Project/Area Number |
23K17834
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 26:Materials engineering and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
邑瀬 邦明 京都大学, 工学研究科, 教授 (30283633)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | 銅製錬 / 電解精製 / 電解製錬 / 回転電極 / リサイクリング |
Outline of Research at the Start |
金属の電解は、材料工学の上流に位置する基盤技術である。非鉄金属を代表する銅も、製錬の最終工程で電解を使っている。近年は、有価金属を含むリサイクル原料が銅製錬へ積極的に投入されるなど、銅製錬は単なる銅の生産に加え、非鉄金属の資源循環において下流(静脈)を上流(動脈)へとつなぐ重要なスキームを担う。本研究は、その銅製錬を高速化して資源循環を促進するため、平板型の電極(陽極と陰極)を使う現行の電極デザインの抜本的な変革に挑戦する。電解液中のイオンの移動を促進して高い電流密度での電解を実現するため、回転円柱電極を使った新しい陽極システムを設計し、その適用性をシミュレーションと実験の両面から探る。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、乾式熔錬と電解精製を組み合わせた現行の銅製錬を高速化して資源循環を促進するため、平板型の電極(陽極と陰極)を使う現行の電解精製の電極デザインの抜本的な変革に挑戦している。 本年度はまず、有限要素法による3次電流分布解析により、円筒型の電極を使った新しい陽極システムのシミュレーションを始めた。ここでは、溶液の対流を考慮した比較的計算コストの高いシミュレーションを行うため、新たにワークステーションを導入し、まずその立ち上げから行った。現行の平板アノードの体積(重量)を考慮して設計した円柱型の銅電極を用いた場合、速度 30 rpm 程度の回転によって、アノード表面の銅イオン濃度の上昇は 60% 程度抑制されることがわかった。ここでは、簡単のためカソードも円筒形状に設定した。アノード表面の銅イオン濃度は、回転速度の上昇にともない、回転軸方向に不均一となり、いわゆる「テイラー渦」が形成されることによる周期的な揺らぎが現れた。円筒アノードの回転による強制対流の導入や、テイラー渦を介した速い物質移動がアノード表面の銅イオン濃度の低減(すなわちアノード不動態化の防止)に有効であることがシミュレーションから示された。また、テイラー渦が生じる位置は、給液・排液による流れの制御や、電極間距離の制御によって、固定されずに移動することがわかった。以上の結果を受け、実際に円柱型の回転アノードを使用可能な模擬電解実験装置を設計するとともに、各部材を用意して組み立てた。現在、それを用いて種々の模擬電解実験にとりかかっている。 シミュレーションの結果は、2023年秋に開催された資源・素材学会の秋季大会、ならびに資源・素材学会関西支部の若手研究者・学生のための研究発表会で発表し、後者では優秀発表賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ワークステーションを初期に導入したことで、計算コストの高いシミュレーションが可能になり、テイラー渦の出現など、当初は予測していなかった細かな現象の解析を的確に実施することができた。実際の電解実験のための模擬電解装置も完成し、計画は順調にすすんでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
3次電流分布解析から、不動態化の抑制に効果があると判断された電極形状や配置をもとに、模擬電解を行う。円柱形状に鋳造した純銅や粗銅を用いて数日間の電解を行い、アノードが不動態化を起こさず溶解が均一に進むかどうか実験的に検証する。有効性が確認された場合には、電解電流を全体として高く設定し、電析速度すなわちカソード電流密度を現行に比べてどこまで高くできるか、上限を明らかにする。アノードを不動態化させずにカソード電流密度を現行の2倍とすることが目標である。 研究の最後には、実用性を判断するため、回転円柱電極の動作を含めた電解全体に要するエネルギーをもとに、電気銅生産の電力原単位を試算する。平行平板電極を使う現行法に比べたアドバンテージを見極め、成果を発展させる場合には、新たな科研費へ応募する。 研究は、大学院生1名とともに行っており、成果は資源・素材学会や電気化学会で発表するとともに、学術誌へ公表する計画である。
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