Project/Area Number |
23K18632
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0101:Philosophy, art, and related fields
|
Research Institution | Higashi Nippon International University |
Principal Investigator |
飯村 祥之 東日本国際大学, 経済経営学部, 講師 (60986206)
|
Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
|
Keywords | アントニオ・ネグリ / オペライズモ / アウトノミーア / マリオ・トロンティ |
Outline of Research at the Start |
イタリア出身の政治思想家であるアントニオ・ネグリは、平等で自由な社会の実現において大衆運動が果たす役割、またそれが採るべき戦略を問うてきた。この問いを一国社会という文脈にとどまらずグローバルな政治・経済秩序に展開した『〈帝国〉』(マイケル・ハートとの共著)は政治思想史にネグリがもたらした最大の貢献である。ネグリの思想はオペライズモ(労働者主義)という思想潮流の中で形成されたが、この潮流は多様な理論的内容を含んでおり、ネグリの独自性はオペライズモのその他の論者たちから分化する過程で現れてきた。本研究は、このネグリの思想の生成過程を歴史的に解明し、その政治思想史的意義を標定することを目的とする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は『〈帝国〉』でその名を知られるようになったアントニオ・ネグリの理論的発展を研究することで、グローバル化した現代を論じていたた晩年の主題の多くが、イタリアという一国社会を論じていた1960-70年代の段階ですでにひな形として存在していたことを明らかにしてきた。初期の段階でそうした主題がどのような社会的文脈や問題意識から提出されたかを検討することは、彼の後期思想の射程や有効性を批判的に検討することにつながるだろう。 これまでに発表した成果は以下のとおりである。まず、①ネグリの思想的発展についての概論的論文(「あるコミュニストの遍歴」)では、各時代の主要著作を能う限り網羅的に取り上げて解題を行った。こうした主要著作の解題は、マイケル・ライアンのもの(『マルクスを超えるマルクス』へのあとがき)を類似の成果として挙げることができるが、著作を貫く主題系の変形・発展に焦点を当てた点で、本研究成果は新規な視点を提示したといえるだろう。加えて、②ネグリの「権力に先立つ抵抗」という概念へのマリオ・トロンティ(イタリアのマルクス主義、とりわけオペライズモと呼ばれる潮流の代表的理論家)の影響と、そこからの逸脱に焦点を当てて、その思想史的意義を論じる論文を佐藤嘉幸との共著で発表した。ここでは、ネグリがイタリアの思想的文脈の中でこの概念を自らのものとする過程だけでなく、フランス現代思想の影響を受ける中でこの概念をさらに発展させていった過程を明らかにした。また、③ネグリの政治経済の分析方法に固有の「傾向」という概念の意義を検討する口頭発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画で予定されていた海外調査は、学内業務等との兼ね合いのため、令和5年度内の実施は叶わなかった。しかし、本課題の採択前に入手していた資料をもとに研究を進め、その成果を論文2報に加え、筑波大学・パリ第8大学の共催シンポジウムでの口頭発表(英語による)にて発表できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
口頭発表と論文を通じて、研究成果を社会に還元する予定である。
|