テトラスパニンを介した新たながん転移促進機構の解明
Project/Area Number |
23K18239
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 50:Oncology and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野村 紀通 京都大学, 医学研究科, 准教授 (10314246)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | テトラスパニン / がん転移・悪性化進展 / 仮足形成 / クライオ電子顕微鏡単粒子解析 / クライオ電子線トモグラフィー解析 |
Outline of Research at the Start |
テトラスパニンTM4SF1のがん転移・悪性化進展における役割や分子機構は未解明である。本研究では、TM4SF1の高次構造情報に基づいて、がん細胞転移促進シグナルの増強及び仮足形成促進の分子機構を解明する。独自に取得した大腸がん転移促進活性をもつ抗TM4SF1抗体YN5848を活用して研究を進める。「YN5848抗体の結合によりTM4SF1はアロステリック構造変化を起こして自己集合する。その結果、コラーゲン受容体DDR1シグナルの増強や仮足形成が促進される」という仮説を検証するため、クライオ電子顕微鏡を用いてがん悪性化誘導細胞膜におけるTM4SF1複合体の構造動態を解析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
①大腸がん細胞の転移・悪性化進展に関与するヒトテトラスパニンTM4SF1を対象として、細胞外ドメイン表面の立体構造を認識・結合する複数株のモノクローナル抗体YN5848を取得した。 ②取得した抗TM4SF1抗体について、大腸がんオルガノイドを用いた機能性評価を実施した。悪性化大腸がん細胞オルガノイド(AKTP細胞)の培養にYN5848抗体IgG精製品を添加して短時間インキュベート後、NSGマウス(免疫不全マウス)脾臓に移植した。2週間後にマウスの肝臓および脾臓を摘出し肝転移巣の形成を定量化した。抗体を投与した転移巣では、著しい線維化が観察された。またこれらの抗体投与マウスでは肝臓全体に占める転移巣面積の相対比の割合が対照群に比べて有意に大きかったため、これらの抗体は大腸がん転移を促進する機能性抗体であると結論した。興味深いことに、これらの抗体をin vitroでのAKTP細胞培養に添加すると遊走性仮足状の突起構造をもつオルガノイドの出現頻度が有意に多いことが確認された。この結果は、テトラスパニンAを介してがん転移・悪性化進展が起こる新規のメカニズムがあることを示すものである。 ③上記の現象の分子機構を構造生物学的に解明するため、TM4SF1-YN5848抗体複合体のクライオ電子顕微鏡単粒子解析 (cryo-EM SPA)を進めた。対照として、がん転移促進機能が無い抗TM4SF1抗体YN5822についても同様の解析を行った。データ解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス生体内にこの新規機能性モノクローナル抗体を投与することにより、大腸がんの転移・悪性化進展の現象を高効率で人為誘導し再現可能であることを見出した。また、in vitroでの大腸がんオルガノイド細胞の増殖実験において、当該抗体を投与して培養したときのみがん細胞に遊走性仮足状の突起構造が高頻度で出現することが確認された。本現象はがん転移・悪性化進展過程における初期細胞変容の重要なモデルとなる。当該機能性抗体とTM4SF1の複合体についてクライオ電子顕微鏡単粒子解析にも着手しており、概ね当初計画に沿った進捗状況であるので、本年度の目標は概ね達成できていると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
①TM4SF1-YN5848抗体複合体のクライオ電子顕微鏡単粒子解析 (cryo-EM SPA)を完了する。対照として、がん転移促進機能が無い抗TM4SF1抗体YN5822についても同様の解析を行い、構造比較によりTM4SF1のコンフォメーション変化を明らかにする。 ② DDR1-TM4SF1-YN5848抗体の三者複合体のcryo-EM SPAを実施し、抗体結合によるTM4SF1構造変化がDDR1との複合体形成をどのように促進しているかを構造学的に解明する。がん転移抑制の新規創薬標的としてDDR1-TM4SF1相互作用界面の3D構造を提唱する。 ③TM4SF1のクライオ電子線トモグラフィー解析:仮説「YN5848抗体結合によりTM4SF1が自己集合し、脂質膜の曲率が変化するために細胞膜形態変化を促し、仮足が形成される」を検証するため、抗体添加後さまざまな時間において電子顕微鏡グリッド上で培養した悪性化進展がん細胞を用いてクライオ電子線トモグラフィー解析 (cryo-ET)を実施する。転移巣由来がん細胞の仮足のcryo-ET解析も行う。TM4SF1の局在と細胞膜形態変化及び仮足形成の相関をタイムラプスイメージングにより明らかにする。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Structural basis of hepatitis B virus receptor binding2024
Author(s)
Asami Jinta、Park Jae-Hyun、Nomura Yayoi、Kobayashi Chisa、Mifune Junki、Ishimoto Naito、Uemura Tomoko、Liu Kehong、Sato Yumi、Zhang Zhikuan、Muramatsu Masamichi、Wakita Takaji、Drew David、Iwata So、Shimizu Toshiyuki、Watashi Koichi、Park Sam-Yong、Nomura Norimichi、Ohto Umeharu
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Journal Title
Nature Structural & Molecular Biology
Volume: 31
Issue: 3
Pages: 447-454
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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