Project/Area Number |
23K17794
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 24:Aerospace engineering, marine and maritime engineering, and related fields
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
伊里 友一朗 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (90794016)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 高エネルギーイオン液体 / マルチペア・イオン液体 / 化学推進 / 電解着火 / 反応制御 |
Outline of Research at the Start |
新しい宇宙機推進科学の萌芽に向けて,望ましい物性および燃焼性能を自由にデザインできるエネルギー・マルチペアイオン液体推進剤(EMIP)を創成し,その物性発現および詳細化学反応学理を構築することに挑戦する.当該学理に基づいて,EMIPの物性及び化学反応を能動的に制御し,推進剤として望ましい性能(推進性能,安全性,良取扱性など)を実現することが目的である.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,新しい宇宙機推進科学の萌芽に向けて,望ましい物性および燃焼性能を自由にデザインできるエネルギー・マルチペアイオン液体推進剤(EMIP)を創成し,その物性発現および化学反応学理を構築すると共に,EMIPの物性及び化学反応を能動的に制御し,望ましい性能(推進性能、安全性、良取扱性など)を実現することである.特に着火制御は推進剤運用および安全確保において重要な因子であり、この制御技術確立に挑戦するものである。 2023年度は、以下に示す通り、推進剤として優れた特性を有するEMIPの調整と電圧印加によるEMIPの着火燃焼誘起を達成できた。アンモニウム、ヒドロキシエチルヒドラジニウムカチオンとジニトラミド酸、硝酸アニオンの4種のイオンから構成されるEMIPを実際に調整し、基礎物性を把握した。当該EILは組成によっては-30 ℃で液体状態を保持し、理論密度比推力はヒドラジン推進剤の1.5~2倍程度を有することがわかった。 EMIPの反応制御による着火誘起検討については、電圧印加方式に着目して研究を行った。液滴電解試験を行い、推進剤が電解と熱分解が相互作用しながら着火に至ることが示され、電圧印加方式が難着火性のEMIPに対して有効であることを確認することができた。宇宙機用小型スラスタへの展開を想定して、電圧印加方式を備えたEMIP用燃焼器(2重円筒電極燃焼器)を3Dプリンターにより試作し、着火・燃焼試験を行うこともできた。その結果、電圧印加機構によるEILの着火・燃焼によって実際に推力を得られることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度(初年度)は、推進剤として優れた特性を有するEMIPの調整と電圧印加による着火燃焼誘起を達成しており、研究は概ね順調と判断した。2024年度からはこれらメカニズムの解明に本格的に着手する予定である。 推進剤として優れた特性を有するEMIPの調整については、アンモニウム、ヒドロキシエチルヒドラジニウムカチオンとジニトラミド酸、硝酸アニオンの4種のイオンから構成されるエネルギー・マルチペアイオン液体推進剤(EMIP)を実際に調整し、推進剤物性および熱安定性を評価した。EMIPは組成によっては-30 ℃で液体状態を保持し、理論密度比推力はヒドラジン推進剤の1.5~2倍程度を有することがわかった。 EMIPの反応制御による着火誘起検討については、電圧印加方式に着目して研究を行った。液滴電解試験を行い、推進剤が電解と熱分解が相互作用しながら着火に至ることが示され、電圧印加方式が難着火性のEMIPに対して有効であることを確認することができた。宇宙機用小型スラスタを想定した電圧印加方式を備えたEMIP用燃焼器(2重円筒電極燃焼器)を3Dプリンターにより試作し、EMIPの着火・燃焼試験を行うこともできた。その結果、電圧印加機構によるEILの着火・燃焼によって実際に推力を得られることを確認できた。しかし、確率的に激しい着火(ハードスタート)が発生することで燃焼器が破裂する現象も観察され、改善の余地がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、アンモニウム、ヒドロキシエチルヒドラジニウムカチオンとジニトラミド酸、硝酸アニオンの4種のイオンから構成されるエネルギー・マルチペアイオン液体推進剤(EMIP)が他の推進剤と比較して、低い凝固点と高い理論密度比推力を有することがわかった。加えて、電圧印加によってエネルギー・マルチペアイオン液体推進剤(EMIP)が着火・燃焼可能であることが示された。2024年度はこれらメカニズム解明に関する研究を次に示す通り実施する予定である。 EMIPの電解機構をサイクリックボルタンメトリー/ラマン分光同時分析を用いて解析する。これは酸化還元電位を測定すると共に、ラマンスペクトルの変化を計測するもので、酸化/還元に伴う反応機構を特定することを意図したものである。ここで推定された反応機構を量子力学計算によって理論的に解析し,申請者がこれまで取り組んできた液相化学反応の詳細モデリング技術を使ってモデル化する。 EMIPの融点降下メカニズムは,化学結合や相互作用に由来する光学スペクトルを測定できる分光分析(赤外吸光分析,ラマン分光分析)と量子力学計算を組み合わせることで,EMIP中の物理・化学相互作用箇所を特定し,それによる融点降下メカニズムについて考察する。
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