Project/Area Number |
23K18618
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0101:Philosophy, art, and related fields
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Research Institution | Administrative Agency for Osaka City Museums |
Principal Investigator |
因幡 聡美 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立東洋陶磁美術館, 学芸員 (60983757)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 俑 / 中国美術 / 仏教美術 / 唐時代 / 天王俑 / 唐 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、中国・唐時代の墓室の入口に出現する天王俑という陶俑について、首都・長安のあった陝西省西安一帯における出土資料および国内外に収蔵される作例情報から、様式・形式比較などの美術史的方法を用いて、その成立過程と変遷の様子を明らかにするものである。 天王俑は、仏教造像の四天王像のように甲冑を身に着け、岩座で邪鬼を踏みつけるなどの形で表されるため、仏教美術とも関連が深い。そのため、関連する仏教美術との比較も行い、天王俑製作においてどのうな形が理想とされたのかを考察し、墓室という死者のための空間を守護する鎮墓俑の一群の中に置かれた天王俑の意義とその位置付けを再検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、唐時代の鎮墓俑の一群の中に出現した「天王俑」について、唐の都・長安(現:西安)一帯における発展の様相を探るため、出土資料や国内外の所蔵品を対象に、美術史的方法によってその成立過程と変遷を考察し、西安の墓葬美術における天王俑の意義とその位置付けを再検討するものである。初年にあたる本年度は、下記の項目の調査を中心に、文献・画像資料の収集とその整理を行った。 ①唐時代の天王俑に関する文献・画像資料収集:天王俑の成立と展開を把握するため、発掘報告書や関連書籍、展覧会図録等を中心に関連資料を収集した。天王俑としての形式の成立については、引き続き考察が必要であるが、7世紀後半に出現した初期の形式から、8世紀に入り装飾化の傾向が徐々に強まり、8世紀後半にかけては体躯のボリューム感が増し肢体の動きが大きくなるという、大まかな傾向を把握することができた。 ②唐時代の仏教美術に見られる天王像の調査:天王俑との比較検討を行うため、唐時代の仏教造像の宝庫であり、武周期には首都であった洛陽に現存する龍門石窟を対象とし、該当時期の窟室に表された天王像の変遷を調査した。 以上より、国内での資料調査の段階ではあったものの、得られた知見をもとに、「墓門の守護者:天王俑のすがたを辿る」(2024年3月1日 OSAKA MUSEUMS学芸員TALK&THINK)というテーマで講演を行った。その中で、大阪市立東洋陶磁美術館所蔵の加彩天王俑(8世紀)を取り上げたことで、8世紀頃の天王俑の身体表現に対して新たな疑問が生じるなど、次の研究調査での材料となる知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
中国渡航調査を実施できていないことから、総じてやや遅れが生じている。しかし、次年度に行う西安と洛陽への渡航調査の目途が立ったことから、実物調査に向けての本格的な準備を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度における文献・画像調査の結果と、次年度に実施予定の渡航調査で得られる知見をもとに、下記のことを行っていきたい。 ①唐時代の西安地区一帯における天王俑の様式変遷:引き続き、西安一帯で出土した天王俑の資料を地域・時代別に収集し、紀年銘が判明している俑を中心にその編年を主要作品についても実地調査を行い、様式の変遷を明らかにする。その編年に従い、無紀年の天王俑の把握にも努める。また、西安地区の天王俑の比較対象として、洛陽一帯における天王俑についても把握を行う。 ②仏教美術に見られる天王像の作例把握および天王俑との比較:こちらも引き続き、石窟や石造の天王像を中心に、俑と仏教美術間における造形情報の影響関係を明らかにする。 以上の研究の途中成果や、最終的な研究結果については、国内外の学会あるいは研究誌にて発表を行いたい。
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