Breakdown of the Quantum Spin Statistical Limit in Triplet Fusion
Project/Area Number |
23K17901
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 32:Physical chemistry, functional solid state chemistry, and related fields
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
生駒 忠昭 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10212804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
俣野 善博 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40231592)
大鳥 範和 新潟大学, 自然科学系, 教授 (20272859)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2025: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 三重項励起子対 / 電子交換 / スピンダイナミクス / 三重項エネルギー移動 / ゼロ磁場相互作用 / 分子拡散 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、反応収率の理論限界を超える三重項融合の開拓に挑戦する。具体的には、アントラセン誘導体の三重項融合における反応収率と活性錯合体の量子スピン統計との関係を明らかにする。そして、統計理論が破綻する反応条件が見出し、破綻の理由を解明する。化学反応の前後で保存される角運動量は反応を理解する上で重要な基準線の役割を果たしている。一方で、三重項融合における角運動量保存則は、反応量子収率に量子スピン統計で決まる上限(約11%)を設けている。“量子スピン統計極限の破れ”という本研究構想は、統計理論に制限されない三重項融合を意味しており、量子スピン動力学を利用した100%融合に挑戦する。
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Outline of Annual Research Achievements |
三重項融合の収率のボトルネックとなっている三重項-三重項対のダイナミクスを実験と理論の両面から研究した。 実験的研究:流動溶媒中で三重項融合を調べる目的で、三重項増感剤(白金ポルフィリン錯体(PtP))と発光体(ジフェニルアントラセン(An))を溶かしたエーテル溶液について実験した。ナノパルスレーザーを用いてPtPを選択励起したときに観測される1An*蛍光強度の時刻から、励起一重項An(1An*)収量の変化を実時間観測した。観測された1An*収量の時間変化を速度論的に解析し、量子収率を見積もった。また、融合量子収率と分子拡散運動の関係を明らかにするため、粘度の著しく異なるエーテル溶媒を用いて、三重項増感による三重項融合実験を行った。また、金属ポルフィリン(MP)にアントラセン二分子が結合した三元系分子(MP-An2)を合成した。MP-An2についても同様な測定を行った。 理論的研究:モンテカルロ法に基づいた分子回転拡散のシミュレーションを行った。有限温度における混合スピン状態の波動方程式(密度行列(ρ)のリュービル運動方程式)に、変数とするスピンハミルトニアンを組み入れ、活性錯合体のスピン状態のダイナミクスを計算した。本手法を用いて、1An*蛍光の磁場効果のシミュレーションを行った。また、励起子のマルチトラッビングモデルに基づいた励起子拡散のシミュレーションも行った。これは、無定形固体における三重項融合を念頭にした理論的研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2024年1月1日に発生した能登沖地震によって実験装置が故障したため、著しく研究が停滞した。装置の復旧に必要な金額は、この補助金をはるかに越えているため、復旧予算の申請を行ったが審査が滞っており、復旧に必要な財源の目途がまだ立たないまま実験中断が続いている。また、MP-An2が、分子内および分子間三重項融合を起こしており、測定結果の解析に難航していることも遅滞している理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
被災した測定装置を復旧させたのち、以下の研究を行う。 1. PtPとAnの混合系における測定結果の解析を行い、反応量子収率に対する粘度依存性を明らかにする。 2. MP-An2の測定結果の解析を行う。励起子拡散を必要としない三重項融合の可能性を明らかにする。解析結果を踏まえて、新規三元系分子の設計と合成を行う。 3. 分子拡散のない固体状態における三重項融合を研究する。
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Report
(1 results)
Research Products
(23 results)