Project/Area Number |
23K17817
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 26:Materials engineering and related fields
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
田村 友幸 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90415711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
烏山 昌幸 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40628640)
本田 光裕 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50749504)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 光触媒 / アモルファス / 光触媒材料 / アモルファス構造 |
Outline of Research at the Start |
我々は最近,表面アモルファス構造を持つTiO2薄膜では,光触媒反応速度が13倍に増強することを見出した.実験計測と理論計算による予備研究から,i) アモルファス層は4配位Tiで構成されており,ii)結晶中とは異なるギャップ内準位をもつ欠陥種が含まれている,と考えている.本研究では,結晶では考えられない高密度4配位Tiが実現可能なアモルファス構造及び内在欠陥の制御の可能性を示し,通常は撥水性が高いが光照射時には親水性が高い機能性表面を創成することで,高光活性と化学的耐久性を兼ね備えた光触媒材料を実現する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題で実施する「チタニアガラス薄膜中の欠陥制御による機能性表面の創成と高光活性材料の開発」のために,本年度は,以下の4項目を遂行した. (1)薄膜中の酸素欠陥が及ぼす影響の解明: 実験においてアモルファス表面では結晶表面よりも触媒活性が高く,親水性も高くなった.そこで,アモルファス表面モデルとAnatase結晶(101)表面モデルにおける水分子の吸着エネルギーを計算した.すでに,単一水分子ではアモルファス表面の方が吸着エネルギーが大きく,水分子が吸着しにくいという結果を得ていた.今年度は,複数水分子の計算を実施した.水分子同士の相互作用,TiO2の表面内部における酸素空孔欠陥の影響をそれぞれ考慮したが,単一水分子と同様の傾向を得た.よって,これらの計算モデルでは実際の材料の表面における環境を正しく表現できておらず,別の要素を加えて検証することが必要である. (2)表面分子の化学反応の解明: アセトアルデヒドと水分子が共存するモデルを作成し,様々な荷電状態での第一原理分子動力学シミュレーションを行った. この結果, アセトアルデヒドが酢酸を経由して分解される経路を特定した.また,分解には電子ではなく正孔が寄与していることが明らかになった. (3)酸化チタン薄膜及び表面アモルファス構造欠陥の制御: 異なる条件(温度、雰囲気ガス)で前処理を施すことで、酸素空孔にトラップされた電子対により生成する欠陥種(F、F+センター)の相対密度が変化させて,欠陥種が活性に及ぼす影響を調べた. (4)表面吸着分子の安定構造探索コードの開発: 表面吸着分子の安定構造の探索は,膨大な空間での探索問題であり,情報科学のベイズ最適化の技術を導入して,劇的な効率化を図った.記述子を実空間座標から分子を中心とした原子環境に変更することで,探索回数を劇的に削減できることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「表面吸着分子の安定構造探索コードの開発」は概ね達成されたと考えている.「チタニアガラス薄膜中の酸素欠陥が及ぼす影響の解明」については実験と計算で不一致があり,今後は,計算モデルに含まれていない因子を検討する.「表面分子の化学反応の解明」は実験に先行して反応過程を捉えており,今後は実験測定でその妥当性を検証する.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)薄膜中の酸素欠陥が及ぼす影響の解明: 実験でのTiO2材料の表面状態を正しく表現するために含める因子として,最表面における酸素空孔欠陥があげられる.最表面の酸素空孔欠陥には水分子などが容易に吸着することが考えられ,それらが解離すると表面状態が変化する.したがって,水分子の吸着のしやすさが大きく変化する可能性がある.また酸素空孔欠陥について,分布や形成のしやすさ,新たに形成される酸素欠陥準位の位置などをさらに詳しく調べることで電荷分離・電荷輸送にどのような違いをもたらすかについても明らかにし,触媒活性を高める要因についても検討する. (2)表面分子の化学反応の解明: 昨年度アセトアルデヒドが酢酸を経由して分解される経路を特定したが,その妥当性を検討するために,赤外吸収分光の実験測定とシミュレーションを行い,比較する.また,NEB法を用いて反応経路の活性化エネルギーを算出することで,アセトアルデヒドの分解過程の律速を特定し,触媒活性向上を目指す. (3)酸化チタン薄膜及び表面アモルファス構造欠陥の制御: 欠陥構造を含む薄膜結晶及び表面の電子状態を特定するために,透過型電子顕微鏡観察による電子エネルギー損失分光法(EELS)による分析を行う.
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