Overcoming T cell dysfunction with Shelterin factor
Project/Area Number |
23K18301
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 54:Internal medicine of the bio-information integration and related fields
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新井 文用 九州大学, 医学研究院, 教授 (90365403)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
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Keywords | POT1a / TPP1 / 造血幹細胞 / シェルタリン因子 / POT1 / Tリンパ球 / 免疫老化 |
Outline of Research at the Start |
Tリンパ球はがん免疫療法(遺伝子改変T細胞療法など)の主要な細胞ソースであるが、遺伝子導入操作や老化によって生じる機能低下を克服することが、高い治療効果を得る上での重要な課題となっている。我々は、シェルタリン因子POT1aを導入することで老化造血幹細胞からのリンパ球産生が回復することを見出した。そこで本研究では、POT1をはじめとしたシェルタリン因子の機能を応用することで、Tリンパ球の機能低下抑制および機能回復に挑戦する。本研究の成果は、CAR-T治療におけるTリンパ球の機能低下の阻止や疲弊Tリンパ球の機能回復による抗腫瘍効果の増強を可能にし、これにより新たながん免疫療法の開発につながると期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
シェルタリンはPOT1, TPP1, TIN2, RAP1, TRF1, TRF2によって構成されるテロメア特異的タンパク複合体である。我々は、POT1aを導入することによって老化造血幹細胞 (HSC) のミエロイド偏重が抑制され、リンパ球産生が回復することを見出していたことから、シェルタリン因子はTリンパ球の機能維持および回復に応用できると考えた。平成5年度には、以下の実験を実施した。 1. HSCおよびリンパ球前駆細胞に高い効率でPOT1aとTPP1を導入することを目的として、それぞれの細胞膜透過性タンパクを作製した。まず、POT1aタンパクとTPP1タンパクをそれぞれ単独あるいは同時 (POT1a+TPP1) に導入し、HSCの試験管内増幅を検討したところ、POT1a+TPP1は、POT1a単独およびTPP1単独と比較して、より高い未分化HSC数の増加が見られた。 2. 遺伝子導入のモデルとして、HSCにレトロウイルスを用いてGFPを導入し、活性酸素 (ROS) 産生とDNA損傷応答 (DDR) を解析した。その結果、POT1a単独あるいはTPP1単独で添加した群と比較して、POT1a+TPP1は、より効果的にDDRを抑制できることが分かった。一方、ROS産生については、POT1a単独、TPP1単独、POT1a+TPP1の全てがコントロールと比較してROS産生を抑制した。また、培養後のHSCを比較したところ、POT1a+TPP1はPOT1a単独、およびTPP1単独としてHSC数が増加することが確認できた。 3. 老化マウス (>70週齢) から分離したHSCの体外増幅に対するPOT1a単独、TPP1単独、POT1a+TPP1の効果を検討したところ、POT1a+TPP1が最も高いHSC増幅効果を持つことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R5年度までの研究で、細胞膜透過性タンパクを用いることにより、血液細胞にPOT1aとTPP1を効果的に導入できることを確認できた。特に、HSCを用いた解析では、POT1aとTPP1の組み合わせ (POT1a+TPP1) が、それぞれを単独で用いる場合よりも効果的にDDRを抑制し、HSC数の増幅を促すことを明らかにした。 POT1aによるROS産生の抑制メカニズムについては、POT1aがオートファジーを制御する因子、例えばFosl2やFosの発現を誘導し、損傷したミトコンドリアの蓄積とROS産生を抑える可能性も考えられた。しかしながら、Fosl2をPot1a欠損HSCに導入しても、HSCの機能を完全には回復できないことが分かった。この結果から、ROS産生の抑制に関しては、オートファジーの制御よりも、POT1aがTPP1と協調してTIN2のミトコンドリア移行を抑制することが重要であると考えられた。(なお、TIN2はミトコンドリアにも局在し、ROS産生を誘導することが報告されている) 遺伝子改変T細胞療法においては、遺伝子導入操作や老化による機能低下を克服することが、治療効果を高める上で重要である。この観点から、レトロウイルスを導入したHSCの機能維持にPOT1a+TPP1の効果が確認されたことは、リンパ球に対する遺伝子導入戦略にも応用可能であることを示唆している。 さらに、疲弊した造血細胞の機能回復においても、老化HSCに対するPOT1a+TPP1の効果が確認され、未分化なHSC分画の維持と増幅が可能であることを確認した。これにより、POT1a+TPP1が、疲弊したTリンパ球の機能回復にも応用できる可能性があることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
HSCを用いた解析から、POT1aとTPP1の組み合わせ(POT1a+TPP1)は遺伝子導入ストレスによる機能低下抑制や老化HSCの効率的な増幅に有効であることが明らかになった。今後の研究方針として、リンパ球系共通前駆細胞(CLP)およびTリンパ球を用いた解析を進める。 1. 遺伝子導入ストレスによるCLPの機能低下抑制:GFP遺伝子を導入したCLP (GFP+CLP) をPOT1a+TPP1存在下で培養し、細胞増殖、遺伝子発現、テロメア長、PD-1やTim-3などの疲弊T細胞マーカーの発現を解析する。その後、POT1a+TPP1を導入したGFP+CLPを用いて骨髄移植実験を行い、CLPの生着能を増強できるかを検討する。さらに、抗CD19-CARを導入したCAR-T細胞を作製し、白血病細胞株NALM-6を移植した白血病モデルマウスにPOT1a+TPP1導入および非導入CAR-T細胞を移植して抗腫瘍効果を比較検討する。これらの解析を通じて、POT1a+TPP1導入によるT細胞の老化や疲弊の抑制および抗腫瘍効果の増強を目指す。 2. 老齢CLPの機能回復:HSCでPOT1をノックダウンするとリンパ球産生が低下し、逆に過剰発現するとリンパ球産生が亢進する。また、老齢マウスのHSCにPOT1aを導入すると、リンパ球産生が回復する。これらの結果から、POT1aがリンパ球の産生をサポートする可能性が考えられる。そこで、老化マウスのCLPにPOT1a+TPP1を導入して骨髄移植実験を行い、生体内での生着と細胞数、TCRのレパトアなどを解析する。 3. ヒトHSCに対するPOT1a+TPP1の作用:ヒト骨髄HSCにPOT1a+TPP1を導入し、免疫不全マウスに移植し、T細胞数やTCRのレパトアを解析する。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)
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[Journal Article] POT1a deficiency in mesenchymal niches perturbs B-lymphopoiesis2023
Author(s)
Nakashima Kentaro、Kunisaki Yuya、Hosokawa Kentaro、Gotoh Kazuhito、Yao Hisayuki、Yuta Ryosuke、Semba Yuichiro、Nogami Jumpei、Kikushige Yoshikane、Stumpf Patrick S.、MacArthur Ben D.、Kang Dongchon、Akashi Koichi、Ohga Shouichi、Arai Fumio
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Journal Title
Communications Biology
Volume: 6
Issue: 1
Pages: 1-14
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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