Project/Area Number |
23K17743
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 21:Electrical and electronic engineering and related fields
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
村上 尚 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90401455)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 窒化ガリウム / エピタキシャル成長 / 転位 / 低転位密度 / ハライド気相成長 / トリハライド気相成長 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、GaNウエハの無転位化、大口径化、低コスト化の三つを満たすアプローチとして、THVPEとHVPEのハイブリッド法によるGaN高速成長を推進する。GaN微小種結晶の上でのGaCl3分子の吸着特異性を利用した選択的成長による低転位化、THVPE/HVPEハイブリッド成長による意図的な非成長領域形成による低転位化の二つのアプローチ検討を行う。さらに、拡径成長を組み合わせて、これまで達成がなされていない超低転位密度かつ大口径のGaN厚膜結晶の創製を目指す。また、転位の伝搬挙動を光学的手法や電子顕微鏡により明らかにし、効率的な転位低減のアプローチ提案、転位低減メカニズムを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、GaClを用いるハライド気相成長法(HVPE)とGaCl3を用いるトリハライド気相成長法(THVPE)を巧みに組み合わせ(ハイブリッド化)、それぞれの優位な部分を利用した低転位化技術の開拓を目的としている。初年度である令和5年度は、HVPEとTHVPEハイブリッド成長によるGaN厚膜成長およびHVPEを用いた意図的な非成長領域の形成の検討を行った。 本研究グループ独自の手法であるCl2系HVPEは、通常のHVPEとは異なり反応前駆体であるGaClをHClではなくCl2を用いて生成するため、炉内の水素分圧を減らすことができ、GaN成長の駆動力を高温でも大きく取れることが特徴である。成長温度を1200~1400℃の範囲に設定(通常のHVPEでは1050℃程度が上限)し、成長の可否を検証した。その結果、1350℃にて150μm/h以上の成長速度にてGaNの高品質結晶の成長が可能であることがわかった。高温でのGaN結晶成長は結晶表面での原料分子のマイグレーションが促進されるため、二次元的な平坦成長が進行しやすく、転位密度の減少にも寄与する。また、GaNの成長反応にて生成される水素により、転位周りでのエッチングが生じ、ピットが生じることも確認した。ピットは本申請で提案しているTHVPEとの組み合わせにより無転位領域を意図的に発生させるために重要な部位となるため、本結果は研究計画推進上で良好なものであると判断する。また、Cl2系HVPEによるGaN成長の後、その上にGaCl3を原料に用いるTHVPEによりGaN厚膜を成長したところ、HVPE層とTHVPE層との間には新たな欠陥のない良好な界面が形成されていることも確認された。本成果をもとに令和6年度以降に低転位化および厚膜成長の検討を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度はGaN結晶のハイブリッド成長法(HVPEとTHVPEを組み合わせた新たな手法)の確立のため、Cl2系HVPEによる高温結晶成長の可否の検証とTHVPEとの組み合わせの可否の検証を行った。これは、THVPEの成長温度である1300℃以上での結晶成長がHVPEでも可能とならないと、ハイブリッド化した際に結晶劣化やオペレーションタイムの増加(産業化の際のスループット悪化)に繋がるため重要な事項である。結果としては、Cl2系HVPEにて1350℃での高温・高速成長を達成したのに加え、THVPEとのハイブリッド化においても特段結晶性に問題なくGaNの成長ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度の研究にて当初の目的の通り、HVPEとTHVPEの組み合わせによるハイブリッド成長技術が確立できたため、令和6年度以降では低転位(欠陥)化に向けた検討を進める。具体的には、Cl2系HVPEやTHVPEによって成長したGaN結晶中の転位の動きについて、光学的手法を用いた評価を行う。高温成長により転位は横方向に曲げられる効果が報告されており、これにより転位の対消滅が期待され低転位化につながる。これまで報告がなかった1350℃以上でのGaN成長により転位の減少やそのメカニズムを明らかにする。 また、意図的な転位低減のアプローチとして、令和5年度で確認されたピット形成とTHVPEによるピット上での無転位化技術を確立する。さらには、もう一つの低転位化アプローチとして、加工基板(ポイントシード基板)の準備を進め、ポイントシード上での選択的な結晶成長技術を確立する。
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