Project/Area Number |
23K18009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 38:Agricultural chemistry and related fields
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
谷 元洋 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (20452740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 洋平 九州大学, 農学研究院, 助教 (90572868)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | スフィンゴ脂質 / 複合スフィンゴ脂質 / セラミド / 構造多様性 / 構造置換 / 出芽酵母 / ステロール |
Outline of Research at the Start |
スフィンゴ脂質は、多岐に渡る細胞機能の維持に必要な膜脂質である。スフィンゴ脂質は、一生物の中で複雑な構造多様性を持つが、異種生物種間でその基本構造が明確に異なる場合も多い。スフィンゴ脂質が異種生物間で構造多様性を持つ意味は殆ど明らかになっていない。本研究ではその解明を目指し、酵母のスフィンゴ脂質を哺乳動物型スフィンゴ脂質に完全に構造置換することを試みる。さらに、創成した構造置換酵母で生じる変化を、多角的視点から解析する。またスフィンゴ脂質と機能的に近いステロールの異種生物型への構造置換も組み合わせ、膜脂質の構造が生物種特異的であることの意義に関する総合的解明を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は異種生物間におけるスフィンゴ脂質の構造多様性の意義に関して、以下の成果をえた。
(1) 哺乳動物型スフィンンゴイド塩基をもった出芽酵母の表現型解析 スフィンゴ脂質には、一生物において複雑な構造多様性が存在するだけでなく、その基本構造が異種生物間において明確に異なることも多い。例えば、哺乳動物ではスフィンゴイド塩基 (スフィンゴ脂質の基本骨格)の主要構造がスフィンゴシン (SPH)であるのに対し、出芽酵母ではフィトスフィンゴシン (PHS)である。本研究では、出芽酵母のスフィンゴイド塩基構造を哺乳動物型に構造置換した酵母 (SPH酵母)の詳細な表現型解析を行った。その結果、SPH酵母は、高浸透圧、pH、高温、有機酸、SDS等の様々なストレスに対して高感受性を示し、その原因が形質膜や細胞壁のインテグリティーの低下に一部起因することが示唆された。 (2) 出芽酵母におけるスフィンゴイド塩基とステロールの同時構造置換 ステロールは、スフィンゴ脂質とともに脂質マイクロドメインの形成に関与しており、機能的連関性が高い。本研究では、スフィンゴイド塩基とともにステロール構造も哺乳動物型 (コレステロール)に構造置換した出芽酵母 (SPH/Chol酵母)を樹立した。SPH/Chol酵母でもSPH酵母でみられた表現型は同様に観察され、スフィンゴイド塩基構造を哺乳動物型にすることで生じる弊害は、スフィンゴ脂質とステロールの種特異的な構造的相性に起因しないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
出芽酵母のスフィンゴイド塩基構造を哺乳動物型に置換する方法は、2006年にすでに報告しているが (Biochem J (2006)394,237)、スフィンゴイド塩基とステロールの構造を同時に哺乳動物型に構造置換した例は本研究が初めてである。本研究では、このような変異酵母の生育速度、ストレス感受性に加えて、形質膜および細胞壁のインテグリティー評価、形質膜マイクロドメインの性状など多面的な表現型解析を行うことによって、スフィンゴイド塩基とステロールが他生物の構造と入れ替わった時に生じる異常を詳細に解析することできた。本成果は、2023年にFEBS journalに掲載された。以上のことから、本研究課題の進捗状況は概ね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでの研究で、出芽酵母のスフィンゴイド塩基構造とステロール構造を同時に構造置換する実験系を確立することができた。今後は、特殊なスフィンゴイド塩基 (スフィンガジエンやメチル化スフィンゴイド塩基など)を本実験系に適応させることで、スフィンゴイド塩基の微細構造の変化によって生じる表現型をさらに詳細に調べていく。またステロールに関しても、その構造バリエーションが豊富な植物型ステロールを研究対象としていく。一方で、出芽酵母の複合スフィンゴ脂質 (細胞膜に存在する主要スフィンゴ脂質)の親水性頭部の構造を異種生物型にする手法の確立も目指す。
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