Project/Area Number |
23K17969
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 37:Biomolecular chemistry and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡本 晃充 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (60314233)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | 核酸 / 化学合成 / 集合体 / ハイブリダイゼーション / マイクロRNA / 相分離 / 免疫 |
Outline of Research at the Start |
核酸医薬は、がんや遺伝性疾患、ウイルス性感染症など治療が難しい疾患に対する医薬品開発が期待される。我々は、これまでの核酸医薬とは全く異なる作用機序を示す核酸医薬候補を見出した。この新分類の短鎖核酸群は、特定のmiRNAを多く発現した細胞に対してだけ集合体を形成し、その結果、免疫誘導を引き起こして細胞死へ至らしめる。このメカニズムは、これまでアンドラッガブルだった標的細胞に対しても特異的に働きかけることができる技術であり、これを生かして希少がんや難治がんの成長抑制に挑戦する。このような核酸集合体の合理的な設計を進めるためにもそのメカニズムの解明は必須である。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、核酸集合体形成をベースにした革新的な核酸医薬設計の技術シーズの創出へ向けて、核酸集合体形成がもたらす細胞内での作用について基礎的な実験を通して理解を推し進めた。合成化学実験・分子生物学実験・細胞生物学実験を通して作用メカニズムを明らかにするとともに、そのメカニズムを最大化するために核酸集合体ユニット(化学合成短鎖ヘアピン核酸対)の最適化を進めた。 特に今年度は、ヘアピン核酸対「oHPs」のHCR産物がcGAS-STING経路を介した細胞死を引き起こすならば、I型インターフェロン産生を生じると考え、その実証実験を進めた。miR-21を標的にしたoHPsをHeLa細胞にトランスフェクションして、I型インターフェロン産生を調べた。ELISAとRT-PCRによりIFN-βの発現を解析した結果、ヘアピン核酸片方だけのトランスフェクションではIFN-βの発現は誘導されないが、両方をトランスフェクションするとIFN-βの発現が誘導された。HeLaだけでなく、MBA-MD-231やB16など、細胞種を変えてRT-PCRでのIFN-β定量実験を行った。oHPsのトランスフェクションによりIFN-βの発現が増強された。一方で、cGASとSTINGの発現レベルが低いA549細胞においてはIFN-βを発現が小さかった。これによって、oHPsによるHCRがSTING経路にて細胞死へ至らしめていることが確認された。 また、STING siRNAを導入したHeLa細胞を用いて、RT-PCRによってIFN-β mRNAを定量した。siRNAによるSTINGの発現の抑制によって、oHPs添加に関わらずIFN-βの発現が抑制された。したがって、細胞質内HCRによって産生された長鎖二本鎖DNAは、cGAS-STING経路を活性化することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に推移しており、当初の予定であったcGAS-STING経路の確認とI型インターフェロン産生の確認を終えた。現在、核酸集合体による液-液相分離の物理化学と相分離がもたらす細胞機能への影響について検討を始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
我々は細胞へ化学合成短鎖ヘアピン核酸対(oHPs)を導入したときに標的のmiRNAが過剰発現するときに限り顆粒形成を観察した。これは、化学合成短鎖ヘアピン核酸対が長鎖二本鎖DNA構造を形成したところに、cGASが多数結合することによって電荷的に中和されて相分離し、スペックルを形成したと考えられる。一方で、スペックルの成熟や消失および物理化学的な性質の変化を時空間的に追跡することは容易ではなく、このようなスペックルに対してしばしば解像度や情報量が不足していて獲得できるデータが不十分である。共焦点蛍光顕微鏡を用いて、形状やサイズを明らかにするとともに、蛍光相互相関分光法を用いてスペックルの粘度と流動性を観察する。また、光回折トモグラフィーを併用することによって、スペックルの厚みや屈折率に基づいた4D情報を画像化する。 また、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)を例にして、TNBCでアップレギュレートされるmiR-21、miR-210、miR-221を標的にした化学合成短鎖ヘアピン核酸対を合成して、TNBC細胞(MDA-MB-231、MDA-MB-453)に対する効果を検討する。各miRNAに対して複数個のoHPsを合成する(合計でおよそ18種類の予定)。これを事前予測するために、核酸高次構造の安定性予測に広く用いられているオンラインソフトウェアNUPAC (http://www. nupack.org/) を利用する。独自のノウハウを用いて配列を設計する技術を有しており各々の配列(30~40塩基長のoHPs(ステム7~10塩基×2、突出末端8~10塩基、ループ4~10塩基)を設計して、合成する。また、高吸収性と低分解性を得るためにホスホロチオエート骨格を含む人工核酸構造を採用する。
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