Understanding and experimental validation of epigenome evolution that underlies human-specific neuronal differentiation.
Project/Area Number |
23K18153
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 45:Biology at organismal to population levels and anthropology, and related fields
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
一柳 健司 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (70401560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 公紀 京都大学, ヒト行動進化研究センター, 助教 (80567743)
今村 拓也 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 教授 (90390682)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | 進化 / iPS細胞 / 神経幹細胞 / 霊長類 / エピゲノム / シス配列 / 非コードRNA / 神経分化 |
Outline of Research at the Start |
ヒトとチンパンジーにおける神経系細胞の分化過程で生じる細胞形質の種間差を明らかにし、種間差の出現要因をエピゲノムおよびpancRNAの観点から探究し、ゲノムの変化がどのように細胞性質の変化につながるのかを理解するために、ヒトとチンパンジーのiPS細胞を神経幹細胞に、さらにそこからニューロンやアストロサイトに分化させ、また、iPS細胞から神経堤細胞の分化させ、それぞれの分化過程の各タイムポイントでエピゲノム、トランスクリプトーム(遺伝子およびpancRNA)、表現型を比較する。さらに、種間差と関わるゲノム領域についてゲノム編集実験を行い、作業仮設を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の一柳はヒトとチンパンジーのiPS細胞を用いて、接着培養のまま神経幹細胞に分化させることに成功した。分化した細胞がニューロンへの分化能を持つことを確認したのち、分化誘導から2日おきに12日後まで細胞を回収し、mRNA-seqとATAC-seqを行った。その結果、ヒトもチンパンジーも同じようなタイミングで分化していくものの、NR2F1など幹細胞性の維持やニューロン分化に関わる遺伝子の発現量が種間で異なることを明らかにした。これらの遺伝子のプロモーター部分のオープンクロマチン性は変化しておらず、エンハンサー活性の違いが発現量差を生み出している可能性が考えられる。また、神経幹細胞への分化過程において、いくつかのレトロトランスポゾンのオープンクロマチン化がみられ、これらが種間の遺伝子発現に影響を与えている可能性が示唆された。 分担者の今村(公)は、大型類人猿のチンパンジーとボノボ、および小型類人猿のテナガザルからiPS細胞を新たに作製し、一柳、今村(拓)とともに遺伝子発現解析を行った。その結果、ヒト加速領域(HAR)から発現するヒト特異的ノンコーディングRNAの一つが、ヒトではiPS細胞の神経分化に伴い発現上昇する一方でチンパンジーでは発現が認められないことに加え、ホモ属(ヒト)とパン属(チンパンジー、ボノボ)を区分する差次的発現遺伝子やチンパンジーとボノボを区分する差次的発現遺伝子の存在などを明らかにした。 分担者の今村(拓)は、膜タンパク質遺伝子に焦点を絞った解析を進行し、マウスに比較してヒトで顕著に高発現する TMEM25とCD63という鍵分子とそれぞれのノンコーディングRNA(ncRNA)とのペアを得た。TMEM25遺伝子の場合、ヒト特異的なncRNAが進化的に獲得されており、細胞膜タンパク質として神経幹細胞増殖に機能することで大脳皮質の拡大に寄与することを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに分化誘導系を確立し、分化過程における遺伝子発現ダイナミクスを種間比較することができた。今村(公)が新たに作製したチンパンジーのiPS細胞については年度内に論文として発表することができ、ボノボおよびテナガザルのiPS細胞についても論文投稿準備中である。今村(拓)は種特異的ncRNAパートナー遺伝子であるTMEM25を解析する過程で、この遺伝子を基点とする細胞内シグナルカスケードの下流に別のヒト特異的遺伝子でありミトコンドリアの膜透過性制御因子であるARHGAP11Bが位置していることがわかった。大脳において、「ヒト特異的ncRNA獲得→種で共通な遺伝子の発現調節の高度化(エピゲノム変化)→ヒト特異的遺伝子産物の機能修飾」メカニズムが機能する、ncRNAと遺伝子の協調進化のさまが見えてきたこの成果については、論文発表済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
ChIP-seqによって、分化誘導時におけるヒストン修飾のダイナミクスを種間比較する。遺伝子発現データ、ATAC-seqデータと統合し、ヒトとチンパンジーの神経幹細胞の性質を分けているゲノム領域の候補を同定し、iPS細胞でゲノム編集後、分化誘導実験を行う。また、レトロトランスポゾンと遺伝子発現の種特異性の検証として、ヒト、チンパンジー、ボノボ、テナガザルのiPS細胞における遺伝子発現の種間比較解析を行う。加えて、エピゲノムを種分化させうるゲノムエレメント候補を順次マウス脳オルガノイドに賦与する研究を効率的に推進し、各臓器におけ る細胞の振る舞いを定量化 (ncRNA獲得様式の定量化)を行なっていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(24 results)