でプラズマを発生することにより,複雑な化学合成過程を伴わずに数十ナノ程度PEDOT超微粒子をワンステップで連続的かつ高速に創製することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)は最も成功した導電性高分子の一つであり,固体電解コンデンサから有機EL,タッチパネルやフレキシブル有機太陽電池など様々な分野において幅広く用いられており,有機エレクトロニクスにおけるキーマテリアルとされている。本研究は,超音波乳化法とプラズマ内包気泡によるラジカル重合反応を利用した,超微細導電性ポリマー粒子の高速創製法の開発を目指すものである。 初年度である2023年度においては,超音波乳化法と気泡内プラズマによるラジカル重合反応装置の開発に成功した。原料であるEDOTは高い疎水性を示すため,気泡内放電を行うためには,安定なEDOT分散媒を得る必要があった。本研究においては,超音波ホモジナイザーと超音波霧化装置による2段階の超音波撹拌処理により,EDOTエマルジョンを得ることができた。アルゴン・酸素混合ガスをプラズマ生成ガスとして,本溶液中で気泡内放電を発生させ,高速度カメラによる可視化を行った。その結果,気泡内で発生するストリーマは,気泡界面に沿って気泡内を進展することが明らかとなった。また,分光計測から平均電子エネルギーは,5-6 eV程度であり,一定印加電圧の下では,酸素濃度の増加に伴い平均電子エネルギーが低下することが示された。 本方式により, 平均径が600 nm程度のPEDOTナノ粒子を連続生成することに成功した。また,PEDOT創製においては,プラズマ生成ガス中の酸素濃度に最適値が存在することが明らかとなった。創製PEDOT薄膜のFT-IRおよび紫外可視吸収分光により,最適酸素濃度の下においては,基本分子骨格の変性が見られず,ポーラロン状態のPEDOTが多く生成されることが分かった。さらに,気泡内プラズマにより生成されるPEDOTには,カルボキシ基が修飾されており,高い水分散性が付与されることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超音波乳化処理と気泡内プラズマによるラジカル重合により,目的としていたPEDOTの創製に成功した。さらに,その特性材料特性評価から,本手法におけるPEDOT創製においては,最適酸素濃度が存在することが明らかとなったため,本研究は概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,研究協力者であるINSA LyonのCavaille教授らのグループとともに,更なる材料特性評価を行い,従来法に対する本手法の有意性を明らかにする。さらに,高速度カメラにより,気泡内プラズマの発生および気泡内での放電進展を可視化し,作動条件に応じた放電挙動を明らかにする。さらに,放電分光計測により,印加電圧や酸素濃度に対する電子温度・密度を求め,創製PEDOTの材料特性と相関づけて議論する。また,気泡内放電の数値モデルを確立し,数値シミュレーションにより,プラズマ生成化学種の溶液中の拡散現象を解明し,溶液内での化学組成を明らかにする。以上により,実験・数値シミュレーションの両面からの多角的観点で解析することで,気泡内放電によるPEDOT創製法の確立を目指す。
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