Project/Area Number |
23K17926
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 34:Inorganic/coordination chemistry, analytical chemistry, and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊野 浩介 東北大学, 工学研究科, 准教授 (00509739)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
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Keywords | 走査型電気化学顕微鏡 / 細胞解析 / ハイドロゲル培養 / 3Dバイオプリンタ / マイクロ・ナノ電極 |
Outline of Research at the Start |
3Dバイオプリントでハイドロゲル中に幹細胞を3次元的に配置させて培養することで、生体摸倣モデルの作製が可能になっている。移植医療や薬剤スクリーニングでは、これらのモデル内の細胞機能を評価する必要がある。しかしながら、生体環境の模倣・細胞配置の維持に利用するハイドロゲル培養が、外部からのアクセスを困難にしている。そこで、ハイドロゲル中の3次元培養組織を非破壊でオンデマンドに3次元的な空間分解能を持って計測・評価できるシステムが求められている。その問題点を解決するために、本研究では極微小な探針型の電気化学センサをハイドロゲルに抜き差しして計測する電気化学システムやハイドロゲル材料の開発を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
国内会議での招待講演3件、国際会議での基調講演1件を含む8件以上の学会発表を行った。また、2報の原著論文(査読あり、英文誌)(学会発表プロシーディングスを除く)、3報の総説(査読あり、英文誌)を発表した。Advanced Healthcare Materials(Wiley)に掲載された論文は、その号のinside front coverに選ばれている。以下に、2023年度の詳細な研究内容を示す。 押し出し式の3Dハイドロゲルプリンタで作製した細胞包埋ハイドロゲル構造物の電気化学的評価を行った(Analytica Chimica Acta、342539、2024)。申請書に記載されている通り、微小電極を探針に用いる走査型電気化学顕微鏡を使用した。評価対象物として、最も重要な代謝反応の1つである呼吸活性を選んだ。検討の結果(非侵襲性、定量性、計測場所の選定の自由度など)、3Dハイドロゲルプリンタで細胞した生体様モデル培養組織の電気化学評価法としての有用性を示された。 提案している戦略の応用の可能性を広げるため、押し出し式の3Dバイオプリンタだけでなく、ステレオリソグラフィー式の3Dバイオプリンタでの検討も行った。ステレオリソグラフィーは迅速で複雑なハイドロゲル構造物の作製が可能である。ハイドロゲルを介した場合でも培養細胞の呼吸活性を電気化学評価できることを示した。 任意に様々な機能を付加したり、化学合成がやり易い材料を用いた細胞足場ハイドロゲル材料の開発が望まれている。そこで、配列を自由に設計できるDNAに注目した。今回は簡単な作製法であるinterfacial polyelectrolyte complexation法を用いた(Advanced healthcare materials、12、2302011、2023)。これにより、臓器の構成要素の1つであるファイバー状のハイドロゲルを、DNAから作製することに成功した。また、細胞を包埋して培養することにも成功した。複雑な装置が不要で数分以内に作製が可能であり、生体臓器作製への応用が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記で述べたように、該当年度ではハイドロゲル培養とその電気化学細胞計測に関する研究成果を広く社会に発信した。また、国際会議での基調講演も行っており、このことからもハイドロゲル計測に関する活発な国際活動が行われていたと言える。 申請書に記載された細胞機能計測(例:培養細胞の呼吸計測)やハイドロゲルデザイン(紐状培養組織)が完了しており、このことから、概ね計画通りに進んでいる。ハイドロゲルに包埋された培養細胞の電気化学計測システムの開発や学理の探求が順調に行われていたと考えている。 今回はモデルとしてガン細胞を用いたが、現在、申請書に記載した通り臓器形成を目指した検討を行っている。最終年度では腸モデルの構築と電気化学センサ探針を用いた電気化学計測システムを完成させる予定である。モデル薬剤を用いて構築したシステムの評価を行うことで、開発したシステムの有用性を示し、従来の光学計測や遺伝子解析(例:q-PCR)、経上皮電気抵抗(TEER)測定とは一線を画したシステム(非侵襲、オンデマンド、in situ、リアルタイム計測など)として完成させる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の検討では、ガン細胞を用いて検討していた。応用の幅を広げるため、他の臓器モデルへの展開を検討する。例えば、腸モデルへの応用を考え、iPS由来の腸細胞を用いることを考えている。生体摸倣モデル計測システムへの展開を検討することで、開発しているシステムの適応範囲が広がり、また新薬開発におけるin vitro細胞計測における一般化が進むことを期待している。 新しいハイドロゲル材料の探索も引き続き行う。特にDNAの配列を検討することで、酵素活性や細胞接着活性を制御した新規の細胞足場材料としての提案を行う。人工細胞や細胞小器官形成を目指して液-液層分離DNAハイドロゲル作製法が知られているが、本研究でも利用する。 既存の走査型顕微鏡を使用しているが、本研究に調整したシステムを構築する。具体的には、走査範囲や温度範囲をカスタマイズする。そのため、xyzステージや電流アンプを購入し、新たにシステムを組み直す予定である。 研究をさらに進めるために、ハイドロゲル材料の開発を行っている国内の研究者と連携をとり研究を進める。また将来的な研究プロジェクトへの応募を検討する予定である。得られた研究成果を国内外で発表予定であり(ケミナス(東京、仙台)、分析化学会大会(京都)、IEEE NEMS 2024(京都)、MPS World Summit 2024(アメリカ)、MicroTAS 2024(カナダ)、PRiME 2024(アメリカ)、International Society of Electrochemistry 2024(カナダ)など)、電気化学細胞計測の研究に関するネットワークを強固にするとともに、該当分野の啓蒙を行う。また新薬開発のためのモデル薬剤の情報を収集し、創薬への展開を検討する。
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