Clinical application based on the molecular mechanism of autoantibody production in autoimmunity
Project/Area Number |
23K18361
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 57:Oral science and related fields
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
石丸 直澄 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (60314879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛尾 綾 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 講師 (40823836)
常松 貴明 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (70726752)
大塚 邦紘 徳島大学, 病院, 助教 (90847865)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | 自己免疫疾患 / B細胞 / 形質細胞 / シェーグレン症候群 / 自己抗体産生 / 自己抗体 / クラススイッチ |
Outline of Research at the Start |
自己免疫疾患の診断には特異的な自己抗体の検出が有用である一方で、自己抗体自身の臓器病変への影響は不明なままである。本研究では、シェーグレン症候群をはじめ自己免疫疾患のモデル動物を用いて自己抗体の病原性に関する詳細な検討を加えることにより、自己反応性B細胞ならびに自己抗体を基盤とした自己免疫病変への新たな病因を探索する。診断への応用が中心であった自己抗体を起点として、病態制御の可能性を探ることは新たな治療法に向けての重要な内容と言える。さらに、本研究は、自己抗体の過剰産生機構を応用したワクチン開発、アレルギー疾患など多角的な臨床応用が可能になる。
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Outline of Annual Research Achievements |
自己免疫疾患における血清中の自己抗体の検出は診断のマーカーとして極めて重要であることはよく知られている一方で、その詳細な産生機構あるいは病原性に関しては不明な点が多い。ドライマウスやドライアイを主徴とするシェーグレン症候群(Sjogren’s syndrome: SS)の自己抗体として抗SS-Aあるいは抗SS-B抗体が知られているが、病態との関連性はよく分かっていない。本研究の目的として、SSにおける自己抗体の新たな産生機構の詳細な分子メカニズムを明らかにするとともに、自己抗体の病原性の有無を検証することを目指している。さらに、自己抗体の産生機序を応用することで、感染症に対するワクチンの効果を大幅に高める可能性やアレルギー疾患におけるイムノグロブリンを介した治療制御など、SSのみならず様々な免疫難病への臨床応用を目指している。 R5年度は、シェーグレン症候群の疾患モデルマウスにおける肺病変が唾液腺病変とは異なり、B細胞が主体であることに着目し、自己抗体産生機構との関連性を探索した。SSモデルへ抗CD19抗体を投与しても肺病変は変化しなかったが、抗CD4抗体を投与すると肺病変が抑制された。また、肺病変に集簇するB細胞はCD23+濾胞B細胞が主体であることが判明した。これらの結果から、CD4+T細胞依存的にB細胞による病変が形成され、自己抗体を産生する可能性が示唆された(Front Immunol 2023)。本結果は、SS患者の肺病変の形成メカニズムの一端を説明しうるものと考えられる。また、加齢に伴ってSS疾患モデルの末梢では自己抗体産生細胞の増加が確認されているため、肺病変を含め詳細な検討を進めている。さらに、唾液腺組織に浸潤する抗体産生細胞の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、SSの疾患モデルあるいは患者サンプルを用いて、B細胞・形質細胞の分化制御遺伝子発現などを多角的な手法を用いて網羅的に解析することによって、SSにおける自己抗体産生機構の分子メカニズムを解明する。疾患モデルを中心として、in vivoおよびin vitroでの実験系から自己免疫疾患の病態における自己抗体の病原性の有無を検証するとともに、疾患モデルあるいは遺伝子改変マウスなどを応用しながら、分子生物学的解析、病理学的解析ならびに免疫学的解析にて検討を進める。本年度は、SS疾患モデルマウスにおける病変はB細胞が主体であることに着目して、B細胞系の分化、機能ならびに自己抗体の産生機構の解明を試みた。さらに、SSの唾液腺局所における浸潤リンパ球の一細胞RNAseqによる解析を実施した。 SS疾患モデルマウスの肺病変ではCD19陽性のB細胞が対象群に比較して有意に多く浸潤していることが判明し、病変組織では各種ケモカインならびにケモカイン受容体のmRNA発現が亢進していることがわかった。また、肺病変のB細胞の表現系としてCD23陽性濾胞B細胞が主体であり、in vivoならびにin vitroでの実験で濾胞B細胞への分化が促進していること判明した。抗CD4抗体の投与によって肺の炎症病変が抑制されたことから、肺病変ではT細胞依存性の濾胞B細胞の分化亢進が病態形成の中心であることが解明された(Front Immunol 2023)。さらに、SSモデルマウスにおける自己免疫病変における一細胞RNAseq解析を通してB細胞の分化パターンなどを検討している。以上のように予定していた計画に対して順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
自己抗体の産生機構として、ウイルス感染による自己タンパクとウイルスタンパクとの分子相同性、体内の環境因子の変化(加齢、性ホルモンの変化など)による異常タンパク分解、細胞死に伴うタンパク分解など様々な要因によって、自己抗原が成立し、免疫反応が惹起されると想定されている。一度、自己免疫反応が誘起されると、自己の臓器に障害を与える不可逆的な慢性炎症が持続する。その間、自己抗体が産生され続けることが知られている。T細胞をはじめとして様々な免疫担当細胞との相互作用を経て、B細胞における抗原の多様性に対応するイムノグロブリン遺伝子の再構成を介して、形質細胞からの抗体産生が亢進する。 自己抗体の産生は持続的で、不可逆的であると言われている。この産生機構を明らかにすることは、自己免疫反応そのものを制御できる可能性がある。これまで、SSにおいてはT細胞を標的にした治療戦略が検討されてきた。発症段階ではT細胞の病変への関与が高いことは明らかであるが、慢性化してからはB細胞の関与が増加してくることも知られている。実際の臨床応用を考慮すると、ほとんどの患者は症状が重篤化あるいは慢性化した状態から治療介入が実施されている。したがって、SSをはじめとした慢性炎症病変の治療戦略として、B細胞を基盤とした自己抗体の病原性制御機構による臨床応用を目指した本申請研究は極めて挑戦的であり、口腔難病であるSSの治療の要になる可能性がある。さらに、自己抗体の特殊な産生機構を明らかにすることで、他の免疫疾患への臨床応用も可能となる。特に、ウイルスワクチンの開発では、効率の良い持続性抗体の産生が望まれていることから、本研究の内容は幅広い応用が見込まれる。
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Report
(1 results)
Research Products
(33 results)