Development of mechanisms for maintenance of normal development in early human development using model cells.
Project/Area Number |
23K18574
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 90:Biomedical engineering and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川瀬 栄八郎 京都大学, 医生物学研究所, 准教授 (70402790)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | 幹細胞 / 初期胚 / ヒト細胞 / 不妊治療 / モデル細胞 |
Outline of Research at the Start |
最近の体外受精胚の遺伝子スクリーニングによって、ヒト初期胚の90%はモザイク状態であることがわかってきている。モザイク胚では初期発生で死亡を引き起こすものもあり、胚移植の成功率が今も50%以下と低いことの大きな要因となっている。一方で、モザイク率が高くても健康な生児にまで達したという報告もある。その一つの要因として、ヒト初期胚細胞には『自己修正機能』があると現在考えられているが、実際にヒト初期胚を用いて研究を進めるのは非常に難しく、未だほとんどわかっていない。本研究課題では初期胚細胞であるヒトES細胞をモデルとして、ヒト初期胚細胞が有する『自己修正機能』の理解を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
ヒト初期胚の多くは正常な2倍体細胞と異数性染色体細胞からなるモザイク状態であることがわかってきている。このようなモザイク胚では初期発生で死亡を引き起こすものもあり、胚移植の成功率が低いことの大きな要因の一つと考えられている。一方で、モザイク率が高くても健康な生児にまで達したという報告もある。本研究ではこのようなモザイク状態の胚をどのように解析していくかを、初期胚細胞であるヒトES細胞を用いて基盤技術を開発していくことを目指している。 細胞集団のモザイク率を解析する手段としてギムザ染色法を用いた解析が一般的には用いられているが、ギムザ染色では少数の細胞からなる初期胚では適用が難しいこと、また対象が分裂中期の細胞に限定されるという問題がある。近年はNGSを用いた検査が主流となってきている。しかしながら、NGSでは検査コストの問題に加え、サンプルをマスとして解析を行うため、少ない割合で含まれる細胞集団に関して検出しにくいという問題点がある。 本年度ではまず細胞集団がどの程度モザイク状態であるかを確認する方法を開発し、さらにはモザイク状態である細胞をクローニングし、さらに増殖させることで均一な細胞集団を作成するための技術開発を行った。 検討の結果、どの程度モザイク性が生じているかを確認する方法としては各染色体の特有プローブを用いたFISHを行う方法が適していることを見出した。 また、細胞のクローニングに関しては、従来の限界希釈法を改良した。具体的には播種した細胞がウエル中のどの位置にいるか、単一細胞か否か、また細胞の形態的な判断に加え核を蛍光色素で染色し、経時的に写真撮影を行うことで、より確実性の高いクローン細胞株を見出すことができるようになった。以上の結果、異数性染色体を有する細胞をクローニングし、NGSなどの解析を行うための基盤をつくることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究業績の概要に述べたように本年度は以下の2点に絞り研究を進めた。 (1)モザイク率の評価方法の検討:細胞レベルでの解析としてはGバンド解析、マルチカラーFISHによる解析が一般的に用いられているが、これは分裂期の細胞だけを対象としており、細胞数が少ないヒト初期胚では適用が難しい。私達は、いろいろ検討を行った結果、各染色体特有のセントロメアDNAをプローブとしたFISHが適していた。この方法では間期の細胞でも検出できること、核の中に蛍光のドット数を測定することで容易に検出が可能である。ヒトES細胞では特定の染色体が異数性になることが多いと言われているが、その点についても確認することができた。 (2)クローニング技術の開発:細胞のクローニング方法としては1個のウエルに1個以下に細胞を播種していく限界希釈法とFACSなどによるソーティング方法が一般的に用いられている。従来の限界希釈法では、例えば各ウエルに1/3個の細胞を播種したとしても、増殖してきた細胞が本当に1細胞由来であるかどうかの根拠は弱い。FACSなどによるソーティングではレーザー照射により細胞がダメージを受けバイアスが生じる可能性が指摘されている。そこで私達は以下のような限界希釈法の改良を行った。細胞をプレーティング後、接着した細胞が単一かどうかを、ウエル全体を経時的に写真撮影し、コロニーが成長してきたウエルからそれが単一かどうかを、取得写真データを遡って確認していく手法を用いた。さらに単一細胞か否かについては細胞の形態的な判断に加え、細胞の核を蛍光色素で検出した。インキュベータ内に観察機器を設置したために、機器の動作から生じる発熱でインキュベータ内の温度などが不安定となる問題点があった。観察時には観察機器に定期的に停止モードを入れ、発熱などの問題が生じないように工夫をした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では初期胚細胞であるヒトES細胞をモデルとして、ヒト初期胚細胞が有する自己修正機構の理解するための基盤構築を目指している。 R5年度では異数性染色体を有する細胞の検出方法とクローニング培養による拡大方法の構築を行った。 R6年度は、この方法を用い異数性染色体を有する細胞の株化を行う。次に異数性染色体を有する細胞と正常染色体株とRNA-seqなどの遺伝子発現の比較を行うとともに、細胞生物学的にも両者に違いはあるのかを検討を行う。細胞生物学的解析としては、培養基質への接着力、細胞株の細胞周期、細胞の増殖速度、分化指向性などの項目を予定している。さらに細胞株にGFPやRFPなどでマーカーを導入し、両者を共培養することで、両細胞間での競合が生じるかどうかに検討も行う。また化合物を用いて、ES細胞の染色体異数性を誘発し、クローニングして多様な異数性染色体を有する細胞株の作成にも着手したい。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)