Project/Area Number |
23K18017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 39:Agricultural and environmental biology and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 英樹 東北大学, 農学研究科, 教授 (20197164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 脩平 東北大学, 農学研究科, 助教 (60556710)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
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Keywords | バクテリオファージ / 陸域生態系 / 細菌ウイルス / 陸圏生態系 / 土壌 / 窒素循環 |
Outline of Research at the Start |
自然界には、動物・植物など全ての生物に感染する特有のウイルスが存在する。しかし、これまで研究されてきた動植物に感染症を引き起こすウイルスはごく一部であり、ウイルスの真の姿を理解できているとは言い難い。 海洋生態系におけるウイルス研究は、自然生態系におけるウイルスの役割を明らかにした先駆的な研究と言えるが、海洋ウイルスの研究に比べ、陸圏生態系のウイルスに関する研究はまだ初期段階にある。つまり土壌微生物とウイルスの相互作用を、陸圏生態系の構成要素として位置付けた研究は乏しい。本研究では、土壌中の細菌と細菌ウイルスが、自然界の物質循環や地球温暖化の制御に果たすウイルス存在意義を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
地球生態系を構成する生物には、様々な未知のウイルスが感染を繰り返しており、病気を引き起こすウイルス以外に、ウイルス感染が生物個体、生物集団、生物間相互作用など様々なレベルにおいて、生命活動に影響を与えている可能性が考えられる。先行研究として、海洋生態系に存在するウイルスの役割についての研究が著しい進歩を見せており、海水中の植物性プランクトンや細菌に感染するウイルスが、海洋生態系における物質循環に大きく寄与していることが示されている。しかし、海洋生態系で明らかになっているウイルスの役割を、陸域生態系に直接あてはめることはできない。本研究では、地球規模におけるウイルスの存在意義を理解するためには、陸域生態系におけるウイルスの役割を明らかにすることを目的とした。令和5年度は、農業生態系におけるウイルスの役割を解析する目的で、有機栽培に用いるために本課題研究者が作成した落葉堆肥から、非病原性Burkholderia属細菌を宿主とするウイルス(バクテリオファージ)3株を単離した。3株中2株(FLC8とFLC9)は、200kbp以上の大きさのジャンボファージであり、blastnによる塩基配列の相同性解析から、FLC8は、Myoviridae科Chiangmaivirus属に分類され、FLC9の新属であることが明らかになった。さらに、同落葉堆肥から、トマト青枯病の原因となる R. pseudosolanacearumに感染する5株のジャンボファージ (FLC4-4C、FLC4-5C、FLC4-11C、FLC1-1B、FLC4-3B)を単離した。blastnによるゲノム全長の塩基配列の相同性比較から分類の推定を行った。FLC4-4C、FLC4-5C、FLC4-11C は Chiangmaivirus属ファージであり、FLC1-1B と FLC4-3B は新属に分類される可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、土壌細菌へのファージ感染・溶菌が、生態系における窒素物循環に与える影響を解析するために用いるバクテリオファージ8菌株を、落葉堆肥から単離し、それらのゲノムDNA構造の解析、分子系統分類、土壌宿主細菌の範囲を明らかにした。これらのバクテリオファージを用いて、ファージ感染・溶菌が、土壌の窒素物循環に与える影響を解析する準備が整ったことから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
バクテリオファージを用いて、ファージ感染・溶菌が、土壌の窒素物循環に与える影響を解析するため、宿主細菌とファージ混合液をオートクレーブ処理した無肥料培土に注ぎ、30℃でインキュベートする。1, 3, 5, 7日後に培土を一部採取し、滅菌水に懸濁後、遠心分離により土壌粒子を除く。得られた上精を-20℃で一時保存し、形態別窒素・リン分析装置(BLTEC, QuAAtro 2HR)を用いて、上清液に含まれる硝酸イオン濃度、アンモニウムイオン濃度(以下NA濃度と略する)を測定する。
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