Project/Area Number |
23K18085
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 42:Veterinary medical science, animal science, and related fields
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
国枝 哲夫 岡山理科大学, 獣医学部, 教授 (80178011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陸 拾七 (陸拾七) 岡山理科大学, 獣医学部, 講師 (50812757)
米澤 隆弘 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (90508566)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 在来馬 / 家畜化 / モンゴル |
Outline of Research at the Start |
これまで家畜ウマは約5,500年前にターパンと呼ばれる野生ウマから家畜化されたと一般的に考えられていた。一方、我々はこれまでのアジア在来馬の調査において、モンゴル北部にターパンとは異なる種であるPrzewalskiウマのY染色体を持つ特徴的な在来馬の集団が存在することを見いだしている。そこで本研究では、このモンゴル在来馬の全ゲノム塩基配列の解析を行い、Y染色体以外にPrzewalskiウマ由来のゲノム領域が存在するか否かを明らかにすることで、これまでの家畜馬の起源に関する定説とはことなり、ウマの家畜化にはターパンとともにPrzewalskiウマが関わっていたかどうかを解明することを試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでにモンゴル在来馬に家畜ウマとは種の異なるPrzewalskiウマのY染色体を持つきわめて特異的な個体が存在することを見いだしている。これは、家畜ウマがターパンと呼ばれる単一種に由来するというウマの家畜化に関する従来の定説とは矛盾するものであり、本研究ではモンゴル在来馬の全ゲノムの塩基配列の解析を行い、Y染色体以外にもPrzewalskiウマのゲノムに由来する領域が存在するかを明らかとすることを試みる。 まず、これらの個体を含むモンゴル在来馬集団の個体について次世代シーケンサーを用いて全ゲノムの塩基配列を明らかにした。さらに得られた全ゲノムの塩基配列データについて、家畜ウマおよび絶滅前のPrzewalskiウマおよび再野生化された現生Przewalskiウマの全ゲノム配列との比較を行った。その結果から、このモンゴル在来馬の集団は、少なくても現生Przewalskiウマとの間で遺伝的交流があったことが推測された。 次に種内で高い多様性を示すPRDM9遺伝子に着目し、その配列をPrzewalskiウマのY染色体を持つモンゴル在来馬の集団において調べたところ、少なくとも3ハプロタイプが集団内に存在することが明らかとなった。これらのハプロタイプは家畜馬には一般的に認められるハプロタイプであるが、これまでに報告されている限られた数のPrzewalskiウマには存在しないものであった。 これらの結果は当該モンゴル在来馬の集団とPrzewalskiウマとの関係を推測する上で重要な知見と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に基づいて研究を実施し、今年度はモンゴル在来馬集団の個体について次世代シーケンサーを用いて全ゲノムの塩基配列を明らかにするとともに、種内で高い多様性を示すことが知られているいくつかの遺伝子のうちPRDM9遺伝子に着目し、その配列をPrzewalskiウマのY染色体を持つモンゴル在来馬の集団において調べている。これらのことから、おおむね順調にしていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も引き続き研究実施計画に基づき、得られた全ゲノムの塩基配列データについて、家畜ウマおよびPrzewalskiウマの全ゲノム配列と網羅的に比較することで、Przewalskiウマゲノムの家畜ウマへの移入の時期を推定する。また、PRDM9遺伝子に加えて、MHC遺伝子等の種内で高い多様性を示す遺伝子の配列を家畜ウマとPrzewalskiウマの間で比較し、モンゴル在来馬の特定の集団にPrzewalskiウマ型のハプロタイプが存在するかを明らかにする。毛色などの特定の形質関わる遺伝子についても家畜ウマとPrzewalskiウマの間で比較することで、当該個体の各種形質との関連についても検討する。これらに結果から、家畜ウマに移入しているPrzewalskiウマのゲノム領域を推定し、それらを識別できる一塩基多型(SNPs)を特定する。さらに、これまでの我々の調査から、モンゴル以外においても家畜化当初の祖先型ゲノムの特徴を残している可能性が高いと推測される在来馬集団についても新たなサンプリングを実施し、それらSNPsを用いた解析を行う。以上の過程により家畜ウマ集団のゲノム中に含まれるPrzewalskiウマゲノムの全体像を明らかにし、Przewalskiウマゲノムを含む家畜ウマの由来とユーラシア大陸における伝播の過程についての新たな知見を得る。
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