Project/Area Number |
23K18541
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 64:Environmental conservation measure and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瀬戸口 浩彰 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (70206647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 貴大 東京都立大学, 理学研究科, 助教 (30868451)
加藤 顕 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 准教授 (70543437)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
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Keywords | 小笠原諸島 / 侵略的外来種 / 世界自然遺産 / 森林生態系保全 / アカギ / 外来種駆除 / 駆除 / 環境影響評価 |
Outline of Research at the Start |
アカギは雌雄異株の植物で、小笠原諸島における深刻な侵略的外来植物種である。台風通過時の雨水に含まれる塩分で葉や花、果実を落とす特徴がある。若い果実の段階で落果させると、当該年に再度開花させることはない。従って、アカギの繁殖を抑制することが可能である。本研究では、ドローンで撮影した高精緻画像を元にして自動的に雌木を判別して、位置をGPS座標で記録するようにする。その後に農薬散布用ノズルを取り付けたドローンで雌木の林冠だけに希釈塩水を散布するシステムを開発する。塩水の濃度とアカギの落果効果は林床の動物相に与える影響を試行・検証・考慮しながら設定する。
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Outline of Annual Research Achievements |
小笠原諸島の母島で、森林生態系に完全に定着しているアカギの繁殖抑制方法に関する研究を行い、また林床の動物に与える影響評価を行った。本研究で用いる方法は、アカギが雌雄異株の樹木であることを利用して、開花期から若い果実の時期に希釈海水を噴霧することである。小型の海洋島である母島は、台風の時に海水あるいは濃い濃度の海水が薄いに混ざり、台風一過後に固有種・外来種を含めて落葉する現象が普通に起きていることにヒントをえたものである。 ①代表者の瀬戸口は、様々な濃度の希釈海水をアカギの雌花や若い果実に雲霧してその影響を確認した。その結果、雌花と若い果実の両方を確実に枯死させるのは50%希釈海水であり、若い果実を完全に枯らす事が出来るのは25%海水であることがわかった。果実よりも雌花の法が塩水に耐性があることは意外な結果であった。これで次年度に、農薬散布用ドローンを用いて散布する希釈海水濃度を50-25%にするべき事がわかった。 ②共同研究者の加藤は、アカギの樹木の位置と開花時期の花の位置を把握するため、近赤外域が撮影できるカメラを搭載したドローンを用いて母島でドローン飛行によるデータ収集を行った。また、同時に測量機器で現地検証用データも収集した。得られた写真データから花の位置をセグメンテーション法による自動検出を行い、花の正確な位置座標の一覧を作成している。今後、花の位置で塩水を散布する際、ドローンを飛行させる位置データの整備を行った。 ③共同研究者の吉田は、海水散布による土壌動物への影響評価を担当している。今年度はサンプリングスキームの検討と現地調査準備を進めた。沖縄で土壌動物調査を行い、次のスキームが適当だと考えられた:1. シフターで土壌を5L篩った、2. 白布上に篩った土壌を配置して中・大型土壌動物を採集した、3. 残った土壌を持ち帰ってウィンクラー装置による土壌動物抽出を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究は、小規模島嶼が台風の時に受ける自然現象:塩分濃度が高い雨水が降り注ぐということを利用して、雌雄異株のアカギの雌の繁殖を抑制する研究である。1本の大型のアカギの雌木は1シーズンに5万個以上の種子を形成するために、小笠原諸島の母島では、世界自然遺産保護地域の大部分の林冠がアカギに覆われており、森林下層の稚樹もアカギだけの純林化が進んでいる。この研究は雌木を殺す訳ではないが、その種子繁殖を抑制して、林野庁が進める伐採作業を待つことが出来るレベルにすることができる。 今年度の研究結果で、ドローンを用いたスペクトルカメラでアカギの雌を画像判別することと位置情報の把握が可能になった。一方で、若い果実を完璧に枯らす希釈海水は25%で良いことがわかった。これによって、農薬散布用ドローンで散布する海水の濃度も決定することが出来た。あとは希釈海水が林床に落ちた際に小型動物に与える影響の評価を小笠原諸島の母島で実施するだけである。
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Strategy for Future Research Activity |
小笠原諸島が台風通過の度に海水が混ざった雨水を受けることは自然現象である。また、強風時には、海水が霧のように舞い上がって、母島の急峻な山地地形を霧のように上昇することが知られている。したがって、本研究が目指している希釈塩水でアカギの増殖抑制を試みる研究は、生態系に与える影響も少ないと考えている。既に令和6年3月に、国立公園外の都有地で各種濃度の海水をコドラードにかけてきたため、林床の小動物に与える影響評価をスムーズに進める事が出来ると期待している。また、画像分析をさらに進めることによって、アカギの雌個体の正確な位置情報把握につなげることを目指す。そしてこのGPS位置情報を基にして、農薬散布用ドローンを自動操縦して、雌個体に正確に散布する技術と、希釈海水を散布する量・時間の適切な数値を把握したい。 本研究では、世界自然遺産保護地域であり、指定時にIUCNから対策を採る付帯意見を付けられていながら、逆に面積を増やしてしまったアカギの抑制に、大きく貢献する研究である。この研究では国立公園外(世界自然遺産保護地域の外)である都有地を使って実験を行っているが、その有効性を示して、国立公園内でも応用が可能になること(社会実挿)が可能であることを証すことを進めていきたい。
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