Project/Area Number |
23K18518
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 63:Environmental analyses and evaluation and related fields
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
植村 立 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (00580143)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | アイスコア / 安定同位体比 / 北極 / 水同位体 / d-excess |
Outline of Research at the Start |
地球温暖化に関連して、北大西洋高緯度域における深層水の沈み込みが減少し、大西洋の海洋大循環が弱まっていることが指摘されている。この変動は、北大西洋の一部で水温の上昇が起こっていない海域として検出され始めている。しかし、深層水変動の直接観測は過去20年程度しかなく、気候シミュレーションや長期間の古気候データを復元した研究では異なった見解が示され、空間的に広範囲の古気候データの必要性が指摘されている。このような背景を踏まえ、本研究では、グリーンランドで掘削されたアイスコアの酸素・水素同位体比を超高精度で分析することで周辺海域の過去約200年間分の海面水温データを得ることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アイスコアの水分子の全ての安定同位体(1H, 2H, 16O, 17O, 18O)を精密分析することで、産業革命以降220年間の水蒸気起源海域の海面水温変動史を解明することを目指す。試料は、北極グリーンランドの南東部で掘削されたアイスコア(SE2コア)を用いる。このコアは産業革命前後の1799年までさかのぼることが可能であり、降雪量が非常に多い(年1m)地域で掘削されたため、1年以内の高分解能解析が可能な点で特色がある。 具体的には、水の酸素(18O)と水素(2H)同位体比を用いた指標(d-excess)を用いて、海面水温と相対湿度の復元を行う。さらに、より存在量の少ない質量数17の酸素(17O)の分析も行い、17O過剰(17O-excess)の分析にも挑戦する。この17O-excessは理論的には、降雪をもたらした水蒸気が蒸発した際の相対湿度を反映している。気象データと比較可能な長期間の17O-excess記録を初めて得ることで、17O-excessの変動メカニズムの解明を行う。この17O-excessから求めた「相対湿度」と、d-excessから求めた「海面水温と相対湿度」を連立することにより、定量的に水蒸気起源の海面水温を復元する。解析は気象データが充実している過去20-50年間のデータを用いて17O-excessの変動メカニズムを明らかにする。そこで得た関係式を過去に適用して、長期間の空間的な代表制のある海面環境(水温・相対湿度)データを得ることを目指す。 本年度は研究開始にあたり、長期的に高精度分析が維持可能な手法を検討、確立した。実試料の分析を過去20年間分について終了し、初期解析を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始にあたって、水の酸素17過剰(17O-excess)は特に分析時の長期安定性が要求されるために、高精度の温度コントローラー等を購入し、設置した。国際参照試料との校正を行い、ルーチン測定メソッドの検討を行った。現時点で週68試料の分析を標準的な手法として、過去20年間分の分析を完了した。特に西暦2003-2014年の12年間分については繰り返し測定を重点的に行い、平均標準誤差3パーメグでデータを得た。北極では唯一の先行研究であるNEEMアイスコアの2003-2005年データと17O-excessの平均値と季節変動は整合的であった。バックトラジェクトリ解析及び気象観測データの比較により、相対湿度と17O-excessの間に統計的に有意な負の相関を確認した。分析はおおむね順調であったが、年度後半でオートサンプラーの不調による失敗の割合が増加したために修理を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のオートサンプラーの修理完了後は、計画通りに分析を継続する計画である。現状の分析は17O-excessを高精度に測定する条件にしているために、この速度を維持した場合は年間で30-50年間分の測定完了が見込まれる。全期間(220年間)を完了するためには氷の拡散により分解能が落ちる深度では、測定条件を変更して年間の測定試料数を増やす変更が必要であると考えている。そのため、気象再解析データが充実している過去50年間程度とそれ以前の2つの期間で分離して解析を行う計画である。
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