鳥類の免疫学におけるパラダイムシフトによる鶏のB細胞分化に関する概念の再構築
Project/Area Number |
23K18073
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 42:Veterinary medical science, animal science, and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野地 智法 東北大学, 農学研究科, 教授 (10708001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 睦実 東北大学, 農学研究科, 助教 (80914267)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | ニワトリ / ファブリキウス嚢 / 骨髄 / 盲腸扁桃 / B細胞 / 鳥類 / 免疫学 |
Outline of Research at the Start |
中課題①「ファブリキウス嚢依存的/非依存的(骨髄依存的)に盲腸扁桃に遊走するB細胞の特性解析」を目的とし、それぞれの細胞遊走を制御するケモカイン/ケモカイン受容体(CXCL12-CXCR4およびCXCL13-CXCR5)をマーカーとした空間的およびシングルセル遺伝子発現解析を実施する。また、中課題②「ファブリキウス嚢依存的もしくは非依存的B細胞の盲腸扁桃での機能検証」を目的とし、それぞれの細胞のin vivo移入モデルもしくはin vivo遊走阻害モデルを作出し、その機能解明を実施する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本申請は、ニワトリ(鶏)の免疫機能に関するこれまでの研究成果をもとに、既存の鳥類の免疫学における概念を新たにすべく提案されている。ファブリキウス嚢は、B細胞の初期分化の場として、半世紀以上前に発見された鶏特有の臓器である。当時から現代に受け継がれている鶏免疫学の教科書には、孵化直後の雛のファブリキウス嚢を切除することで、鶏の抗体産生は完全に欠失すると記載されている。一方で、申請者はこれまでに、孵化直後の雛へのファブリキウス嚢摘出の影響は一時的であり、ファブリキウス嚢非存在下でも、成長とともに腸管を中心とした免疫機能が発達することを示してきた。特に、鶏腸管最大の免疫臓器である盲腸扁桃は、ファブリキウス嚢非存在下で働く免疫系の中枢であり、その理由として、ファブリキウス嚢を経由せずに、骨髄から盲腸扁桃へ直接遊走するB細胞が存在することを突き止めてきた。また、骨髄由来のそれらのB細胞は未熟であり、ファブリキウス嚢と同様に、盲腸扁桃で成熟B細胞に分化していることを見出してきた。これらの研究成果は、ファブリキウス嚢が絶対的な地位にある鳥類の免疫学に関する定説(パラダイム)を覆す、鶏のB細胞の新たな分化経路の存在を支持する一方で、目的 その意義を理解する必要性を強く示すものであった。そこで本研究では、鳥類の免疫学にパラダイムシフトをもたらすことで、盲腸扁桃におけるファブリキウス嚢依存的および非依存的なB細胞分化の実態を明らかにする。研究を通して、これまでに明らかにしてきたことは、ファブリキウス嚢非依存的(=骨髄依存的)なB細胞は、CXCL12/CXCR4を介した細胞遊走機序により盲腸扁桃に遊走すること、また、ファブリキウス嚢および骨髄由来の双方のB細胞の盲腸扁桃への遊走を阻害することにより、腸管免疫(特にIgA産生)は著しい影響を受けることを示してきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した計画通りに課題が進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者は、孵化直後の雛のファブリキウス嚢を切除した場合、その免疫機能への影響は、幼若期で顕著であるものの、盲腸扁桃の機能成熟とともに薄れていくことを示してきた。今後の研究では、盲腸扁桃に存在する2種のB細胞の機能を、“ファブリキウス嚢由来”および“骨髄由来”に区別した「細胞移入モデル」および「細胞遊走阻害モデル」を作出し、in vivo検証する。
〇免疫不全鶏への骨髄/ファブリキウス嚢細胞の移入モデルの作出と評価。孵化直後の雛をγ線照射した後、ファブリキウス嚢/脾臓を外科的に切除することで、リンパ球(特にB細胞)を欠損する免疫不全鶏(レシピエント)を作出する。盲腸扁桃の免疫発達に合わせ、孵化2週後に健全鶏(ドナー)の骨髄あるいはファブリキウス嚢由来細胞を移植し、その1,2,4週間後に盲腸扁桃を免疫学的および組織学的に解析することで、移入による盲腸扁桃での免疫機能形成を評価する。また、腸管内容物および血清中の抗体(IgA, IgY, IgM)量をELISA法により解析することで、ファブリキウス嚢/骨髄由来の2種のB細胞の盲腸扁桃での機能解明に迫る。
〇骨髄/ファブリキウス嚢から盲腸扁桃への細胞遊走阻害モデルの作出と評価。CXCR5あるいはCXCR4認識モノクローナル抗体を作出し、それを盲腸扁桃の免疫発達に合わせて鶏に投与することで、CXCL13/CXCR5依存的なファブリキウス嚢から盲腸扁桃への、あるいは、CXCL12/CXCR4依存的な骨髄からの盲腸扁桃へのB細胞遊走を阻害する。その後、小課題1と同様の評価を実施することで、申請者らが見出したファブリキウス嚢非依存的なB細胞分化に関する免疫学的意義を世界に先駆けて提唱する。
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Report
(1 results)
Research Products
(21 results)