Project/Area Number |
23K17830
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 26:Materials engineering and related fields
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
溝尻 瑞枝 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (70586594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 渉 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (40292172)
倉橋 貴彦 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (00467945)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
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Keywords | マイクロ流路 / フェムト秒レーザ / 表面改質 / ポリジメチルシロキサン / 表面自由エネルギー |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は,マイクロ流路壁面の細胞吸着現象を解明し,「詰まらない」流路を開発することにある.吸着メカニズムの仮説として,マイクロ流路内の「圧力」と「化学吸着」により,ある圧力以上ではPDMS流路壁面と酵母の細胞壁の間に化学結合を形成できる「距離」があると考えている.「PDMS表面自由エネルギー×細胞壁表面官能基×圧力×距離」と「吸着」の関係を明らかにし,緩衝層流を導入した,吸着せず詰まらない流路を創製する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,マイクロ流路壁面の細胞吸着現象を解明し,「詰まらない」流路を開発することにある.吸着メカニズムの仮説として,マイクロ流路内の「圧力」と「化学吸着」により,ある圧力以上ではPDMS流路壁面と酵母の細胞壁の間に化学結合を形成できる「距離」があると考えている.「PDMS表面自由エネルギー×細胞壁表面官能基×圧力×距離」と「吸着」の関係を明らかにし,緩衝層流を導入した,吸着せず詰まらない流路を創製する.具体的には,1. マイクロ流路内の細胞吸着メカニズムの解明,2. 詰まらないマイクロ流路の創製の2点,以下3項目について取り組む. 令和5年度は,1. 吸着メカニズムの解明を目指し,(1) 流路内部の親水・撥水性領域の制御と(2) 圧力印加による吸着特性評価の2点に取り組んだ. (1) 流路内部の親水・撥水性領域の制御:疎水化処理後,グリーンフェムト秒レーザ(波長515 nm)の多光子吸収を利用してPDMSの表面処理を行った.その結果,PDMS表面へ微細構造を自己組織的に形成することに成功した.その表面は,水の接触角170°と超撥水特性を発現することを明らかにした. (2) 圧力印加による吸着特性評価:酵母に圧力印加・洗浄可能なメンブレン付きマイクロ流路を試作した.具体的には,流路を2層構造とし,上部流路に空気圧を印加することで下部流路天井のメンブレンと流路底部との間で酵母に圧力印加できる形状とした.試作デバイスによる印加圧力を,Solid Worksによるシミュレーションにて求めたところ,酵母へは約0.2 MPa印加できると見積もられた.当初予定の形状設計については,来年度実施予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PDMS表面の濡れ性制御について,レーザ照射により当初の予定よりも非常に優れた超撥水性となることが明らかとなった.そこで,この原因を解明したところ,レーザ照射によりPDMS表面へ自己組織的に微細構造が形成されたことが主因と考えられる.この評価を中心に行ったため,当初計画の圧力印加デバイスの設計は実施できなかったが,最終的にはこの超撥水化処理の発見は,酵母のPDMS表面への吸着を抑制し,「詰まらない」流路の実現へ大変有用であることから,おおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的である「詰まらない」流路を開発に向け,マイクロ流路壁面の細胞吸着現象の解明を目指す.令和5年度は,1. マイクロ流路内の細胞吸着メカニズムの解明,を目指し,流路内部の親水・撥水性領域の制御と圧力印加による吸着特性評価に取り組んだ.令和6年度は,その知見をもとに,酵母をPDMS流路壁面へ接触させないため,流路表面を超撥水化し,層流を利用した壁面への緩衝層流導入による吸着抑制効果を評価する.具体的には,PDMSマイクロ流路壁面へ酵母が接触しない“緩衝層”となる層流を導入することで,令和5年度(2)で試作したデバイスを用いて路内の酵母印加圧力を把握し,その知見から吸着抑制に十分な緩衝層厚さを決定する.マイクロ流路内の流体シミュレーションを行い,流速や圧力による酵母吸着率への影響を明らかにし,マイクロ流路のどの箇所においても吸着が生じないマイクロ流路形状を設計・試作する.
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