Project/Area Number |
23K18627
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0101:Philosophy, art, and related fields
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
野田 麻美 神戸大学, 人文学研究科, 講師 (70980548)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 狩野派 / 倣古図 / 鑑定・絵画の附属品 / 絵画資料のデータ化 / データベース / 画像解析 / 江戸絵画 |
Outline of Research at the Start |
狩野派の変革者・狩野探幽は、古典名画の諸様式を整理し、その図様に倣って描く倣古図の様式を確立し、探幽周辺の画家はその普及に努めたため、彼らによる倣古図の図様は、狩野派の作画活動の根幹に組み込まれた。狩野派の倣古図は、彼らの作品の本質を端的に示す、きわめて重要なものと言える。 本研究では、江戸狩野派の作例を中心に、室町~桃山時代や近代の狩野派による古典図様を用いた作例も含め、狩野派の倣古図について包括的な考察をおこなう。狩野派による倣古図の情報を集積し、それらを比較分析することによって、典拠となった中・日の古典名画を狩野派がいかにして学んだのか、体系的に理解することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
1.狩野派の倣古図に関する情報収集と調査 申請者がこれまでデータ収集をおこなってきた狩野派の倣古図について、まず、所在が不明だった作品についての情報を、広範に収集した。そのなかで、長らく行方不明だった狩野探幽「流書巻物」(個人蔵)が確認されるなど、狩野派の倣古図の重要作品を見出すことができた。他にも、これまで未調査だった倣古図と関連作品について、100図を超える図様について調査した。 また、東京国立博物館所蔵の中国絵画のうち、狩野派による鑑定がある作品について、悉皆調査を実施した。その際、狩野派による箱書、外題、添状などのデータを収集した。 2.狩野派の倣古図のデータ整理、狩野派による鑑定作品と倣古図の関係の分析 1によって、約150点の倣古図・倣古図関連の図様、中国絵画の狩野派による附属品を調査し、それぞれ全図・部分の詳細な写真を撮影した。その写真をもとに、作品のデータ整理をおこない、作成中のデータベースに情報を入力した。狩野派の倣古図については、これまで、作品の悉皆的な調査がなされておらず、等閑視されてきたジャンルのため、基礎的なデータの収集が必須であり、今年度の調査により、重要作品についてのデータを集めることができた。 また、狩野派による附属品のある中国絵画が彼らの作品に与えた具体的な影響を考察するため、彼らがいつ、どのようにその作品を評価したのか、彼らの倣古図とどのような関係にあるのか、分析を行った。それによって、倣古図という形に結実する狩野派の古典学習の実態を、鑑定の面から具体的に把握した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
狩野派の倣古図の所在確認、調査の可否などの情報収集については、ほぼ予定通り進めることができた。また、狩野派の附属品がある中国絵画の調査については、予定通り、2023年度のうちに終了できた。 実際の倣古図調査では、2023年度の目標にほぼ到達する数の調査や撮影をおこない、これらの作品に関しては、基礎データを収集することができたが、在外作品や大部な画帖作品などの大作群に関しては、2023年度下半期のみの期間内に調査することは、場所的、時間的制約から所蔵者との調整が難しいものも多く、次年度以降の調査となった。 上記の調査によって収集した情報をデータベースに入力する作業、データ分析作業については、膨大な時間を要するため、2023年度中は、データ入力のための情報整理に集中した。2024年度に倣古図の調査を行った際に、2023年度中に調査した作品と併せて分析がスムーズにできるよう、事前に入力可能な情報はデータベースに入力するなどの補助作業をおこなった。 また、中国絵画の狩野派による附属品と倣古図の関係については、2023年度に申請者が担当した「大大名の名宝―永青文庫×静岡県美の狩野派」(於静岡県立美術館)において調査できた狩野派による附属品のある中国絵画の調査成果も併せて分析、考察し、論文(「美術史論集」24号掲載、2024年2月刊行)を執筆し、一つの大きな成果を挙げることができた。そのため、膨大な時間がかかる、倣古図のデータベース分析による考察は、目標にしていたほどに進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に情報収集した狩野派による倣古図の作品調査を引き続き進めつつ、今後は関連作品にも調査の対象範囲を広げる。それによって、これまで不明だった狩野派の倣古図、倣古図関連作品の数百点の図様を明らかにする。 2023年度に調査できた倣古図作品と同様に、収集した作品の基礎情報をもとに調査と写真撮影をおこない、データベースにその情報をできるだけ具体的に入力し、整理する。2024年度に調査予定の作品は大部な作品も多く、また2023年度にデータベースに入力した作品も、新たに調査した作品との関係性などの追加情報を入力する必要があるため、データベースの入力作業には膨大な時間がかかる。2024年度下半期には、1~2名の研究協力者にデータ入力の補助作業を依頼する。 そのうえで、本研究で調査した作品について、データベースを駆使して分析、考察をおこなう。
以上によって、狩野派に影響を与えた古典作品がどのような様式で、彼らが典拠とみなした作品の特徴は何であるか、包括的に検討することを試みる。さらに、狩野派が規範視した中国絵画が、彼らの倣古図にどのように取り上げられていたのか、総合的な分析をおこなうことで、狩野派の倣古図の全容を明らかにすることを目標とする。 本研究での調査結果を分析し、考察結果は、研究論文などで発表する。倣古図の情報を入力したデータベースについては、所蔵者に情報公開の可否を確認のうえ、部分的公開もしくは研究論文などでの情報掲載を試みる。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)