Project/Area Number |
23K18102
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 43:Biology at molecular to cellular levels, and related fields
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
重信 秀治 基礎生物学研究所, 超階層生物学センター, 教授 (30399555)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 社会性昆虫 / 抗菌ペプチド / シロアリ / ゲノム |
Outline of Research at the Start |
我々は最近シロアリのゲノム解読の過程で、シロアリ系統特異的な分泌性ペプチドをコードする新規の遺伝子ファミリーを発見しTYペプチドと命名した。TYペプチドはシロアリ以外にホモログは見つからず既知のモチーフもなく、機能は全く不明である。我々は、TYペプチドは、シロアリらしさを決める、おそらく社会性進化の鍵遺伝子である可能性が高いと考える。その理由は、1)シロアリ系統特異的な遺伝子であること、2)発現量が極めて高いこと、3)カースト間で発現差が顕著であること。本研究の目的はTYペプチドの機能を解明することである。社会生物学等の基礎科学と新規生理活性物質探索として農学・医療分野への貢献も期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は最近シロアリのゲノム解読の過程でシロアリ系統特異的な分泌性ペプチドをコードする新規の遺伝子ファミリーを発見した。ヤマトシロアリでは、3つの重複遺伝子がゲノム上に隣接して並んでおり、それぞれペプチドのN末端に分泌シグナルをもち、C末端にはチロシンを多く含むため、tyrosine-rich peptide family gene(TYペプチド)と命名した。TYペプチドはシロアリ以外にホモログは見つからず既知のモチーフもなく機能は不明であるが、シロアリらしさを決める、おそらく社会性進化の鍵遺伝子である可能性が高いと考えている。その理由は、1)シロアリ系統特異的な遺伝子ファミリーであること、2) 強烈に高いレベルで発現していること、3)カースト間で発現差が顕著であること。本研究の目的はTYペプチドの機能を解明することである。予想される機能としては、カースト分化制御や個体間相互作用など社会性に関与する分子、社会性免疫を担う抗菌ペプチドなどが想定される。 今年度はまずTYペプチド遺伝子の進化について検討した。複数種のゴキブリとシロアリのゲノムデータからTY遺伝子を探索したところ、各種で複数の相同遺伝子を新たに同定した。次に、ヤマトシロアリとネバダオオシロアリで発現解析を行ったところ、どのTY遺伝子のパラログも職蟻の頭部で特に高発現することがわかった。さらに、ヤマトシロアリの職蟻を用いて、in situ hybridizationでmRNAの局在を調べた。その結果、表皮腺や消化管壁などの細胞で強いシグナルが確認された。次年度にタンパク質レベルでの解析を行うための準備として、SDS-PAGEによるタンパク質発現の予備解析を行った。また、TYペプチドを人工化学合成することに成功したため、次年度以降に合成ペプチドを使った分析(抗菌活性試験やシロアリ添加実験など)の準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本課題初年度となる今年度は、まずTYペプチド遺伝子の進化について検討した。複数種のゴキブリとシロアリのゲノムデータからTY遺伝子を探索したところ、各種で複数の相同遺伝子を新たに同定した。いずれも分泌シグナルを持つこと、TY-richの特徴を共有することを確認した。シロアリのTY遺伝子は3つのクレードに分類できること、社会性の進化に伴ってファミリーが拡大していることが示唆された。次に、ヤマトシロアリとネバダオオシロアリでRNA-seqとRT-qPCRによる発現解析を行ったところ、どのTY遺伝子のパラログも職蟻の頭部で特に高発現することがわかった。発現解析は、カースト間、発生段階、コロニーの発達に伴う生殖虫で発現変動の3つの解析を行なった。さらに、ヤマトシロアリの職蟻を用いて、in situ hybridizationでmRNAの局在を調べた。その結果、表皮腺や消化管壁などの細胞で強いシグナルが確認された。次年度にタンパク質レベルでの解析を行うための準備として、SDS-PAGEによるタンパク質発現の予備解析を行った。また、TYペプチドを人工化学合成することに成功したため、次年度以降に合成ペプチドを使った分析(抗菌活性試験やシロアリ添加実験など)の準備が整った。これらの研究は研究代表者の基生研グループと研究協力者の富山大・前川研究室との共同研究でなされたものであり、前川研究室の学生がこれらの内容を学会や卒業研究で発表した。このように、本課題の初年度から学会発表や卒研発表できるレベルにまで豊富なデータが得られたこと、次年度以降の予備実験も順調であることから、「当初の計画以上に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題は、3年をかけて以下の6つの小課題に分けて遂行する計画としている。研究1:TYペプチドを化学合成しシロアリに対する活性や微生物に対する抗菌性を調べる。研究2:シロアリにおける発現部位の特定。研究3:RNAi による機能解析。研究4: 立体構造予測。研究5:バイオインフォマティクス:比較ゲノミクスと遺伝子共発現ネットワーク解析。研究6:生体からのTYペプチドの精製と質量分析。
前年度は、研究2の発現部位の特定がほぼ完了した。研究5は前年度より順調に進展しているので今年度はさらに深い解析を行う。研究6については前年度予備実験としてSDS-PAGEを1度実施したので、繰り返して再現性を確認した上で質量分析によるプロテオーム解析をスタートさせる。また、研究1についてはヤマトシロアリTYペプチドの人工化学合成に成功したので、今年度シロアリや微生物に対する作用の解析を行う。研究4は今年度研究室GPU付サーバを導入する予定であるのでAlpfaFold2や類似アルゴリズムを用いてin silico立体構造予測を行う。
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