Project/Area Number |
23K18090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 43:Biology at molecular to cellular levels, and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 圭一 東京大学, 物性研究所, 准教授 (90467001)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | オプトジェネティクス / ロドプシン / ベストロフィン / イオンチャネル / レチナール |
Outline of Research at the Start |
本研究では、最近海洋性藻類から見つかった光受容膜タンパク質である、ベストロドプシン(BestRh)を基盤とした、新規オプトジェネティクスツール開発を目的とする。BestRhは中央にベストロフィンドメインが巨大径のチャネルを形成し、周囲のロドプシンドメインによってその開閉が光依存的に制御され、従来のチャネルロドプシン(ChR)を上回るイオン輸送能を持つ。またChRより、遙かに長波長の光へ応答性を示すことから、BestRhを用いることで、脳などの組織による操作光の散乱の影響が少ない、体深部の神経操作も可能になると期待される。そこで本研究では高い機能性を有するBestRhの探索・開発とオプトジェネティクス応用を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、海洋性の藻類が持つ、巨大光応答型イオンチャネル複合体であるベストロドプシン(BestRh)の機能評価を行うため、メタノール資化酵母(Pichia pastoris)を用いたタンパク質発現系の構築を試みた。その際にはすでに論文として報告されている分子(TaraRRB)のものとは異なる生物種由来のBestRh遺伝子を選択し、それらの合成遺伝子をP. pastrisの細胞へ導入した。そしてBestRh発現後のP. pastrisの細胞体のロドプシン由来の呈色を見ることで、最終的に良好なタンパク質発現を示す形質転換体を得ることに成功した。さらにタンパク質発現時に添加するall-trans-retinal (ATR)の量を増やすことで、より効率的にATRが発色団としてタンパク質に内部に取り込まれることが明らかとなった。続いてP. pastrisの細胞体をジルコニアビーズで破砕後、界面活性剤でBestRhを可溶化し、それをNiアフィニティークロマトグラフィーで精製することにより、最終的に2 mg程度のタンパク質が得られることが確認された。次に精製されたタンパク質の吸収スペクトルを測定したところ、TaraRRBと同じく赤色光領域に吸収極大波長を示した。さらにpHを変えながら吸収スペクトルの変化を測定したところ、TaraRRBとは異なった形の吸収ピークのシフトを示した。この際には紫外域においても吸収変化が見られたことから、芳香族性のアミノ酸についてもプロトン化状態の変化があると考えられる。今後はさらに詳細なpH変化を測定することで、TaraRRBとの物性の違いを明らかにすることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はP. pastorisを用いたタンパク質発現系を確立したことで、最終年度に向けて今後多様な種由来のBestRを調べる体制が整えられた。またNiアフィニティークロマトグラフィーを用いることで分光計測に十分な量(ミリグラムオーダー)のタンパク質を得ることができており、さらにタンパク質精製後液体窒素で急冷し、-80 ℃下で保管することで測定までに生じるタンパク質のダメージを最小化できることも確認している。また本年度検討を行った以外のBestRについても約20種類の分子について遺伝子配列の収集を完了しており、今後順次これらの物性についても研究を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本年度確立されたP. pastorisによるタンパク質発現系と、Niアフィニティークロマトグラフィーによるタンパク質精製系を用いることで、より多様なBestRhについて物性研究を行い、種ごとの多様性や共通性を調べる。またさらに顕著な物性の違いが見られたものについては、部位特異的アミノ酸変異体などを作製することで、その要因となるアミノ酸残基を特定し、分子メカニズムの詳細を明らかにしていく。またBestRhは5量体同士が対向型で結合することにより、10量体構造を形成してしまい、ホ乳類細胞へ発現させた際に形質幕への局在が低下してしまうことが指摘されている。これについても、5量体同士の会合を阻害するアミノ酸変異を相互作用界面へ加えることで回避できると期待され、今後それに関する研究を行っていく。
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