Project/Area Number |
23K18380
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 58:Society medicine, nursing, and related fields
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
武田 志乃 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線規制科学研究部, 上席研究員 (00272203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 泉 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線規制科学研究部, 主任研究員 (10270612)
藤代 瞳 徳島文理大学, 薬学部, 准教授 (10389182)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | ウラン / 腎臓 / 近位尿細管 / 重金属 / 分布 / 内部被ばく / セシウム / イメージング |
Outline of Research at the Start |
体内で代謝された内部被ばく核種は腎臓の近位尿細管において再吸収を受ける。尿細管における滞留や濃集・沈着は体内残存に寄与し、内部被ばく線量評価の重要知見である。近位尿細管は上流からS1、S2、S3の3領域に区分され、領域特有の物質輸送システムを有する。本研究では、近位尿細管領域由来培養細胞を用い尿管側・血管側の極性を保持した特殊培養系を用い、量子ビームサイエンスを駆使してナノレベルでの細胞内核種分布動態解明に取り組む。本研究の遂行により、内部被ばく核種の尿細管内移動速度や特定オルガネラへの濃集・沈着などの核種特性が明らかとなる。標的尿細管領域に特化した体外排泄促進試験系の創出につながる。
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Outline of Annual Research Achievements |
体内で代謝された内部被ばく核種は腎臓の近位尿細管において再吸収を受ける。血流への移行はもとより、尿細管における滞留や濃集・沈着を正確に把握することは、体内残存の見積もりや内部被ばく線量評価の精緻化をもたらし、効果的な体外排泄戦略につながる。近位尿細管は上流からS1、S2、S3の3領域に分かれており、それぞれの領域特有の物質輸送システムを有する。本研究では、現行の内部被ばくリスク評価の根底にある「臓器内核種は組織内に均一に分布」という考えを払拭し、腎臓特有の微細組織構造に立脚した細胞内核種分布動態解明に挑む。すなわち、近位尿細管領域由来培養細胞を用い尿管側・血管側の極性を保持した特殊培養系を用い、量子ビームサイエンスを駆使して細胞内核種の分布イメージングを行う。 具体的には、尿管側・血管側の極性を保持した特殊培養系を用い、ウラン、セシウム等について大型放射光施設等の量子ビームサイエンスを導入した元素イメージング手法(マイクロPIXEおよびマイクロ~ナノビームを用いたシンクロトロン放射光蛍光X線分析(SR-XRF))により近位尿細管における分布動態の元素特性を示す。令和5年度は特殊培養系のウランばく露モデルを作製し、バルク移行量や分布解析の基礎検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、尿管側・血管側の極性を保持した特殊培養系を用い、ウラン、セシウム等について大型放射光施設等の量子ビームサイエンスを導入した元素イメージング手法(マイクロPIXEおよびマイクロ~ナノビームを用いたシンクロトロン放射光蛍光X線分析(SR-XRF))により近位尿細管における分布動態の元素特性を示すことを目指す。これらの分析手法に対する基礎条件の検討は順調に進んだ。 <カップ培養・毒性影響の把握> 腎臓近位尿細管のS1、S2、S3領域由来培養細胞それぞれのカップ培養を行い、ウランばく露実験を行った。まずばく露後15分~4時間におけるバルク的元素移行量をICP-MSにより把握した。尿管側・血管側によりばく露経路の違いについても比較検討した。 <元素イメージング> 極性を保持した特殊培養系における細胞元素イメージング用測定試料調製法の検討を行った。培養細胞の垂直方向凍結切片(10 μm)についてヘマトキシリン染色により、細胞構造や細胞配列の保持状態を評価した。おおむね元素イメージング用細胞頭節切片試料調製の至適条件を設定した。試行的にSR-XRFにより元素イメージングを行い、細胞内ウラン分布を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに設定した尿管側・血管側の極性を保持した特殊培養系のばく露実験条件や元素イメージング用細胞凍結切片視聴調製条件に基づき、ウラン・セシウムの取り込み動態の基礎データを構築する。元素分布動態はシンクロトロン放射光蛍光X線分析(SR-XRF)およびマイクロPIXEにより把握する。 1)取り込み動態のバルク解析:ばく露濃度や観察時間を変化させ、ウラン、セシウムの取り込み動態を把握する。セシウムについてはICP-MSの検出条件等に基礎検討も合わせて行う。 2)元素イメージング:極性を保持した特殊培養系におけるSR-XRFによる細胞元素イメージングを引き続き進める。薄切分析標準によりウランおよび内因性微量元素の局所定量を行う。細胞内軽元素動態解析のため、特殊培養系細胞凍結切片試料のマイクロPIXE分析についても順次測定条件を検討する。 3)輸送関連分子の発現解析:S1、S2、S3それぞれの培養細胞試料を用い、2価金属を中としたトランスポーターやエンドサイトーシス等の輸送動態関連因子を中心にRT-PCRにより発現解析を進める。細胞の凍結切片を用いて、関連因子の免疫染色を行い、細胞内動態を把握する。
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