Project/Area Number |
23K18611
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0101:Philosophy, art, and related fields
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
早川 英明 東京理科大学, 経営学部国際デザイン経営学科, 助教 (60979871)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 抵抗 / レバノン / 共産主義 / 中東 / 政治思想史 |
Outline of Research at the Start |
現代中東において非常に重要な概念である「抵抗(アラビア語でmuqawama)」がどのように形成されたかについて、1980年代のレバノンの共産主義思想における「抵抗」の形成を中心に解明する。これまで見過ごされてきたレバノンの共産主義思想における「抵抗」の発展を辿ることで、現代中東地域の政治問題・紛争の歴史的背景を思想史的に明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「抵抗」という概念の形成に着目して、現代中東の政治問題・紛争の歴史的背景の理解を目指すものである。特に、「抵抗」概念がどのように形成されたかについて、1980年代のレバノンの共産主義思想における「抵抗」概念の形成を中心に解明することを目的としている。そして、これまで見過ごされてきたレバノンの共産主義思想における「抵抗」の発展を辿ることで、現代中東地域の政治問題・紛争の歴史的背景を思想史的に明らかにする。 今年度はまず、すでに研究代表者が所有しているレバノン共産党関係の資料を読解し、「抵抗」についてどのように論じられているかの整理を進めた。その結果、レバノンの共産主義者たちは、80年代に行われていたイスラエルに対する武装抵抗を論じる際、レバノンの近代史に「抵抗」の伝統があると主張し、その伝統の流れに自分たちの武装抵抗運動を位置づけていることがわかった。そのため、レバノンにおける「抵抗」概念形成の歴史を更にたどるためには、80年代以前の、共産主義者やそれ以外の対イスラエル、対シオニズム運動の思想などについても参照する必要があると認識した。その一貫として、今年度は2月に英国の公文書館で調査を行い、1940年代のイスラエル建国前後にイギリスのベイルート大使館に寄せられていた反シオニズムの陳情などについての資料を収集した。 また、資料の読解・整理を行い、レバノンの共産主義者が、同じく「抵抗」に参加しているイスラーム主義者たちをどのように捉えていたか、についても検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年10月以降、レバノン南部においてレバノンの武装・政治勢力ヒズブッラーとイスラエルが交戦しており、レバノン現地情勢が緊迫していることから、当初予定していたレバノンでの現地調査が実地できなかったので、進捗はやや遅れている。しかし、そのかわり、すでに所有している文書資料の読解・整理を進めた他、英国公文書館での調査を行うことで、現地調査ができない分の研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
レバノン情勢が安定すれば、レバノンにて現地調査を行う予定である。具体的には、追加で必要となった資料を収集するほか、共産党関係者にインタビューを行う。その後、この調査で得られた資料を更に整理、分析し、共産主義者において「抵抗」概念がどのように形成・発展したかを検討する。また、レバノンのイスラーム主義勢力ヒズブッラーにおける「抵抗」概念と比較し、現代中東政治において「抵抗」が重要な概念になった歴史的・思想史的背景を解明する。 レバノン情勢が安定しない場合には、「抵抗」概念の発展の歴史的背景を検討するため、レバノンを委任統治していたフランスや、レバノン独立に深く関わったイギリスの外交資料を両国の公文書館で更に収集する。これにより、対フランス独立運動や反シオニズム運動において「抵抗」、ないしこれに類似する概念がどのように扱われていたかを検討し、80年代の共産主義者の「抵抗」概念と比較する。 また、これまで整理した共産主義者の「抵抗」概念についての研究成果は、7月に開催される英国中東学会で発表する予定である。
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