Project/Area Number |
23K17967
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 37:Biomolecular chemistry and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上田 実 東北大学, 理学研究科, 教授 (60265931)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | ジャスモン酸 / トマト / 二次代謝 / トマチン |
Outline of Research at the Start |
植物は二酸化炭素を原料として多くの有用二次代謝産物を生産する。植物が行うこの「錬金術」は、進化の過程で多様性を獲得し、人類の生活に欠かせない様々な生物活性分子の生産を可能にした。人類は、繊維や食品、医薬品など、植物が生産する二次代謝産物に依存して生活していると言っても過言ではない。本研究では、二次代謝産物の生合成を活性化する分子技術を開発し、植物代謝物生産に革命を起こす理想的な戦略を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
植物は二酸化炭素を原料として多くの有用二次代謝産物を生産する。植物が行うこの「錬金術(ありふれたものから価値ある物を生産する)」は、進化の過程で多様性を獲得し、人類の生活に欠かせない様々な生物活性分子の生産を可能にした。人類は、繊維や食品、医薬品など、植物が生産する二次代謝産物に依存して生活していると言っても過言ではない。植物ホルモン ジャスモン酸イソロイシンは、天然ゴムを含むテルペノイドや薬用資源として用いられるアルカロイド類をはじめとするほとんどの植物二次代謝産物の生合成を活性化する。1990年代初頭のZenkによる先駆的研究以来、JA-Ileの投与による二次代謝産物生合成昂進は、上記の有用二次代謝産物生産および新規二次代謝産物探索を加速する方法として有望視されたが、副作用として強力な生長阻害を伴うという欠点が問題視されていた。本研究は、ジャスモン酸イソロイシン環状化誘導体 ジャスモン酸イソロイシンマクロラクトン(JILa)が、トマト(Solanum lycopersicum)に含まれるアルカロイド天然物の生産を向上させ、その作用は成長阻害を伴わないことを利用し、植物の成長を阻害することなく二次代謝産物の生合成を活性化する分子技術を開発し、植物代謝物生産に革命を起こす理想的な戦略を確立する。 研究代表者は、JILaの活性本体が12OH-JA-Ileであることを明らかにした。12OH-JA-Ileは、トマトが持つ13種のJA-Ile受容体サブタイプのうち4種(SlCOI1-SlJAZ5/6/7/8)に選択的に結合し、アルカロイド生合成のみを活性化する。JA-Ile受容体は植物細胞の核内で多数の転写因子と相互作用し、その転写活性を制御する。トマトの各JA-Ile受容体サブタイプと転写因子との結合親和性をin vitroで評価し、12OH-JA-Ileと結合する4種の受容体サブタイプが、アルカロイド生合成を制御する転写因子発現を活性化し、成長阻害を制御する転写因子発現に影響しないことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
得られた結果の検証には転写因子を欠損した変異体植物を用いる検証が必要である。これによってJILaがJA-Ileシグナルの一部を選択的に活性化することで成長阻害を伴わないアルカロイド生合成昂進を引き起こす分子機構を明確にできる。ゲノム編集による遺伝子変異株の作成が進行中であるが、実験的な困難が生じたため、遅れが見られる。
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Strategy for Future Research Activity |
JILaの活性本体の同定に成功したが、正確な分子機構の解明には、トマト遺伝子変異株が必要である。今後は、ゲノム編集技術によって、受容体あるいは転写因子を欠損した遺伝子変異株を作出して、JILaの作用機構を確定する実験を行う。また、重水素標識化JILaを合成して、植物体内での代謝実験を行う。トマト毛状根を用いるアッセイ系を確立して、JILaの効果を検証することで、二次代謝産物の解析を行う実験も準備中である。
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