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有機合成反応におけるマイクロ波の非熱的効果懐疑論の打破

Research Project

Project/Area Number 23K17845
Research Category

Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)

Allocation TypeMulti-year Fund
Review Section Medium-sized Section 27:Chemical engineering and related fields
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

安田 誠  大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (40273601)

Project Period (FY) 2023-06-30 – 2025-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Keywordsマイクロ波 / 選択性 / 有機合成 / 官能基 / 非熱的効果
Outline of Research at the Start

マイクロ波の非熱的効果を堅実化させる。我々の開発したC3対称キラルルイス酸は分子内の回転障壁により不斉環境を与える。この系にマイクロ波を照射する系において、構造設計と選択性について検討を行う。また、photoredox触媒の反応系にマイクロ波を照射することで、項間交差で生じるT1へのマイクロ波の影響を観察する。これらはすべて新反応であり、マイクロ波の非熱的効果による新有機合成手法として構築する。

Outline of Annual Research Achievements

有機合成に対して、マイクロ波の非熱的効果を活用するための検討を行った。芳香族ハロゲン化物をアミン存在下、適切なフォトレドックス触媒を用いて光照射条件で反応を行うことにより、芳香環上のハロゲンが水素で置き換わった還元生成物が得られた。しかしその収率は低く、さらなる活性化が必要である状況であった。この系にマイクロ波を照射すると収率の向上が見られた。反応条件を多数検討し、繰り返し実験により誤差のない結果を得る注意深い実験を行ったが、いずれの場合もマイクロ波による加速効果が見られた。一方で、非熱的効果を堅実化するために、系の温度上昇を抑える工夫が必要と考え、装置の再検討・設計を行っている。コンベンショナル条件とのフェアな比較を行うことのできる実験装置を組み上げることに注力し、暫定的ながら正確な実験を行える段階となった。その実験系による結果においてもマイクロ波の効果が見られた。
糖類の縮合反応におけるマイクロ波の効果を検討した。多量体が生成する可能性のある系において、マイクロ波はその数を制御することが可能であった。実際は、通常の多量体よりも多くの縮合が起こる結果となった。おそらく、クラスタリング効果により、マイクロ波の吸収効率が多量化するほど高まるためであると思われる。これらの結果を定量的に解析することも成功した。
アリルシランやビニルシランとアルコールの反応において、マイクロ波が効果を示すことが予備実験より判明していた。この系の熱的効果を除去するための実験系の構築と反応検討を行った。その結果、わずかではあるがマイクロ波の非熱的効果が見出された。
このように、いくつかの系においてマイクロ波の非熱的効果を堅実化させることができた。より価値の高い反応系への展開をめざして、多くの系に対する、マイクロ波の効果の検証を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

マイクロ波の非熱的効果を有機合成へ活用するための検討をいくつか行い、すでにその効果を示す系を見出している。
1)芳香族ハロゲン化物の光触媒による還元反応---芳香族ハロゲン化物をアミン存在下、適切なフォトレドックス触媒を用いて光照射に加えてマイクロ波を照射すると、芳香環上のハロゲンが水素で置き換わった還元生成物が得られ、それは、マイクロ波非照射に比べて大きな効率の向上が見られた。2)糖類の縮合反応---糖類の縮合反応におけるマイクロ波の効果を検討したところ、多量体を選択的に生成することがわかった。これは、多量体になるほど極性のクラスタリングが起こり、マイクロ波の吸収の効率が上がることが原因と推察している。3)アリルシランおよびビニルシランとアルコールの反応---アリルシランおよびビニルシランとアルコールの反応において、マイクロ波照射によって高い反応性向上を導くことが判明した。この系の詳細な解析を行なっているところであるが、極性置換基(この場合はヒドロキシ基)が局所的にマイクロ波を吸収するとの仮説を支持する結果を得た。
これらの結果から、当初の目的であるマイクロ波の非熱的効果の堅実化に関しては成功をおさめたと判断できる。これらの検討の中で、全く新しい新規の変換反応を見出すべく現在検討を行なっている。
装置に関して、光とマイクロ波を同時に照射し、かつ非熱的効果を評価できる温度制御可能な装置の開発に着手している。現在、暫定的な装置の使用を行なっているが、この反応装置の本格的構築は、今後のマイクロ波/光照射系にあたらな一歩をもたらすものであると大きな期待がよせられるものである。

