Project/Area Number |
23K18099
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 43:Biology at molecular to cellular levels, and related fields
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
矢木 宏和 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 准教授 (70565423)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | 巨大ウイルス / ミミウイルス / 非膜性オルガネラ様構造体 / 糖鎖修飾システム |
Outline of Research at the Start |
ウイルスを構成する糖タンパク質は、宿主の糖鎖修飾システムを利用して作りだす。一方で、巨大ウイルスは自身のゲノムにコードされている酵素を利用することで、非膜性のオルガネラ様構造体において特異的な糖鎖修飾を行っていることがわかってきた。こうした状況のもと本研究では、巨大ウイルスのゲノムにコードされた糖鎖合成関連タンパク質が、宿主の糖鎖修飾システムと協調しながらどのように非膜性のオルガネラ様構造体で機能を発揮しているのか、またその合成産物である糖鎖がどのような役割を担うかについて明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は3種類の巨大ウイルス(トーキョーウイルス、ホクトウイルス、ミミウイルス)の糖鎖構造解析に取り組んだ。巨大ウイルスのタンパク質画分から、糖鎖をタンパク質より遊離させると共に3-Methyl-1-phenyl-5-pyrazolone(PMP)により、還元末端を標識し、質量分析によりその構造を解析した。その結果、トーキョーウイルスに関してはメチル化されたO型糖鎖に加え、ウイルス特異的な未知の単糖を有する可能性が示された。ホクトウイルスに関しては、トーキョーウイルスと共通するO型糖鎖が得られた。一方、ミミウイルスにおいては、トーキョーウイルスとは異なるオリゴ糖鎖が発現していることを明らかにした。 これらのような巨大ウイルス特異的な糖鎖修飾は、自身のゲノムにコードされた遺伝子産物により担われていることが想定される。巨大ウイルスの糖タンパク質の糖鎖修飾はウイルス工場で作られたウイルスの粒子がウイルス工場周辺の特定の非膜性領域、いわゆる糖鎖修飾ゾーンで行われている。しかしながら、ウイルスゲノムにコードされた糖鎖合成関連の遺伝子産物が実際に宿主細胞内で機能しているのか、糖鎖修飾がどのような役割を担っているのか、不明な点が多い。そこで、本年度は、巨大ウイルスの糖鎖修飾機構を解明することを目指し、巨大ウイルスがコードする糖転移酵素をプローブとしてウイルス特異的な糖鎖修飾の実態に関する情報を得ることを目指した。 バイオインフォマティクス解析により、ミミウイルスがコードする12種類の糖転移酵素様タンパク質の候補を見出した。そのうちの1つであるL137をプローブとすることで、ウイルス感染に伴いその局在が大きく変化していることを明らかにした。 また、UDP-ビオサミンなどの巨大ウイルスが宿主内で産生する糖ヌクレオチドを分析する基盤技術を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3種類の巨大ウイルス(トーキョーウイルス、ホクトウイルス、ミミウイルス)の糖鎖構造解析に成功した。また、巨大ウイルスが宿主内で産生する糖ヌクレオチドを分析する基盤技術を整えることができている。さらには、蛍光を融合した糖転移酵素をプローブとすることで、ウイルス感染に伴いその局在がウイルス工場周辺に局在することを観察することに成功した。糖鎖修飾ゾーンを構成する分子集団を捉えるためは、糖転移酵素をプローブとして近接依存性標識を実施する必要がある。現状では、プローブとするタンパク質を発現するプラスミドベクターの宿主細胞への導入効率が悪く、改善を進めている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
プラスミドベクターの宿主細胞への導入効率の向上の検討を試みる。具体的には、リポフェクションに加えて、エレクトロポレーションおよびリシール技術を検討する。こうした検討の後に、ミミウイルスが有する糖転移酵素をプローブとして近接依存性標識を実施し、非膜性オルガネラの形成に関わるタンパク質の同定を試みる。こうした研究を通じて、糖鎖修飾ゾーンを形成する分子の実態を捉える。一方で、糖鎖修飾ゾーンを形成する糖転移酵素様タンパク質の基質特異性を詳細に調べることで、表面繊維糖鎖の合成に関わるタンパク質を同定する。糖鎖修飾ゾーンの中で、同定した糖転移酵素とそれらが修飾する糖タンパク質の細胞内局在の観察を通じて、両者の局在や相互作用に関する知見を得る。
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