Project/Area Number |
23K17950
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 35:Polymers, organic materials, and related fields
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
畠山 歓 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (90822461)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | 有機材料 / 量子ゲートコンピュータ / マテリアルズ・インフォマティクス / 量子回路学習 / 機械学習 |
Outline of Research at the Start |
量子機械学習を活用した新たな機能・高分子材料の創出に挑戦する。高分子の構造と物性の関係性を量子コンピューターによって学習・予測させることで、新しい性質を持つ分子設計が可能となる。 優れた相分離構造や電子特性などの特性を持つ機能性高分子の創出に焦点を当てながら、予測モデルの構築と実験的検証を行う。一連の検討を以て、量子コンピュータの潜在力を開花させ、次世代の高分子材料開発に貢献することが本研究の目的である。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ゲート型量子コンピュータのアルゴリズムである量子回路学習(Quantum Circuit Learning, QCL)を有機材料の物性予測に展開するための検討を行った。具体的には、分子の記述子情報をX、物性をyとして、Xからyを機械学習の手法で推定するアルゴリズムをQCLによって実装した。QCLは、量子ビットと量子ゲートを用いて構成される量子回路を利用して、機械学習のタスクを実行するアプローチである。 本研究で実装したQCLアルゴリズムでは、回路構成を最適化することで、滑らかな非線形関数を予測モデルとして作れることが分かった。このモデルの非線形性と滑らかさが、実際の材料の関数形状にマッチする場合、少ない実験データからでも予測が可能なことが明らかになってきた。これは、QCLが材料科学における物性予測に有効であることを示唆している。 しかしながら、QCLアルゴリズムの計算速度がボトルネックとなっていたことから、ニューラルネットワークによるモデルのサロゲート化を新たに検討した。サロゲート化とは、元のモデルの振る舞いを別のモデルで近似的に模倣することを指す。本研究では、あらかじめQCLアルゴリズムによってX,yのペアを大量にサンプリングしておき、その出力を全結合型の深層ニューラルネットワークで模倣するアプローチを検討した。 この方法により、量子コンピュータの実機や専用シミュレータがない条件でも、高速かつコストを抑えながら、QCL相当のアルゴリズムを動かせることが分かってきた。このアプローチは、量子コンピュータの利用が限られている現状において、QCLの利点を活かしつつ、その計算コストを削減できる可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、当初の予定通り、量子回路学習(QCL)アルゴリズムの構築に注力した。QCLの実装と大規模化を進める中で、量子コンピュータの実機やシミュレータを用いた場合、計算精度と速度がボトルネックになることが新たに判明した。この問題に対処するため、QCLアルゴリズムのサロゲート化を検討し、あらかじめQCLによってデータをサンプリングしておき、その出力を深層ニューラルネットワークで模倣するアプローチを導入した。このサロゲート化により、量子コンピュータの実機やシミュレータを使用せずに、高速かつ低コストでQCL相当のアルゴリズムを実行できるようになった。この進展により、当初の計画よりも効率的にQCLアルゴリズムの構築を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、以下の3点に重点を置いて研究を推進する。 a.サロゲートアルゴリズムの最適化:QCLアルゴリズムのサロゲート化で用いる深層ニューラルネットワークのアーキテクチャや学習手法を最適化し、より高精度かつ効率的なサロゲートモデルを構築する。 b.既存の教師あり回帰モデルとの比較:QCLアルゴリズムとそのサロゲートモデルの性能を、従来の教師あり回帰モデル(例:サポートベクターマシン、ランダムフォレストなど)と比較し、提案手法の優位性を明らかにする。 c.分子の実測データの予測:QCLアルゴリズムとそのサロゲートモデルを、有機材料の物性予測に関する実測データに適用し、その予測精度を評価する。これにより、提案手法の実用性を検証する。実験検討なども行う。
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