Strategy for Future Research Activity

本年度の研究により、すでにいくつかの反応において有機合成におけるマイクロ波の非熱的効果の堅実化に成功した。一方で、これらの反応形式は、全く新しい変換反応ではなく、既知の反応の改良版にとどまっている段階である。しかし、すでに基礎的な知見が得られ、官能基とマイクロ波の相性が判明している段階にきており、今後は新反応開発に向けた検討を精力的に行う予定である。多官能性化合物中での選択的官能基認識に基づく選択的反応において、必ずやマイクロ波の非熱的効果は効果を示すはずであり、その基質合成と反応剤の検討を行う予定である。また、光照射とマイクロ波照射の協働系は、まったく新しい合成ツールとなりうるもである。この研究における最大のネックは、実験装置の構築である。すでに暫定版の装置の構築には成功しており、今後は、機械工作業者との交渉による装置設計を行う予定である。実際、すでに図面交換を行なっており、早期の装置導入が可能な状況である。均一性の高い、そして信頼性の高い光照射/マイクロ波照射の協働系実験が可能になれば、多くの反応検討結果をこの世に出すことができ、学術的なインパクトはきわめて高いことが期待される。さらに実用的には、フロー合成を活用すれば、大量合成系への移植も容易であり、その展開をめざした検討を行う。
極性化合物を対象とした反応がマイクロ波に相性がいいことが判明しており、典型的な官能基の反応性の順位づけを行なっていきたい。物理化学的な解析により反応速度を基盤とした分析を行う。加えて、その系に光照射を行った場合の反応向上率についても検討を行う予定である。

Report

(1 results)
  • 2023 Research-status Report
  • Research Products

    (5 results)

All 2024 2023

All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] N-2,6-Di(isopropyl)phenyl-2-azaphenalenyl radical cations2024

    • Author(s)
      Inoue Takeru、Matsuura Yuuka、Horii Koki、Konishi Akihito、Nishida Jun-ichi、Yasuda Makoto、Kawase Takeshi
    • Journal Title

      Chemical Communications

      Volume: 60 Issue: 13 Pages: 1735-1738

    • DOI

      10.1039/d3cc05968e

    • Related Report
      2023 Research-status Report
    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Sequential C-F Bond Transformation of the Difluoromethylene Unit in Perfluoroalkyl Groups: A Combination of Fine‐Tuned Phenothiazine Photoredox Catalyst and Lewis Acid2024

    • Author(s)
      Sugihara Naoki、Nishimoto Yoshihiro、Osakada Yasuko、Fujitsuka Mamoru、Abe Manabu、Yasuda Makoto
    • Journal Title

      Angewandte Chemie International Edition

      Volume: 63 Issue: 14

    • DOI

      10.1002/anie.202401117

    • Related Report
      2023 Research-status Report
    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Synthesis and Characterization of Dibenzothieno[a,f]pentalenes Enabling Large Antiaromaticity and Moderate Open-Shell Character through a Small Energy Barrier for Bond-Shift Valence Tautomerization2023

    • Author(s)
      Mizuno Yusuke、Nogata Akira、Suzuki Mitsuharu、Nakayama Ken-ichi、Hisaki Ichiro、Kishi Ryohei、Konishi Akihito、Yasuda Makoto
    • Journal Title

      Journal of the American Chemical Society

      Volume: 145 Issue: 37 Pages: 20595-20609

    • DOI

      10.1021/jacs.3c07356

    • Related Report
      2023 Research-status Report
    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Cage‐Shaped Phosphites Having C3‐Symmetric Chiral Environment: Steric Control of Lewis Basicity and Application as Chiral Ligands in Rhodium‐Catalyzed Conjugate Additions2023

    • Author(s)
      Liu Xiao、Tomita Kazuma、Konishi Akihito、Yasuda Makoto
    • Journal Title

      Chemistry A European Journal

      Volume: 29 Issue: 67

    • DOI

      10.1002/chem.202302611

    • Related Report
      2023 Research-status Report
    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 典型元素の特長を活かした構造制御による新反応開発2023

    • Author(s)
      安田 誠
    • Organizer
      令和5年度有機合成セミナー(東海支部)
    • Related Report
      2023 Research-status Report
    • Invited

URL: 

Published: 2023-07-04   Modified: 2024-12-25  

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