Project/Area Number |
23K18299
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 54:Internal medicine of the bio-information integration and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江藤 浩之 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (50286986)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
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Keywords | 巨核球 / 自然免疫 / COVID19 / 炎症 / 血小板 / 細胞老化 / インターフェロン |
Outline of Research at the Start |
imMKCLは細胞不均一性を示し、その不均一性解析によって、成熟前増殖期imMKCL でのLet-7 miRNAの活性の強弱が“免疫巨核球”を選別・濃縮できることを見出した。 さらに“細胞老化”した imMKCLではLet-7 low細胞集団が増加し、Let-7 high巨核球が担う血小板産生が抑制され、Let-7が抑制する標的遺伝子には、老化関連因子が含まれ、免疫巨核球と細胞老化の関連性が強く示唆された。そこで本研究は、imMKCLをモデル細胞に、巨核球・血小板造血システムの多様性、不均一性の原因を明らかにし、血小板造血における細胞老化の制御法を見出す。
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Outline of Annual Research Achievements |
生体内の巨核球は、血小板産生巨核球以外に、骨髄内部の造血システム維持のためのニッチ細胞として機能する巨核球、さらに骨髄だけでなく、肺に局在して免疫細胞として自然免疫機能、獲得免疫機能を有する巨核球が存在し、多様な役割を担っていることが明らかになりつつある。2023年度(初年度)は、ヒトの各個体、年齢等で異なる巨核球・血小板造血システムの多様性、不均一性の原因を明らかにすることを目的に、(i)ヒト増殖期巨核球のLet-7活性が免疫巨核球を規定する遺伝子の同定、(ii)炎症性サイトカインの増加に伴う細胞老化にLet-7、免疫巨核球が関わる仕組みの解明までを行うことを計画し、これらの目的を達成した。
本研究は、自然免疫と獲得免疫を制御する「免疫巨核球」がimMKCLにも存在すること、本細胞集団がlet-7 マイクロRNAの活性度に応じて選別・濃縮できることを明らかにした。シングルセルRNA-seq解析により、let-7a-5p によるRALB の発現抑制機構が減弱することでRALB発現が高まり、免疫形質が誘導され、増強されることを見出した。さらに、RALBはヒト臍帯造血幹細胞由来巨核球(ヒト生体内型巨核球)においても免疫巨核球を規定することを確認した。imMKCLでは、iPS細胞ドナー特性による増殖能・血小板産生能の不均一性が存在しますが(Stem Cell Reports, 2021)、その原因は不明だった。本研究では、imMKCLのドナー特性、あるいは、培養時の細胞老化が免疫形質と関連することも発見した。つまり、継代数増加に伴う細胞老化が増殖能・血小板産生能の低下を引き起こす原因にも、免疫巨核球集団の炎症性シグナルが関与し、その抑制を細胞培養に活用する方法も見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
let-7下流で機能するGTPaseタンパクRALBが免疫巨核球発生の制御因子であり、炎症性シグナルを増強することを初めて見いだし、Nature Communications, 3/22 2024 online出版において論文発表に至った。Let-7(特にLet-7a-5p/Let-7g-5p)が抑制するエフェクター(標的遺伝子)には、RalB以外にも、老化関連因子CUX-1が含まれ、免疫巨核球と細胞老化の関連性が強く示唆されたが、CUX-1が巨核球の免疫炎症特性を惹起する明らかなエビデンスは得られなかった。 細胞老化による増殖性低下の現象に、免疫巨核球のインターフェロンシグナルがどのように関わっているかの解明はまだできていない。また、COVID19患者での重症度と連動していることが示唆される微小血栓(免疫血栓)の誘因と示唆されている免疫巨核球由来のサイトカインに関しても全貌が明らかになっていない。これらの未解決課題に対し、過剰なインターフェロンシグナルが起きることで、細胞周期がG0期に集約し、血小板産生する細胞周期であるG1, G2/M周期の巨核球集団が減少することを発見している。COVID19関連サイトカインストームとD-dimerの関連に関しては、来年度に研究を計画する。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞老化にLet-7、免疫巨核球が関わる仕組み、 “初期化様(若返り)”現象と免疫巨核球の関連検証、さらに、患者検体を用いたCOVID19重症化の原因を免疫巨核球の観点から考察する。細胞老化したimMKCLでは、NR6A1遺伝子の上昇が観察されていたが、その意味つけができていなかった。最近、NR6A1の欠失により、HOX遺伝子群の発現が障害され、造血システムへの関与が示唆される。そこで、当初の予定に加えて、NR6A1による造血環境、シグナル解明も新たに実施していく。
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