Project/Area Number |
23K18505
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 62:Applied informatics and related fields
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松井 佑介 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (90761495)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野嶌 一平 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (20646286)
|
Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
|
Keywords | トランスフィジオーム / 脳活動解析 / 筋活動解析 / 皮質筋コヒーレンス / マルチモーダル信号処理 / 脳筋連関 / ネットワーク解析 / フィジオーム / EEG / EMG |
Outline of Research at the Start |
運動機能の低下・喪失は臨床的課題で、その原因疾患としてロコモティブシンドローム、脳卒中、認知症、パーキンソン病などが挙げられますが、治療法は未確立です。運動機能は脳と骨格筋ネットワークの連携により生じますが、その神経情報伝達メカニズムは不明です。これらを理解するための情報解析手法や臨床応用可能な統計学的予測モデル開発が必要であり、本研究ではデータ科学とリハビリテーション科学の融合により問題解決を試みます。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、運動機能の低下・喪失、特にロコモティブシンドローム、脳卒中、認知症、パーキンソン病などの治療と介入に焦点を当てた。脳、中枢神経系、骨格筋の異常がこれらの疾患の原因であるとされていますが、効果的な治療方法はまだ確立されていない。日常生活における「歩行」運動に着目し、健常高齢者および若年者、パーキンソン病患者の脳および筋活動の計測を行う。計測データの前処理アルゴリズム開発、全脳-全骨格筋時空間ネットワークアトラスの構築、ネットワークモジュールの同定と変動解析などを通じて、脳機能と運動機能の間の神経情報伝達メカニズムの解明を目指す。 今年度は二つの成果を得た。第一に、運動モジュールの集団平均推定の精度を向上させる新しいアルゴリズムの開発、そして第二に、リズム聴覚刺激(RAS)が運動制御に及ぼす影響の神経生理学的メカニズム理解のためのアルゴリズム開発である。 モーターモジュールの推定精度向上 関数データ解析を用いた新たなアルゴリズムを開発し、運動モジュールの集団平均推定の精度を高めた。従来の個人ベースのアプローチでは、サンプルサイズに関わらず収束しない問題や、ノイズに対する脆弱性が指摘されていた。新しいアルゴリズムはこれらの問題を克服し、モーターモジュールのより正確な推定を実現した。 リズミック聴覚刺激の運動制御メカニズム理解のためアルゴリズム開発とパイロット解析 RASが運動制御メカニズムにどのように作用するかを解明するため、健康な若年男性を対象にした歩行タスクで、脳と筋の活動を含む多モーダル信号の統合アルゴリズムを開発して解析を行った。64チャンネルのEEGと7つの筋肉のEMGを用いた解析により、RASによる皮質筋連結性の変化と、運動モジュールの数の減少傾向を確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の初期計画では、脳筋接続の解析を行うためのデータ取得とアルゴリズム開発を目指していた。この目標に向けて、予備的データの取得を計画通りに完了し、それらのデータを用いて脳筋接続に関わる初期分析を行うプロトタイプの前処理フローを開発することができた。この段階では、特に健常若年者を対象に、歩行中の脳波(64チャンネル)と左右各7筋の筋電図を、リズム聴覚刺激(RAS)ありとなしの条件で測定した。このデータを基に、皮質運動野における脳活動と筋活動の関連性を、コヒーレンス解析および伝達関数解析を用いて明らかにした。 さらに、本研究では歩行中の筋の協調制御を調べるために、筋シナジーの推定と比較を行う新しいアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは、特にRASの有無が歩行時の筋活動に与える影響を理解するために重要であった。初期分析では、RAS条件下での筋活動の変化が、歩行動作の改善にどのように寄与するかを探求し、脳と筋の間の動的な連携を解明する手がかりを提供した。よって計画に従って順調に進行している。特に、プロトタイプの開発と予備データを用いた解析が成功裏に行われたことは、次年度以降の研究計画の効果性と実行可能性の強固な証拠となる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は取得データのサンプル数を拡充させるとともに、前年度に構築したアルゴリズムのプロトタイプおよび予備的解析に基づいて結果を確かなものにしていく作業を行う。特に、前年度の予備解析では、解析に使用したEEG電極はCzだけであり、RASによって活動がかわると考えられる聴覚野の活動を用いた解析が行えていない。脳は複雑な相互ネットワークによって緻密に身体を制御しており、RASによって脳全体のネットワーク変化が生じているかもしれない。今後の解析では解析に用いる電極を増やすことで脳機能ネットワークの変化や制御メカニズムを解明することが重要である。伝達関数の結果では条件間の変化が認められず、皮質運動野における足部領域の活動と筋活動には線形で表現できない因果関係が存在する可能性がある。一般に運動には運動野だけでなく、小脳や補足運動野など他の脳領域も関連するため、脳機能ネットワークに基づく複雑な関連性を解析する必要があることもわかっている。これらの課題を解決可能な解析フローを構築して、プロトタイプを洗練させ、結果を強固なものにしていく。
|