植物が昆虫の行動を操作する新規な異種間相互作用の分子神経機構の解明
Project/Area Number |
23K18021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 39:Agricultural and environmental biology and related fields
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
木矢 剛智 金沢大学, 生命理工学系, 准教授 (90532309)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 植物ステロイドホルモン / Hr38 / NR4A / ショウジョウバエ / ミツバチ / ドーパミン / 共進化 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、訪花性昆虫のモデルとしてミツバチの働き蜂を、分子機構解析のツールとしてショウジョウバエを用い、植物ステロイドホルモンが昆虫の行動を操作する分子神経機構を明らかにする。これにより「昆虫と植物の間には植物ステロイドホルモンを介した異種間相互作用があり、昆虫の行動は植物ステロイドホルモンによる記憶増強によって植物から操作されている」という新規な概念を創出することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、昆虫の行動は植物ステロイドホルモンを介した記憶増強によって植物側から操作されている、という大胆な仮説の証明とその分子神経機構の解明にある。本研究者は最近、植物ステロイドホルモンには昆虫の脳に作用して記憶を増強する作用があることを見出した。これは従来考えられてきた植物が昆虫に従属する関係とは逆に、植物が昆虫の行動を操作する機構を進化的に獲得してきた可能性を示すものである。本研究では、訪花性昆虫のモデルとしてミツバチの働き蜂を、分子遺伝学的解析のモデルとしてショウジョウバエを用い、植物ステロイドホルモンが昆虫の脳機能や行動に作用する分子神経機構を明らかにし、本仮説をメカニズムに裏打ちされた形で証明することを目指す。 本年度は、植物ステロイドホルモンが制御する分子カスケードの解明に取り組んだ。植物ステロイドホルモンは転写因子であるHR38を介してドーパミン神経において遺伝子発現を制御することで長期記憶を誘発していると考えられる。そこで本研究ではドーパミン神経においてHR38によって制御される遺伝子をRNA-Seqによって同定し、長期記憶における役割を明らかにすることを目指した。ショウジョウバエの遺伝学的技術を用い、ドーパミン神経特異的にGFP及びHR38を過剰発現させ、FACSでGFP発現細胞をソートし、SMART-Seq法によりRNA-Seqを行った。また、植物ステロイドホルモンを摂食させたミツバチの脳を用いてシングルセルRNA-Seqを行った。 また、Hr38が植物ステロイドホルモンを受容する分子機構の解明を目的に、HR38を複眼に過剰発現させたショウジョウバエ系統を樹立した。この系統に対して、RNAi系統を掛け合わせて、HR38の過剰発現による複眼の形成不全をレスキューする遺伝子の探索を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究により、HR38が植物ステロイドホルモンの受容体として、ドーパミン細胞で機能していることを確認してきた。本年度は、まず、植物ステロイドホルモンが制御する分子カスケードの解明に取り組んだ。植物ステロイドホルモンは転写因子であるHR38を介してドーパミン神経において遺伝子発現を制御することで長期記憶を誘発していると考えられる。そこで本研究ではドーパミン神経においてHR38によって制御される遺伝子をRNA-Seqによって同定し、長期記憶における役割を明らかにすることを目指した。ショウジョウバエの遺伝学的技術を用い、ドーパミン神経特異的にGFP及びHR38を過剰発現させ、FACSでGFP発現細胞をソートし、SMART-Seq法によりRNA-Seqを行った。また、植物ステロイドホルモンを摂食させたミツバチの脳を用いてシングルセルRNA-Seqを行った。得られた遺伝子候補については詳細を伏せるが、今後、これらの遺伝子についてRNAiによる発現抑制や過剰発現によって記憶への影響を調べ、当該分子経路を明らかにする予定である。 次に、植物ステロイドホルモンやHR38の過剰発現が、ドーパミン神経の形態に及ぼす影響を調べた。植物ステロイドホルモンを摂食させたミツバチの脳においてはドーパミン合成酵素であるTHの免疫染色を、HR38をドーパミン神経特異的に過剰発現させたショウジョウバエの脳においてはGFPの免疫染色を行い、形態について詳細に調べた。しかしながら明確な形態変化は見つからなかった。 最後に、Hr38が植物ステロイドホルモンを受容する際のコファクター同定を目的に、HR38を複眼に過剰発現させたショウジョウバエ系統を樹立した。この系統に対して、RNAi系統を掛け合わせて、HR38の過剰発現による複眼の形成不全をレスキューする遺伝子の探索を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は、当初の計画通り、以下の解析を行う 1.植物ステロイドホルモンが制御する分子神経機構の解明 RNA-Seqによって同定した候補遺伝子について、ドーパミン神経特異的にノックダウンしたり、過剰発現したりした際の記憶への影響を調べ、HR38の下流の遺伝子として機能するかどうかを検証する。また、植物ステロイドホルモンの接触によってこれらの遺伝子が発現してすることをin situ hybridizationなどによって発現解析する。 また、植物ステロイドホルモンの接触やHR38の過剰発現によるドーパミン神経の形態的な変化は生じなかったことから、機能的な変化が生じているかについて検証する。例えばCaイメージングなどの方法を使って、ドーパミン放出量が変化するかといったことや、神経の興奮性自体が変化しているか、といったことを検証する。 2.HR38が植物ステロイドホルモンを受容する分子機構の解明 HR38にコファクターがあり、これがHR38の様々なステロイドホルモンとの結合能を付与している可能性がある。これまでに行ってきた遺伝学的解析を進めると共に、生化学的にHR38と結合するたんぱく質のスクリーニングを行い、新規な因子の同定を試みる。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)