Project/Area Number |
23K18610
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0101:Philosophy, art, and related fields
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
齋藤 達也 実践女子大学, 文学部, 講師 (10868748)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 美術批評 / 印象派 / ウジェーヌ・ドラクロワ / フランス美術 / 近代美術 / ギュスターヴ・モロー |
Outline of Research at the Start |
19世紀フランスの美術批評家エルネスト・シェノー(1833-1890年)による美術論はフランス近代美術史を考える上で重要なテクストとみなされてきた。現在、国際的にも美術批評家の研究は進んでおり、個々の批評家の全体像を再検証する動きが加速している。だがシェノーの美術論の内実については未解明の部分も多く、思想的背景もあきらかではない。そこで本研究は、シェノーによるテクストの分析と再評価を通して、フランス近代における言説上の受容史(美術批評史)におけるシェノーの位置づけと重要性を明らかにする。その際、とりわけ重要である彼のドラクロワ論、モロー論、日本美術論に焦点を当てて分析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は19世紀フランスの美術批評家エルネスト・シェノーの美術論を総合的に分析するものである。初年度は半年という期間であったため、必要となる資料の収集とその初期分析に主に時間を使った。 2024年度は3月21日から3月29日にかけてフランスにおいて資料調査をおこなった。フランス国立図書館においては、エルネスト・シェノー自身が19世紀に執筆した批評記事を収集した。今回特に収集した、同時代の画家について論じた雑誌記事については、今後の分析の対象となる。フランス国立美術史研究所付属図書館においては、主に日本では入手困難な二次文献を収集した。ここではとりわけ、19世紀フランスのロマン主義の画家ウジェーヌ・ドラクロワにかかわる資料を集めた。シェノーは、素描家アルフレッド・ロボーと協力して1885年にドラクロワの作品総目録を出版しており、ドラクロワ受容史において欠かせない役割を果たしている。だがロボーとの協力関係についてはさほど実態が知られておらず、それだけにロボーに関わる二次資料を収集できたことは大きい。 オルセー美術館では、特にシェノーが批評家として注目し論じた作品の実地調査をおこなった。オルセー美術館では第1回印象派展を再現した「1874年パリ」展が開催されており、本展に貸し出されたクロード・モネの作品《カピュシーヌ大通り》を実見できたことは大きい。本作に対するシェノーの批評は、その後のモネの芸術に対する批評的語彙を創出することとなった意味で、シェノー研究において重要作だからである。 以上のように、今年度はシェノー自身による一次資料、およびシェノー研究を進める上で欠かせない二次資料の収集において一定の成果があった。これらの資料を基盤として分析をさらに進め、成果を発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は美術批評家研究であるが、その際に最も重要な分析対象は、批評家自身が残した著作や記事である。フランスにおける資料調査によって初年度に予定していた資料、特にドラクロワ関連の資料を順調に収集できたことは大きな意味があった。こうした資料をもとに二年目に、ドラクロワ受容史におけるシェノーの重要性についての研究成果を発表する準備が整ったと言える。また並行して、シェノーによるギュスターヴ・モロー論と日本美術論を分析するための基盤となる資料の収集も始めており、その分析成果についても公表する段階に入れるものと考えている。したがっておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は資料収集と初期分析に時間をかけたため、その成果としての論文執筆や口頭発表を二年目に行う予定である。特にドラクロワ受容史とシェノーについては、これを秋に開催されるシンポジウムで発表する具体的な予定を立てている。二年目の夏には、二度目の海外調査を実施する。具体的には、フランス国立図書館、フランス国立美術史研究所で継続して資料調査をおこう。また先述のドラクロワ論との関係で、パリのドラクロワ美術館においても資料調査を実施したい。シェノーによるギュスターヴ・モロー論と日本美術論についても、論文の執筆に着手し、公表の機会を見たい。
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