Project/Area Number |
23K18225
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 49:Pathology, infection/immunology, and related fields
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
北村 大介 東京理科大学, 研究推進機構生命医科学研究所, 教授 (70204914)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | B細胞 / T細胞非依存性免疫応答 / DNase1L3 / 抗体産生 / T細胞非依存的免疫応答 |
Outline of Research at the Start |
肺炎球菌等の莢膜多糖類を抗原として認識したB細胞は、T細胞の助けを借りずに抗体産生応答を起こす。これを2型T細胞非依存性(TI-2)応答と呼び、肺炎球菌のワクチンに利用されている。しかし、抗原認識からB細胞の増殖・形質細胞分化に至る細胞内メカニズムは分かっていない。私たちは、DNA切断酵素であるDNase1L3を欠損するマウスがTI-2応答を起こせないことを見出した。DNase1L3はTI-2抗原に反応したB細胞で発現が増加し、核内に移動した。本研究では、このDNase1L3がどういうメカニズムでB細胞の細胞増殖、形質細胞分化を誘導するかを解明したい。
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Outline of Annual Research Achievements |
肺炎球菌等の莢膜多糖類を抗原として認識したB細胞は、T細胞の助けを借りずに抗体産生応答を起こす。これを2型T細胞非依存性(TI-2)応答と呼び、これは肺炎球菌のワクチンに利用されている。TI-2抗原がB細胞の抗原受容体(BCR)を架橋することにより細胞内シグナルが惹起されるが、その後の、B細胞の増殖・形質細胞分化・抗体産生に至る細胞内メカニズムはほとんど不明である。私たちは、DNA切断酵素であるDNase1L3を欠損するマウスがT細胞依存性応答は正常に起こすが、TI-2応答は著しく減弱していることを見出した。このマウスではTI-2抗原免疫によるB細胞増殖、形質細胞分化、IgM産生が抑制されており、こうした反応にはB細胞内在性のDNase1L3が必要であった。また、DNase1L3はTI-2抗原で刺激された辺縁帯B細胞で発現が強く増加し、刺激後に核内に移行した。本研究は、このDNase1L3がどのようなメカニズムでB細胞の細胞増殖、形質細胞分化を誘導するかを解明することを目的としている。これまでに、TI-2抗原を認識したB細胞におけるDNase1L3の作用機序、DNase1L3の下流のシグナル経路について研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まず、TI-2応答初期のB細胞におけるDNase1L3を介した分子反応を理解するために、以下の実験を行った。NP抗原特異的BCRのH鎖ノックインアレル(B1-8)を有するDNase1L3欠損マウスおよび野生型マウス(CD45.1+)の辺縁帯B細胞を正常のC57BL/6マウス(CD45.2+)に移入し、その翌日TI-2抗原で免疫した。免疫後2日目にCD45.1+ CD138-(非形質細胞)かつ大型の活性化B細胞を精製し、RNA-seq解析を行った。その結果、DNase1L3欠損によって発現が低下した遺伝子群として、c-MycあるいはE2Fの標的遺伝子群、小胞体ストレス応答遺伝子群などが低下していた。前者は細胞増殖の低下、後者は形質細胞分化の抑制をもたらすと考えられた。実際、免疫応答時のB細胞増殖と形質細胞分化に必要な転写因子IRF4およびc-MycのmRNAとタンパクの発現が、免疫後2日目の精製B細胞においてDNase1L3欠損により低下していた。また、DNase1L3欠損B細胞にDNase1L3を導入してマウスに移入するとTI-2抗原免疫による増殖と形質細胞分化が回復した。以上の結果より、TI-2抗原が結合したB細胞において、DNase1L3依存的に活性化したシグナルによりc-MycとE2Fの発現が上昇し、細胞増殖と形質細胞分化を誘導すると考えられた。一方、DNase1L3の発現を上昇させるBCRシグナルについては、NP特異的辺縁帯B細胞をin vitroでNP-Ficollで刺激する実験系(in vitro TI-2応答系)において、阻害剤を用いた実験より、NF-κBが必要であることが分かった。DNase1L3をB細胞に遺伝子導入してその機能を解析する予定であったが、レトロウィルスベクターおよびレンチウィルスベクターを試した限りでは遺伝子導入効率が悪く、細胞表現型の解析ができなかった。外来性DNase1L3がB細胞に何らかの傷害を与えている可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
DNase1L3を効率良くB細胞に遺伝子導入する方法を見出し、以下の解析を行う。 TI-2応答におけるDNase1L3の作用機序を明らかにするために、DNase1L3の酵素活性中心や核局在ドメインの変異体をNP特異的(IgVH B1-8/+)DNase1L3欠損B細胞に導入し、C57BL/6マウスに移入後、NP-Ficoll免疫によるこの細胞の増殖および形質細胞分化をFlow cytometry (FCM)により評価する。また、上記NP特異的マウスB細胞を用いたin vitro TI-2応答系で、γH2AXに対する抗体での染色、TUNEL法などでDNA切断の有無を調べる。 DNase1L3が核でDNA断片を生成し、それを何らかのDNAセンサーが感知して細胞増殖・形質細胞分化が誘導されるという仮説を証明するために、以下の解析を行う。DNA切断点をKU複合体が認識し、DNA-PKcsを介して細胞活性化・増殖を誘導するという報告をもとに、in vitro TI-2応答系においてKU70/80, DNA-PKcsのsiRNAによるノックダウンや阻害剤処理により、抗原刺激による細胞増殖・形質細胞分化が抑制されるか調べる。また、未知のDNAセンサーを同定するため、in vitro TI-2応答系で抗原刺激後、固定したB細胞内においてTUNEL法によりDNA断片末端をビオチン化し、その細胞質抽出液からアビジンビーズによりDNA断片に結合した蛋白を分離し、質量分析により同定する。同定したDNAセンサーの候補について、そのsiRNAをNP特異的B細胞に導入し、これを移入したマウスにNP-Ficollを免疫し、ドナー細胞の増殖・形質細胞分化をFCMにより評価する。 現在作製を進めているマウスDNase1L3に対する抗体を用いて、TI-2抗原刺激によるDNase1L3の活性化機構を探る。DNase1L3蛋白はTI-2抗原で刺激後3時間までに核に移行するので、未刺激および刺激後3時間までのDNase1L3蛋白のリン酸化、ユビキチン化、その他の修飾について、上記抗体を用いて免疫沈降したDNase1L3をWestern blot法により解析する。
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